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香港発。週末&お手頃プライスで堪能するスターシェフの美食クルーズ

寺田直子トラベルジャーナリスト 寺田直子
実力派シェフたちが乗船。海をテーマにオリジナルメニューを披露する/筆者撮影

そろそろ登場するのではないかと思っていたのがグルメに特化したクルーズ商品だ。すでにエアラインや観光列車などでは人気シェフ監修の料理やスイーツを提供している。さらにホテルでもミシュランの星を獲得する話題のシェフとのコラボレーションやポップアップと呼ばれる期間限定のレストランを立ち上げるなど「食」に特化したイベントが増えている。そんなグルメトレンドの中で登場したのが「ワールド ドリーム」号での「テイスト・ザ・ドリーム- ワイン&ダイン・アット・ザ・シー(以下テイスト・ザ・ドリーム)」。まさにクルーズに食べる楽しみを加味した内容となっている。

出航前のワールド ドリーム号。アジア初のプレミアム船として2017年11月に登場の最新造船。ドイツの造船所で作られた15万トン超、乗客定員3376名のメガシップだ/筆者撮影
出航前のワールド ドリーム号。アジア初のプレミアム船として2017年11月に登場の最新造船。ドイツの造船所で作られた15万トン超、乗客定員3376名のメガシップだ/筆者撮影

運行するのはドリームクルーズ社。同社は2016年にアジア初の15万トン超えのプレミアム船として「ゲンティン ドリーム」を2017年「ワールド ドリーム」の2隻を就航。「ワールド ドリーム」は香港、「ゲンティン ドリーム」はシンガポールを母港に2泊3日~5泊6日の沖縄、東南アジアを周遊するショートクルーズを行っている。今回の「テイスト・ザ・ドリーム」は香港発着、2泊3日のクルーズとなる。

今後の日程と同乗するシェフは以下のとおり。

9月14~16日

9月28~30日

ワン・タッコン氏

広東料理の第一人者。横浜ロイヤルパークホテル「皇苑」で料理長を務めたほか、青森県のフードアンバサダー、早稲田大学の特別講師、NHK「きょうの料理」に出演するなど日本でもおなじみ。

10月5~7日

10月19~21日

ヴィッキー・チェン氏

香港でミシュラン1つ星を獲得した最年少シェフ。ニューヨークにある「ダニエル」をはじめ著名なフランス料理シェフのもとで修業。手がける香港の「VEAレストラン&ラウンジ」は開店直後にミシュランの星を獲得、サウスチャイナ・モーニングポストのトップ100テーブルやCNN香港のベストニューレストランに選出される。

11月9~11日

クリスチャン・ヤン氏

世界中を旅する料理愛好家であり、「料理のマジシャン」としても知られている。国内外の料理番組へ出演、制作を行い、またインドのムンバイにある中国料理レストラン&バー「タイフーンシェルター」の料理パートナーでもある。

11月23~25日

マーティン・ヤン氏

世界的に著名なセレブリティシェフであり、受賞歴を誇る料理番組「ヤン・キャン・クック(邦題:ヤンさんの自慢料理)」のホスト。香港で修行後、カナダへわたる。料理界のアカデミー賞と言われるジェームス・ビアード賞においてベストフードドキュメンタリーショーを連続で獲得。

「テイスト・ザ・ドリーム」の晩餐用に整えられたテーブル/筆者撮影
「テイスト・ザ・ドリーム」の晩餐用に整えられたテーブル/筆者撮影
6月に開催された際のメニュー「パール・イン・ジ・オーシャン」は海をイメージ/筆者撮影
6月に開催された際のメニュー「パール・イン・ジ・オーシャン」は海をイメージ/筆者撮影
6月のメニューの一例。北海道産ウニ、ホタテのキャビアのせ。糟鹵(そうる)と呼ばれる老酒に香辛料を漬けた調味料で味付けされて個性的だ/筆者撮影
6月のメニューの一例。北海道産ウニ、ホタテのキャビアのせ。糟鹵(そうる)と呼ばれる老酒に香辛料を漬けた調味料で味付けされて個性的だ/筆者撮影
6月のメニュー例。メインはバターで仕上げたアワビ。下には乾燥アワビの出汁で炊き上げた9年熟成させたアクエレッロ米。うなる美味しさ/筆者撮影
6月のメニュー例。メインはバターで仕上げたアワビ。下には乾燥アワビの出汁で炊き上げた9年熟成させたアクエレッロ米。うなる美味しさ/筆者撮影

「テイスト・ザ・ドリーム」のもうひとつの特徴がワンランク上の「パレス」指定の宿泊になること。

「パレス」はスイートルーム利用者のための専用エリアでバトラーサービス付き。バルコニーを備えた「パレス スイート」に滞在し、「パレス」ゲスト専用のレストラン、ラウンジ、プールなどを満喫することができる。また、上記のスターシェフとワールド ドリームのエグゼクティブシェフによるコラボメニューの食事に加え、プレミアムドリンクプランやスペシャリティレストランでの食事、Wi-Fiのスタンダードプランなど、一般の客室には含まれないスイートだけの各種特典もついてくる。

最大4人まで利用できる「パレス スイート」/Dream Cruises提供
最大4人まで利用できる「パレス スイート」/Dream Cruises提供
「パレス」専用レストラン/Dream Cruises提供
「パレス」専用レストラン/Dream Cruises提供

この「テイスト・ザ・ドリーム」クルーズ。公式サイトでのオンライン予約の場合、ひとり638.95米ドル(約7万2000円)~。※2人1部屋の場合。日本からの飛行機も含めた旅行会社によるツアー料金は11万8800円~。※2人1部屋の場合。この値段でグルメな食事とスイートルーム、バトラーサービスを体験できるのはかなりお得だ。

