郵便局アルバイトという希望。
全職員研修の場で「郵便局と連携ができないか」という声があがった。
これから年末年始の年賀状配達が全国一斉に始まる。郵便局で出される短期アルバイトが若者に希望を与えている。
いままで働いた経験のない若者にとって。長い間、働くことから離れていた若者にとって、郵便局アルバイトは希望だ。いくつかの現場職員にもヒアリングをしてみたところ、今年も5名から10名がこのアルバイトに応募したという。そのまま郵便局で働き続けたいという気持ちではなく、ひとつの「働く」きっかけと割り切ってチャレンジしていることが特徴だ。
いくつか理由がわかった。
・採用されやすい
未経験者を問わないという表記は比較的多くの求人募集で見られるが、働いた経験がなくても採用可能性がかなり高いようだ。実際、数年間働けなかった若者がこのアルバイトを行い、その後、なかなか動くことができなかったが、翌年の年末年始に改めて郵便局のアルバイトをしていた。もちろん、不採用のこともあるだろうが、それでもなお採用可能性の高さは現場での共通認識となっている。
・自宅の近くにある
郵便局はかなりのエリアに設定されている。こちらの資料によると、2014年11月30日の時点で全国に24,200の郵便局がある。自宅から近く、漠然とした親近感が安心感につながっている。また、徒歩や自転車圏の場合、交通費負担がないことはかなり重要な要素だということだ。
・黙々とできる仕事がある
年末年始は、特に年賀状を中心とする「仕分け」業務がある。実際に短期アルバイトをした若者に数名に聞いたところ、無理に誰かと仲良くするひつようもなく、一度仕事を覚えてしまえば黙々と作業ができるため、精神的にかなり楽だという。時折コミュニケーションが発生しても業務についてのものであり、個人を詮索されるようなところにはほとんど発展しないようだ。
その他、短時間勤務から入ることができ、申し込みの際もいまはウェブで行うことができる。「電話をかける」「直接店舗に行く」ことをしなくていいだけで相当の安心感につながるということであった。また、支援機関では一緒に時間を過ごす仲間が既に体験していたり、過去の利用者がきっかけとしての郵便局アルバイトを話してくれたりと、経験者による生の声も効いている。
私がヒアリングしたのは現在無業の若者限定であるが、「初めて働く」「久しぶりに働く」「少しだけ働く」「期間限定で働く」を希望するひとたちは若者に限らず、それであったらというひともいるだろう。
どうも採用難はさまざまな企業に起こっていることのようで、中堅中小企業から個人事業主まで、この数年、働き手を探しているとの連絡を受ける。若者支援を10余年してきて、これほど連絡が来た経験はない。そのとき、正社員で採用することや、未経験でもまったく問題ない、ということを言われるが、多くの若者が年末年始の郵便局の短期アルバイトに期待し、それを希望するところを見ると、郵便局から学べることも少なくないのではないかと思うのだ。