【恐怖】NASAが公開した超巨大ブラックホールの「音」
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「NASAが公開した超巨大ブラックホールの音」というテーマで動画をお送りしていきます。
●ペルセウス座銀河団BHの音
そもそも「音」とは一般的に、物質(媒質)を伝わる波です。
私たちは地球の空気を伝わる波を音として聞いています。
宇宙空間には地球大気のような波が伝わる媒質が存在しないため、音は伝わらないというのが一般常識になっています。
ですがNASAは、これを「誤解」であるとしています。
例えば何百もの銀河が集まった巨大な銀河の集団「銀河団」では、地球の大気ほどではないものの非常に高密度でガスが存在していて、これが音が伝わる媒質になるそうです。
特に今回の主役である、地球からペルセウス座の方向に約2億2200万光年彼方にある「ペルセウス座銀河団」では、その中心にある超巨大ブラックホールから放たれた圧力波が周囲にある大量の超高温ガスを媒質として伝わっています。
これは非常にマクロなスケールの音波と捉えられます。
ただし何万光年単位という本当にマクロなスケールでのガスの密度の濃淡を音波と捉えているので、あまりに低い音過ぎて本来であれば人間には聞こえません。
そのため人間の耳にも聞こえるよう、音の高さを非常に高めています。
この音は、チャンドラX線観測衛星が解明した、銀河団中心のブラックホールから見た方角ごとのガスの濃淡を音波として捉えて、実際に聞こえる音に編集した上で公開されています。
先述の通り元々は人間の耳には聞こえないほど低い音ですが、57-58オクターブ上げて聞こえる音にしています。
1オクターブ上がると周波数は2倍になるので、これは元の音の2^58倍、つまり28京8000兆倍も周波数を上げていることになります!
そしてこの音波が周囲のガスに伝わることで、ガスの温度が過去10億年という長い間にわたって、実に3000万度という超高温に保たれています。
これだけ高温だからこそ、ここから放たれたX線によってガスの濃淡が判明し、人間の耳に聞こえる実際の「音」として私たちが楽しめているわけです。
●ブラックホール衝突時の音
またブラックホール関連で、ブラックホールが衝突した瞬間に発生する「重力波」を音波に変換したものも公開されているので、こちらも併せて紹介します。
ブラックホールの衝突の過程では、強い重力波が発生します。
重力波とは、時空のゆがみが波として伝播していくものです。
質量をもつ物体が運動すると、それに伴って時空のゆがみが波となって光速で伝わっていきます。
重力波が通過すると空間が伸び縮みします。
しかし、重力はとても弱いため、重力波の効果は非常に小さなものです。
例えばダンベルを振り回すだけでも重力波が発生しますが、そのパワーはとてつもなく弱いです。
太陽をめぐる惑星や恒星同士の連星でさえ、人類が検出できるレベルの重力波を発することはありません。
重力波が検出される可能性が高いのはブラックホールや中性子星などの非常に高密度な天体同士の合体の瞬間です。
人類が初めて重力波イベントを捉えたのは、2015年9月14日のことでした。
この日、LIGO(レーザー干渉計重力波天文台)の2つの観測所でほぼ同時に重力波が観測されました。
この信号は地球から約13億光年離れた場所で起ったブラックホールの合体による重力波であることが確認されました。
LIGOは、この重力波を音波に変換し、それを一般公開していたので、今からそれを流します。
最初に2回流れる低い音は、音波の周波数がブラックホール衝突によって発生した重力波の周波数と完全に一致しています。
その次に2回流れる高い音は、人間の可聴域に合わせて周波数を高くしたものです。
ほんの一瞬の出来事ですが、ブラックホール衝突の瞬間に近付くにつれ、ブラックホール同士の距離も近付き、音波の周波数は上昇し高い音に、振幅は大きくなり大きな音になっているのがわかります。
LIGOが観測した重力波信号は時間にしてたったの0.2秒程度でした。
ですがこの非常に短い重力波の波形から、それぞれ太陽質量の36倍と29倍のブラックホールが合体し、太陽質量の62倍のひとつのブラックホールができた現象であることが判明しました。
相対性理論によると質量はエネルギーに変換可能です。
失われた太陽3個分(地球100万個分)の質量は、重力波のエネルギーとして一瞬にして放出されました。
この重力波のエネルギーは、地球から現在の距離で465億光年以内の観測可能な宇宙の中にある全ての星や銀河が放つ光のエネルギーの、さらに50倍も大きいエネルギーとなります!
まさに異次元の天体現象です。
また、合体の直前には、ブラックホールが光の速度のおよそ60%もの速度で運動していたこともわかりました。