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アップル、iPhone依存から脱却へ、世界出荷3%減・売上9%減もサービスや他のハード好調

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー
(写真:ロイター/アフロ)

 米調査会社のストラテジーアナリティクスによると、今年(2019年)7〜9月期のスマートフォン世界出荷台数は3億6630万台となり、1年前に比べて2%増加した。

「スマホ需要は回復しつつある」

 微増にとどまったものの、プラス成長は2017年7〜9月期以来、2年ぶり。メーカー間の価格競争に加え、より大きなディスプレーや5G通信といった新たな技術によってスマートフォン需要は回復しつつあるという。

 同四半期のメーカー別出荷台数ランキングは1位から、韓国サムスン電子、中国ファーウェイ(華為技術)、米アップル、中国シャオミ(小米科技)、中国オッポ(広東欧珀移動通信)の順。

 このうち台数が前年同期から増えたのは1位のサムスンと2位のファーウェイのみ。サムスンは同8%増の7820万台、ファーウェイは同29%増の6670万台だった(図1)。

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  • 図1 スマートフォンのメーカー別出荷台数と市場シェア(出典:米ストラテジーアナリティクス)

 サムスンは高価格の「Galaxy Note 10」と普及モデルの「Galaxy A」シリーズに支えられ、出荷台数と利益がともに増えた。ファーウェイは米中貿易摩擦などの政治的先行き不透明感の払拭を狙い、自国市場の販売を強化。中国の出荷台数を急拡大させたという。

iPhone販売が回復傾向

 3位のアップルの同四半期出荷台数は、前年同期比3%減の4560万台。依然マイナス成長だが、これまで大幅減が続いていたアップルにとっては1年ぶりの好結果。

 価格を下げた普及モデルの「iPhone 11」やアジア地域と米国における堅調な需要が寄与し、iPhoneは回復傾向にあるという。

 これはアップルの直近の業績報告ともおおむね一致している。同社の今年7〜9月期の売上高は前年同期比2%増の640億4000万ドルだった。

 iPhoneの売上高は同9%減の333億6200万ドル。アップルは製品の販売台数を公表していないが、おそらく普及モデルの販売が伸びたことが、売り上げの減少につながったのだろう。

非iPhoneの売上ほぼ5割に

 一方で、アップルはiPhone以外の事業の収益を伸ばしている。

 例えばタブレット端末「iPad」は前年同期比17%増。腕時計型端末のApple Watchなどの「ウエアラブル・家電・アクセサリー」は同54%増。

 アプリや音楽の配信などの「サービス」は同18%増加した。サービスの金額は125億1100万ドルとなり、四半期として過去最高を更新した。

 また非iPhoneの売上高は306億7800万ドルで、前年同期比17%増となった。その同社売上高全体に占める比率は1年前の4割からほぼ5割(48%)へと拡大した。

ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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