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温泉に入ると美人になれる? 「美肌」に効果のある4つの泉質

高橋一喜温泉ライター/編集者

日本の温泉地には「美人の湯」「美肌の湯」と称される源泉がある。

本当に美しくなれるのだろうか。

多くは美肌に興味のある女性客の注目を集めるために、温泉地や旅館がPRしている面はあるが、もちろん泉質的にも根拠がある。

三大美人泉質とは?

泉質の面から特に美肌効果があるとされているのが、次の3つの泉質だ。これらは「三大美人泉質」と称されることもある。

①炭酸水素塩泉

②硫酸塩泉

③硫黄泉

①炭酸水素塩泉は、角質が分解されやすいという特徴がある。いわば「クレンジング効果」である。肌に水分が吸水されやすく、ツルツルになるのが特徴だ。ただし、入浴後は角質が落ちて乾燥しやすいので、保湿剤などでケアすることが大切である。

②硫酸塩泉は、肌を蘇生する効果があるとされる。入浴すると皮膚に皮膜がつくられ、しっとりとした肌になる。

③硫黄泉は、いわゆる硫黄臭を放つ湯である。シミなどを予防する効果があるとされる。

アルカリ性は肌にやさしい

これら3つの泉質に加えて、④アルカリ性の湯も美肌効果があるとされるので、覚えておくといいだろう。

①炭酸水素塩泉と同様に、古い角質層の新陳代謝を促す働きをもっているので「クレンジング効果」が得られる。

ちなみに、pH7.5以上が弱アルカリ性、pH8.5以上がアルカリ性で、基本的にpHの値が高いほどクレンジング効果が高いとされる。

「温泉分析書」を読み解くポイント

これらの泉質名については、脱衣所などに掲示されている「温泉分析書」で確認できる。小さい文字が並んでいて難しく感じるかもしれないが、必ず泉質名が表示されている。

ただ、泉質に詳しくない人は、戸惑う人も多いだろう。泉質名には長いものも多いからだ。たとえば、「ナトリウム・カルシウム‐炭酸水素塩・硫酸塩泉」などと表記されている。

それぞれに意味があるのだが、ここではあえて簡易的な読み解き方をお教えしよう。

ポイントは、中央の「‐」より右側に注目すること。

「炭酸水素塩・硫酸塩泉」と2つ以上の単語が並んでいるときは、左側にある「炭酸水素塩」のほうが成分として多く含まれていることになる。

したがって、この泉質はクレンジング効果のある「炭酸水素塩泉」と理解して差しさわりない。ただ、この泉質の場合、硫酸塩泉の成分も含まれているので、同時に肌の蘇生効果も期待できる。

硫黄泉については、「単純硫黄泉」「含硫黄」などと表記されていることが多いので、とりあえず「硫黄」という名が泉質名に入っていたら、シミ予防効果があると判断していいだろう。

なお、pHについても温泉分析書に必ず記載されている。

このように泉質について少し理解しておくと、自分の肌に合った「美人の湯」を見つけやすくなる。次回、温泉に出かける際は、泉質に注目してみよう。

温泉ライター/編集者

温泉好きが高じて、会社を辞めて日本一周3016湯をめぐる旅を敢行。これまで入浴した温泉は3900超。ぬる湯とモール泉をこよなく愛する。気軽なひとり温泉旅(ソロ温泉)と温泉地でのワーケーションを好む。著書に『日本一周3016湯』『絶景温泉100』(幻冬舎)、『ソロ温泉』(インプレス)などがある。『マツコの知らない世界』(紅葉温泉の世界)のほか、『有吉ゼミ』『ヒルナンデス!』『マツコ&有吉かりそめ天国』『スーパーJチャンネル』『ミヤネ屋』などメディア出演多数。2021年に東京から札幌に移住。

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