腎機能を維持するために介護食でできること。その3.腎機能を意識した食事のポイント
その2.で腎機能とたんぱく質の関係について書かせて頂きました。今回は、腎機能を意識した簡単にできる食事のポイントについてです。実際に私が「腎機能が少し落ちている」と医師から言われてから行った調理法です。「介護食」をメインに考えた方法なので「これで腎機能は万全!」というわけではありません。あくまでも「介護食の中でできる対策法」です。
1.減塩をする:塩分を摂りすぎると、塩分を尿として出すはたらきが不十分になるため、とりすぎるとむくみや高血圧の原因となり、さらに腎臓を傷めます。
料理をする側ができる対策として、料理のときに肉や魚に下味として「塩、コショウ」をかけることがあると思います。また料理によっては先にしっかりと味をつけて食卓へ出すこともあります。ですが、わが家の介護メンズはそこに、塩や醤油をさらに自分でかけてしまうことが多々あります。これでは、減塩を意識した料理を作っても意味がなく塩分の取りすぎに繋がってしまいます。そこで私は下味をつける時は塩を使う事をやめました。代わりに、コショウや生姜、にんにくなどの香辛料を使ったり、酒を使って下味をつけています。香辛料や酒で肉や魚の独特のにおいが消えます。また酒は肉に揉みこむと柔らかくなり、味もしみこみやすくなります。下味の段階で塩を使わないので、後から醤油や塩をかけられても「せっかく減塩にしたのに…」とがっかりすることはありません。また、減塩することで高血圧を防ぐこともできますので、介護をしている方の体調管理にもおすすめの方法です。
2.野菜をゆでる:もともと介護食を食べているわが家のメンズは「生野菜が食べずらい」と言って野菜を食べてくれませんでした。そこで野菜は全て加熱するようにしました。加熱することで野菜も柔らかく食べやすくなります。また「茹でる」ことで、野菜の中に含まれる「カリウム」というミネラルが水に溶けだして減ります。「カリウム」は腎臓のはたらきが悪くなると、体の中の余分なものを尿として出す働きが不十分になり、カリウムが体の中に溜まり「高カリウム血症(不整脈、おう吐、下痢などの症状)」を起こす恐れがあります。もともと「食べずらい野菜」を食べやすくするために加熱していた方法が結果的に、カリウムを減らすことに繋がっていました。果物もカリウムが多く含まれていますが、果物も繊維が多くほとんど食べることはありません。代わりに缶詰のくだものが柔らかいので食べることが多いです。缶詰を開けるだけなので、介護している人も準備は生のものに比べたら簡単です。缶詰のシロップはカリウムが溶けているので、飲んだりかけたりはしません。
3.水分摂取はこまめにする:声をかけないと水分をなかなかとらない人も多いと思います。特に高齢の方は喉の渇きを感じにくくなっています。脱水状態が長く続くと腎臓の血液量が減り、濃くなってしまいます。そのため酸素や栄養の供給が滞って腎細胞がダメージを受けます。ほかにも、倦怠感・嘔吐・微熱・頭痛・めまいが起こり、最悪の場合は死に至る危険もあるので注意が必要です。とりすぎはよくないですが、水分摂取量が少ないのも、これから暑くなる季節には注意が必要です。水分も好みがあるので、お茶類や水だけでなく、コーヒーや紅茶、ジュース、スポーツドリンクと飲めるもの、好きなものを飲んで構いません。できるだけ水分をとってほしいので、わが家は常にコップが1人2つ使っています。1つはお茶類やミネラルウォーター、もう1つにはコーヒーや紅茶、ジュース類を入れています。ただし、コーヒーや紅茶、ジュースは夜の6時には終了してお茶類のみにしています。時間を決めることで糖分の取りすぎを防いでいます。味の違う飲み物を複数用意することで水分全体の摂取量が増えました。
ここにあげた3つの方法で3か月食事を続けた結果、腎機能を示す数値が少し改善されました。もちろん、その時の体調にもよると思いますが数値が少しでも改善されていると「試してよかった」とホッとします。また3か月続けると「習慣化」されていくので、負担に感じることも少なくなっていきます。
特に減塩はどの方にも対応しやすい方法なので介護食関係なく試して頂けると思います。
「腎機能を維持するために介護食でできること。」は今回で最後となります。腎機能が正常のうちにできる対策として参考にしていただければと思います。