Yahoo!ニュース

【2021年末企画】Jリーグの”スーパーおじさん”オーバー30ベスト11

河治良幸スポーツジャーナリスト
(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

メリークリスマス!

Jリーグも天皇杯の決勝で今シーズンの全日程が終わり、来シーズンに向けた移籍の情報が各クラブのファンサポーターを一喜一憂させている時期です。

2021年のJリーグを振り返る年末企画として、”スーパーおじさん”オーバー30ベスト11を筆者の目線で選んでみました。基準は出場時間、ゴールやアシストなどの数字、プレーの内容など。同等のパフォーマンスであれば、より年齢が高い選手を優先しています。

GKはポジションがら高年齢でバリバリの選手が多いですが、やはり菅野孝憲(北海道コンサドーレ札幌)をあげないわけには行きません。37歳と、J1の正GKクラスでは最高齢ですが、攻撃的なスタイルの背後で見せた数々のビッグセーブは反応だけでなく、経験に裏打ちされた的確なポジショニングの賜物であると思います。

今回は菅野を選びましたが、22歳の大迫敬介と激しいポジション争いを演じながら、11試合に出場した39歳の林卓人(サンフレッチェ広島)もいます。その他、川崎フロンターレの連覇を背後から支えた36歳のチョン・ソンリョン、4年ぶりの代表復帰を果たし、浦和レッズの天皇杯の優勝にも大きく貢献した35歳の西川周作、彼と同年齢ながら、もはや人間としての年齢が気にならない東口順昭(ガンバ大阪)など、難しいシーズンの中でパフォーマンスが落ちないどころか、むしろ上がった感すらある彼らの活躍が目立ちました。

センターバックは森重真人(FC東京)が傑出していました。34歳ですが身体能力を高いレベルに維持しながら統率力、局面の集中力が目を引きました。さらにジュビロ磐田のJ2優勝&J1昇格を支えた37歳の大井健太郎、もう一人は惜しくもJ1昇格こそ逃しましたが、的確なカバーリングとフィードでアルビレックス新潟を持ち立てた36歳の千葉和彦を選びました。

3バックにしたので、サイドバックはウイングバックも含める形で左右それぞれ選びたいと思います。やはり豊富な活動量が求められるポジションで、年齢が若めな傾向にありますが、右はJ3の29試合に出場し、先発でも途中投入でもさすがの存在感を示した40歳のの駒野友一(FC今治)を選びました。

左はフリーから4月末に加入したファジアーノ岡山でサイドバックの主力に定着し、特に後半戦の働きが目立った35歳の宮崎智彦です。左サイドは名古屋グランパスでフル稼働し、代表入りを期待する声も聞かれた31歳の吉田豊、Jリーグに電撃復帰し、自らを”おっさん”と名乗りながらも代表の主力を張る35歳の長友佑都など、非常に激戦区ですが、宮崎の”復活劇”は中高年のサッカーファンに勇気を与える象徴的なトピックだと思います。

ボランチの一人は筆者ではなくても、ほとんどの人が文句なしに選ぶでしょう。41歳の遠藤保仁(ジュビロ磐田)。35試合、そのうち34試合をスタメンで中盤から卓越したプレーメイクを披露し、磐田を再びJ1に導きました。ガンバ大阪からの完全移籍が伝えられますが(公式リリースは未定)、古巣のファンサポーターから復帰待望論が多く出たほど。J1の舞台でどのような活躍をするか注目です。

もう一人は中盤のゲームコントローラーとして、徳島ヴォルティスのJ1での奮闘を心身両面で鼓舞した33歳の岩尾憲にしました。無論、現在も名前の通り深い味わいあるプレーで、サンフレッチェ広島の主軸を担う35歳の青山敏弘など、経験が生きやすいポジションなので、選出にふさわしい候補は多かった中でも遠藤と岩尾のパーソナリティは特筆に値するものが見られました。

残る三人は二列目とFWから。二列目はこれもほぼ満場一致だと思いますが、8ゴール4アシストという数字以上に輝きが目立った35歳の家長昭博(川崎フロンターレ)とワールドクラスのテクニックに加えて、円熟味のあるプレーでも観る者を惹き付ける37歳のイニエスタ(ヴィッセル神戸)です。

1トップはパフォーマンスを基準にすればJリーグ・アウォーズのMVPにも輝いた32歳のレアンドロ・ダミアンがナンバーワンなのですが、企画の通り年功序列も加味して、J2で21得点11アシスト、合計32と言う驚異的なゴールスコアリングポイントを記録し、京都サンガをJ1昇格に導いた37歳のピーター・ウタカにしました。

さらにコロナ禍での5人交代制が結果に大きく影響したシーズンでもあり、途中出場から勝負を決定付けるベテランの活躍が目立ちました。その中でも”もう一人のエース”として二桁得点を記録した34歳の小林悠(川崎フロンターレ)をジョーカー枠で選びたいと思います。オーバー30ベスト11もとい、オーバー30ベスト12ですね。

そうした”スーパーおじさん”たちの仕事ぶりが目を引く一方で、阿部勇樹(浦和レッズ)などJリーグの歴史を築いて来たレジェンドの現役引退が多く発表された年でもありました。彼らにこの場を借りて改めて「お疲れ様。セカンドキャリアでの活躍も期待します」と伝えたいですが、来年は誰が”スーパーおじさん”と呼べる活躍を見せるのか。年末年始の契約更新や移籍のニュースを追いながら、来シーズンへの楽しみを膨らませたいと思います。

2021Jリーグのオーバー30ベスト11もといベスト12(選者:河治良幸)
2021Jリーグのオーバー30ベスト11もといベスト12(選者:河治良幸)

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

河治良幸の最近の記事