※スイートのタイプ、利用人数、時期により変動あり。

子供たちの絶叫が響くウォータースライダー/筆者撮影
子供たちの絶叫が響くウォータースライダー/筆者撮影
本格的なロッククライミング施設も/筆者撮影
本格的なロッククライミング施設も/筆者撮影
VR体験がクルーズ船上でできるのも貴重/Dream Cruises提供
VR体験がクルーズ船上でできるのも貴重/Dream Cruises提供

もっと気軽にクルーズを楽しみたい、というのももちろんありだ。「テイスト・ザ・ドリーム」にこだわらなければさらにお手頃な料金で最新クルーズライフを満喫することができる。2017年新造船だけに全乗客共有の施設&サービスもさすが最先端。リゾート気分たっぷりのプールに加えてウォータースライダー、ミニゴルフ、ロッククライミング、ジップラインなど家族で楽しめる。また、VR(ヴァーチャルリアリティ)ゲームをそろえた「エクスペリエンスラボ」もクルーズとしては画期的だ。

※一部有料アクティビティあり。

朝食には蒸したての飲茶も味わえる/筆者撮影
朝食には蒸したての飲茶も味わえる/筆者撮影
ティファニー公認ハイティー体験は「ワールド・ドリーム」号のみ。1人98香港ドル(約1500円)/筆者撮影
ティファニー公認ハイティー体験は「ワールド・ドリーム」号のみ。1人98香港ドル(約1500円)/筆者撮影

また香港発着のクルーズならでは。朝食には熱々の飲茶や麺類、お粥が登場。ティファニーとコラボしたキュートなハイティーも。ティファニーブルーのスイーツ類はインスタ映えすると女性ゲストたちに話題だった。

温暖な香港ではナイトプールも楽しい/筆者撮影
温暖な香港ではナイトプールも楽しい/筆者撮影
クルーズの定番シアターでのショーも新造船ならでは。最新技術で見応えあり/筆者撮影
クルーズの定番シアターでのショーも新造船ならでは。最新技術で見応えあり/筆者撮影
日曜の朝9:00前後に香港に入港。海からの眺望もすばらしい/筆者撮影
日曜の朝9:00前後に香港に入港。海からの眺望もすばらしい/筆者撮影

香港を金曜の21:00に出航、日曜の朝9:00に帰着。最も安い内側の客室「インテリア ステートルーム」利用なら一人3万2600円~というお値打ちプライス。バルコニー付きの「バルコニー ステートルーム」でも一人4万8800円~。飛行機もマイル特典やLCCを活用すれば10万円で十分おつりがくるはずだ。

※2名一部屋利用の場合。コース、時期により変動あり。

ちなみに客層は大半が地元、香港から。気軽な週末レジャーとして、また誕生日などのアニバーサリーで三世代で乗船している人たちも多くみかけた。おじいちゃんおばあちゃんたちは太極拳レッスンをしたり映画鑑賞、孫たちはプールやVR体験など好みにあった時間を過ごせるのもクルーズの魅力。食事も基本ブッフェスタイルなのでみんなで楽しめる。

香港島・中環(セントラル)はインスタ映えするアートスポットで人気/筆者撮影
香港島・中環(セントラル)はインスタ映えするアートスポットで人気/筆者撮影
香取慎吾さんのストリートアートも登場。最新話題スポットだ/筆者撮影
香取慎吾さんのストリートアートも登場。最新話題スポットだ/筆者撮影

さらにうれしいのが日曜の午前中に下船するので午後~夕方発のフライトを選べば香港の半日観光ができること。話題のアートスポットをまわったり、人気の飲茶レストランでランチを食べたり足マッサージをしたり。そんな遊び方をしても香港~日本のフライト所要時間は約4時間。日曜中には日本に戻ってこられる。

ちなみに「ワールド・ドリーム」の発着はカイタック・クルーズ・ターミナル。香港通にはなつかしいかつての「啓徳国際空港」跡地だ。

下船後はタクシーで近くの九龍駅へ。ここから現在の香港国際空港までエアポートエクスプレスが運行している。ありがたいことに駅で利用する航空会社への荷物のチェックインができるので身軽になってあとは手ぶらで香港観光を楽しめばいい。

今回、乗船して実感したのは新しい客船の快適性と設備の充実度&エンターテイメント性のクオリティの高さだった。wifi速度からシャワーの湯量、さらにショーの見応え、アプリによる予約管理といったハイテク体験など満足度は非常に高かった。

週末の香港クルーズ。筆者も再度、友人か家族連れで乗船しようと考えている。ぜひ秋のレジャーシーズンの参考にしてほしい。

ドリームクルーズ公式サイト(日本語)

香港政府観光局公式サイト(日本語)

トラベルジャーナリスト 寺田直子

観光は究極の六次産業であり、災害・テロなどの復興に欠かせない「平和産業」でもあります。トラベルジャーナリストとして旅歴40年。旅することの意義を柔らかく、ときにストレートに発信。アフターコロナ、インバウンド、民泊など日本を取り巻く観光産業も様変わりする中、最新のリゾート&ホテル情報から地方の観光活性化への気づき、人生を変えうる感動の旅など国内外の旅行事情を独自の視点で発信。現在、伊豆大島で古民家カフェを営みながら執筆活動中。著書に『ホテルブランド物語』(角川書店)『泣くために旅に出よう』(実業之日本社)、『フランスの美しい村を歩く』(東海教育研究所)、『東京、なのに島ぐらし』(東海教育研究所)

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