U-18W杯が開幕 開催地の韓国の様子は?現地でも注目は佐々木(大船渡)
8月30日に18歳以下の野球の国際大会、「第29回WBSC U-18ベースボールワールドカップ(W杯)」が開幕した。開催場所は韓国南東部、プサン(釜山)広域市のキジャン(機張)郡。その開催地について、そして現地の様子をお伝えする。
カニで有名な地域に4面の野球場
韓国第2の都市・プサン。その中心部から北東に二十数キロ、車で約1時間のところキジャンはある。近年、プサンのベッドタウンとして発展し始めているキジャン。そのキジャンで有名なのはカニだ。キジャン市場では手頃な価格で新鮮なカニが食べられると地元っ子はもちろん、最近では観光客にも人気がある。
U18W杯の会場は「キジャン・ヒョンデ(現代)車ドリームボールパーク」。2016年に開場したこの施設は野球場が4面あり、今大会では3つのグラウンドを使用する。このボールパークには少年野球場とソフトボール場も併設。近隣には複数のサッカー場やテニスコートも備えた一大スポーツビレッジとなっている。
プサンのビーチリゾート地・ヘウンデ(海雲台)からタクシーで約30分、最寄り駅はトンヘ(東海)線のイルグァン(日光)駅で、タクシーで約7分の距離にある。(料金:約6,000ウォン/約538円)。
そのほかの会場へのアクセスは市内バス(182、187番)のチョングァン・アシアードカントリークラブバス停から徒歩15分、またマウルバス(コミュニティバス)のキジャン郡8番と9番は大会期間中、会場に臨時停車すると主催者側は発表している。
韓国でも注目は佐々木(大船渡)
韓国でのこの大会への関心は日本のようにあまり高くない。そんな中でも160キロ右腕の佐々木朗希(大船渡)の名は韓国でも知られている。
29日の日本代表の前日練習を見ていたLGツインズの元打撃コーチで、現地のテレビ中継の解説を務めるソ・ヨンビン氏(48)は「佐々木は指(血マメ)、大丈夫?試合に投げられる?」と気にかけていた。
14年に中日ドラゴンズでコーチ研修の経験があるソ・ヨンビン氏。ウォーミングアップをする佐々木を見て日本語を交えながら、「佐々木は足も速い。日本はいい若い選手が次々と出てきていいね」と感心していた。
不安をあおる日本のムードと現実とのギャップ
今大会は日韓の国家間の問題がある中での開催ということで、日本代表の韓国訪問を不安視する声が日本の一部ではある。そういった反応について、これまで150回以上の訪韓歴があるという侍ジャパンの関係者はこう話した。
「(ニュースなどの)刺激的な映像はごく一部で起きていることだけど、それが繰り返し流れたらそれがすべてだと思ってしまう人もいるよね」
筆者はこの7~8月の間、数回にわたり日本と韓国を行き来しているが、日本では韓国に関することを「韓国」とひとくくりにして報じられているのに対し、韓国では「日本政府」と「日本人」を同一視していない、という違いがあると感じる。
その表れなのか両国間の関係が悪化して以降、これまでよりも韓国人に親切にされることが多い。
韓国人は元々、世話焼きな人が多いが、ここ最近はとみに丁寧に扱われていると思うことが少なくない。
これは「あなた個人のことは敵対していません」という意思表示のように感じられる。韓国に滞在する他の日本人からも同じような声が聞かれた。
ちなみに大会前日の侍ジャパンU-18代表を乗せたバスは、宿舎と球場間をパトカーの先導によって守られて移動した。
強豪アメリカが4連覇中
韓国でのU18大会開催は大谷翔平(花巻東-現・エンゼルス)、藤浪晋太郎(大阪桐蔭-阪神)らが出場した12年以来7年ぶり。その韓国開催以後、U18大会(当時の名称はAAA世界野球選手権)はアメリカが4連覇している。
2年前、カナダのサンダー・ベイで行われた前回大会は優勝のアメリカに次いで韓国が2位、日本は3位だった。
今大会には12の国と地域が参加。韓国はグループA、日本はグループBでオープニングラウンドを戦い、勝ち上がるとスーパーラウンドで顔を合わせることになる。決勝・3位決定戦は9月8日に予定されている。
◇第29回WBSC U-18ベースボールワールドカップ出場チーム
グループA
韓国、オーストラリア、オランダ、カナダ、ニカラグア、中国
グループB
日本、アメリカ、チャイニーズ・タイペイ、パナマ、南アフリカ、スペイン