シリア政府と反体制派が平和的且つ正式な権力移譲で合意:アサド大統領の所在は不明
「シリアのアル=カーイダ」として知られるシャーム解放機構(HTS、旧シャームの民のヌスラ戦線)が主導する「攻撃抑止」軍事作戦局が11月27日にシリア北部での一大侵攻作戦を開始してから12日目となる12月8日、同軍事作戦局は首都ダマスカスに入った。
「攻撃抑止」軍事作戦局の進入により、シリア軍との間で散発的な交戦が発生したようだが、首都ダマスカスは事実上無血開城された。
首都ダマスカス、そしてシリアの情勢はいまだ余談を許さないが、首都ダマスカスの無血開城に関して、現地からの情報によると、シャーム解放機構(「攻撃抑止」軍事作戦局)とムハンマド・ガーズィー・ジャラーリー内閣との間で、同内閣が暫定的に行政を担うことに合意したという。
この情報を裏づけるかのように、「攻撃抑止」軍事作戦局は12月8日午前6時39分、テレグラムに開設した専用のアカウントを通じて、シャーム解放機構の指導者であるアブー・ムハンマド・ジャウラーニーは以下の通り発表している。
また、内閣のフェイスブックの公式アカウントでは、午前8時15分、ジャラーリー首相が自宅で撮影したビデオ声明を掲載し、ダマスカスに留まり、公的機関の運営に尽力し、国民に教育、保健、電気などのサービスを提供し続けると表明し、政府関係者、反体制派の双方に協力を呼び掛けた。
ジャラーリー首相の声明の概要は以下の通りである。
ルアイ・ムナッジド国内通商消費者大臣ら閣僚そして省庁も同様の声明を内閣のフェイスブックのアカウントで公開した。
今後当面は、シリア政府(内閣)とシャーム解放機構の合意が履行されるかが注目される。
アサド大統領の所在について、「攻撃抑止」軍事作戦局は12月18日午前6時16分、「独裁者バッシャール・アサドは逃げた」と発表している。
これに関して、国家元首、軍武装部隊総司令官(大将)、与党バアス党党首(中央指導部書記長)、連立与党連合の進歩国民戦線書記長を務めるアサド大統領、そしてこれまで戦況報告を頻繁に行ってきた国防省からの発表もいまのところない。
権力移譲とともに、アサド大統領や国防省(つまりはシリア軍)の対応もまた、シリア内政において当面の注目点となる。