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仮想”国内組”森保ジャパン”(3ー4ー2ー1編)

河治良幸スポーツジャーナリスト
(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

北中米W杯を目指す”森保ジャパン”はアジア最終予選でも好ダッシュで、史上最強の声も高まっています。本格的に導入された攻撃的な3バックが注目されますが、海外組が大勢を占める現在、E-1選手権の開催もしばらく中で、もし”国内組”だけで3ー4ー2ー1想定のメンバーを選考したらどうなるのか。

Jリーグと日本代表を継続的に取材する筆者の目線で27人を選んでみました。なお能力的に招集の資格があっても、怪我で離脱中だったり、コンディションを崩している選手は対象外としました。またオールスター選抜ではないので、タイプの組み合わせや年齢的なバランスも多少、考慮しています。

GKの3人は素直に、大迫敬介(サンフレッチェ広島)、谷晃生(FC町田ゼルビア)、前川黛也(ヴィッセル神戸)という最近の”森保ジャパン”で招集されている3人で構成しました。よく見るとJリーグの上位3チームでゴールマウスを守る3人というのが興味深いです。ハイラインの3バックを守るという意味では小島亨介(アルビレックス新潟)や一森純(ガンバ大阪)も資質はあるかもしれません。

3バックは6人で構成しています。右はリアル”森保ジャパン”にも招集されている高井幸大(川崎フロンターレ)と望月ヘンリー海輝(FC町田ゼルビア)の二人、中央は統率力と安定感を備えた中谷進之介(ガンバ大阪)と山川哲史(ヴィッセル神戸)、左は三國ケネディエブス(名古屋グランパス)と畠中槙之輔(横浜F・マリノス)です。中谷にはキャプテンを任せたいと思います。

基本は同数でも守れる守備能力とハイプレスで4ー4ー2に可変しても対応できる柔軟性を想定しています。少し悩んだのは左で、レフティーも含めてリストアップしましたが、三國は名古屋で中央と左の両ポジションをこなしていること、右利きながら左足のキックに磨きをかけていることを評価しています。畠中も現在は4バックの右センターを担うことが多いですが、本来は左を得意とする選手で左右のキックを蹴れるので、こちらに回しました。

左右ウイングバックは”森保ジャパン”の基準だと、ウイング色の強いアタッカーを並べたいところですが、強度の高い守備ができることが大前提になるので、Jリーガーから選ぼうとすると、サイドバックもこなせるタレントがベースになってきます。右はリーグ戦9得点を記録している濃野公人(鹿島アントラーズ)とパリ五輪代表で、攻撃性能の高い関根大輝(柏レイソル)の二人に。

望月はサイドバックながらアップダウンの能力が高く、このポジションでも選択肢になります。中野就斗(サンフレッチェ広島)も3バック右と右ウイングバックの併用で入れたいところですが、9月の招集実績と、飛び道具としての有用性を考えて、今回は望月を優先しました。

左は守備能力と攻撃センスを兼ね備える東俊希(サンフレッチェ広島)がファーストチョイス。大畑歩夢(浦和レッズ)はサイドバックの選手ですが、パリ五輪でも見せた推進力と相手陣内でのクオリティを発揮できれば”森保ジャパン”のウイングバックも担えるはずです。長友佑都(FC東京)はあらゆる状況に対応できる経験とチームをまとめる”キャプテンマークを巻かないリーダー”として重要です。

ボランチは河原創(川崎フロンターレ)と川辺駿(サンフレッチェ広島)がファーストセット。リアル”森保ジャパン”よろしく、ボールを奪う能力と素早い切り替えから縦に付けるファーストパス、機を見た攻め上がりという3つの要素をベースに、トータルバランスも加味しました。さらに展開力に優れる秋山裕紀(アルビレックス新潟)と田中駿汰(セレッソ大阪)、そして機動力があり、中盤のポリバレントでもある川﨑颯太(京都サンガ)という構成です。

ボランチは技術面などを基準に評価すればJリーグもハイレベルな選手が多く、ファンサポーターからも「〇〇選手は?」という意見も多くあると思いますが、国際基準でアジア、世界を意識しても通用する攻守のインテンシティーが、大前提で必要になります。もちろん知念慶(鹿島アントラーズ)もリストアップはしましたが、現在のコンディションを考慮して今回は外しています。

2シャドーはリアル”森保ジャパン”でも10番タイプ、8番タイプ、シャドーストライカーなど最も多様なタイプが揃い、競争も激しいポジションになっています。テクニカルなアタッカーやドリブラーも欲しいと考えて、山田新(川崎フロンターレ)、武藤嘉紀(ヴィッセル神戸)、紺野和也(アビスパ福岡)、小森飛絢(ジェフ千葉)、荒木遼太郎(FC東京)の5人になりました。

山田や小森はFWの選手ですが、おそらく”森保ジャパン”だと1トップは相手ディフェンスを背負うことが多くなるため、幅広くフィニッシュに絡めるシャドーがメインになるでしょう。紺野は左足のキッカーも想定しています。荒木は困った時の局面打開力に期待です。能力的には宮代大聖(ヴィッセル神戸)や山見大登(東京ヴェルディ)も面白いタレントですが、2シャドーを想定したタイプのバランスを考えて、今回は次点としています。

1トップはパワー、スピード、決定力を兼ね備えるジャーメイン良(ジュビロ磐田)、そしてサイズ的にも世界の強豪に引けを取らない原大智(京都サンガ)と木村勇大(東京ヴェルディ)の二人。原に関しては大型FWながら、ウイング的な役割もこなせる前線のポリバレントとしても期待できるので、ジャーメインや木村との併用も可能です。

今回の仮想”国内組”森保ジャパン(3ー4ー2ー1編)”を選考してみて、リストアップと絞り込みでも作業が面白かったので、読者の皆さんもぜひ、それぞれの視点で選んでみてください。欧州組が大勢を占めるリアル”森保ジャパン”に国内組が食い込んでいくのはかなり難しいですが、今後の招集にここから一人でも多く入ってくれると期待しています。

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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