スマホの世界販売、アップル13.8%減、華為16.5%増
米国の市場調査会社ガートナーが先ごろまとめた世界スマートフォン販売統計(小売りベース)によると、今年4〜6月の販売台数は3億6800万台となり、1年前の同じ時期から1.7%減少した。
高価格帯端末への需要が減速しており、その度合いは中価格帯端末よりも大きいという。こうした中、メーカー各社は、複数のレンズを備えるカメラやベゼルのないディスプレー、大容量バッテリーといった、従来は旗艦モデルに搭載していた機能をより低価格のモデルに搭載し、買い替え需要の喚起を図っている。
サムスンと華為で世界の3分の1占める
4〜6月期のメーカー別販売台数は上位から、韓国サムスン電子、中国ファーウェイ(華為技術)、米アップル、中国シャオミ(小米科技)、中国オッポ(広東欧珀移動通信)の順。
これら5社の中で、顕著な伸びが見られたのはファーウェイとサムスンのみで、それぞれ1年前から16.5%と3.8%増加した(図1)。
- 図1 メーカー別スマートフォンの世界販売台数(インフォグラフィックス出典:ドイツ・スタティスタ)
ファーウェイの販売台数は約5800万台、サムスンは約7500万台。この上位2社の販売台数を合わせると、世界スマートフォン販売の3分の1以上を占める。
ファーウェイ、中国で31%増
このうちファーウェイについては、今年5月に米商務省が安全保障上の懸念を理由に米企業が政府の許可なく電子部品などを同社に販売することを禁じると発表した。これにより同社のスマートフォン事業に対する不安が広がり、海外販売が低迷した。
しかし、同社は世界最大のスマートフォン市場である中国で積極的なプロモーションを展開。高いブランド力も手伝って、中国市場における四半期販売台数は過去最高を更新。1年前から31%増加した。
サムスン、旗艦モデルの需要が弱まる
サムスンはAシリーズなどの中価格端末や低価格端末が好調だったものの旗艦モデル「Galaxy S10」への需要が四半期途中で弱まった。ガートナーは、旗艦モデルの年間販売台数で前年実績を上回るという目標の達成は困難かもしれないと指摘している。
「アップルは転換点を迎えた」
アップルは4〜6月期に約3800万台のiPhoneを販売した。これは1年前から13.8%減。1〜3月期と比べて小幅な落ち込みにとどまったが、減少は続いている。前モデルからの買い替えを促す要素が少なすぎたとガートナーはみている。
アップルの4〜6月期の決算は、アプリや音楽の配信などのサービス売上高が1年前から12.6%増の114億5500万ドルとなり、四半期として過去最高を更新した。
アップルの売上高全体に占めるサービスの比率は21%に上昇している。こうしたことから、アップルの事業は転換点を迎えたようだとガートナーは指摘している。
年後半も需要低迷
中国の4〜6月期の販売台数は、1年前から0.5%増の1億100万台だった。インドは同2.3%減の3570万台。世界のスマートフォン販売は2019年後半も引き続き低迷し、年間販売台数は15億台にとどまると予測している。
- (このコラムは「JBpress」2019年9月3日号に掲載された記事をもとに、その後の最新情報を加えて再編集したものです)