東京オリンピックに向けて、イタリアで野球コンベンション開催
イタリア・野球ソフトボール連盟主催のコーチ・コンベンションが1月26日から28日までの3日間、アドリア海に面した町、リッチョーネで行われた。リッチョーネは、野球が盛んなリゾート都市、リミニ郊外の町で、かつてはプロリーグ、IBLリミニ球団のファームチームがあったところである。このコンベンションは、毎年1月末に行われ、アメリカや日本の野球先進国から人材が派遣され、最新のコーチングや技術をイタリアに伝えている。イタリア国内から集まった800人の指導者、審判員、スコアラーは、細かなルールの変更点などの説明に熱心に耳を傾けていたという。
日米でも話題になった守備妨害をテーマにしたこのコンベンションには、日本のプロ野球・NPBから国際派の平林岳審判が参加、コリジョンルールやゲッツープレイの際のセカンドへのスライディングについて解説したという。また、スペシャルゲストとしてアメリカからあのバレンタインも出席、コンベンションに花を添えた。
そして、もうひとり、なつかしいあの顔も。
アレックス・マエストリ。オリックスで活躍したイケメンピッチャーだ。野球の盛んなリミニ育ちの彼は、その隣町、サンマリノ共和国のチームでプロキャリアをはじめ、その後、アメリカ、オーストラリアを経て日本の独立リーグ、四国アイランドリーグplusに加入、ここからジャパニーズ・ドリームを叶えた。
オリックス退団後は、韓国リーグやルートインBCリーグでプレー、昨シーズンはメキシカンリーグのアギラスロッホス・デル・ベラクルス(ベラクルス・レッドイーグルス)で、先発投手として3勝8敗の星を挙げた。今シーズンは6年ぶりにイタリア球界に復帰を決め、セミプロリーグとして再出発する国内トップリーグ・セリエAの古巣、サンマリノと契約し、野球選手とビジネスの二足の草鞋で、オリックス在籍時に射止めたアルゼンチン人妻とともにイタリアに生活の拠点を置くことにしたという。
彼が手掛けるビジネスとは、グローブの販売だ。昨年プレーしていたメキシコ製のものを輸入し、入手の難しいイタリアで売るという。実は、野球道具の販売は、独立リーガーや野球未発達の国々の選手のサイドビジネスとして、ポピュラーなものなのだ。確かに、ヨーロッパの街中で野球道具を売ることは商売になりにくいが、チームメイトという優良顧客がいる中でのビジネスとしては成功が見込めるだろう。また球場にやってくるファンも野球道具を欲しがっているに違いない。
2020年の東京オリンピックで野球が復活することもあって、世界中で野球復興の機運が高まってきている。主な国際大会だけでも、今年はU23ワールドカップが中米ニカラグアで、来年はプレミア12が日韓台の東アジア3か国・地域とメキシコで開催される。オリンピックに向けて、世界各国の野球の動向にも目を向けていきたいものだ。
(写真はイタリア野球ソフトボール連盟/FIBS提供)