韓国大統領選挙は「元弁護士」対「元検事」の宿命の対決!韓流ドラマよりも面白い!
来年3月9日に予定されている韓国の大統領選挙は与党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)候補と最大野党「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソギョル)候補による事実上の一騎打ちとなる。
(参考資料:韓国の大統領選挙は「犯罪者同士」の大統領選? 敗れた候補は刑務所行き!)
二人とも奇しくも国会議員の経験はない。非国会議員同士の対決は韓国大統領選挙史上初めてである。
今年57歳の李候補は京畿道・城南市の市長から京畿道知事となったが、元職は弁護士である。
独学で1982年に大検を経て、中央大学法学部に入学。法学学士を取得し、1986年に司法試験に合格し、弁護士となった。城南市長になるまで城南市で人権派弁護士として働きながら政治家や公務員の不正腐敗を暴く市民活動を行ってきたことで知られている。
(参考資料:韓国次期大統領に最も近い男「李在明」とは何者? 対日政策は?)
一方、李候補よりも4歳年上の尹候補は検察出身で今年3月まで検察(検事)総長の座にあった。ソウル大学法学部、ソウル大学法科大学院で学び、1991年に9回目の挑戦で司法試験に合格し、検事の道を歩んだ。政治キャリアは皆無である。
来年の大統領選挙は奇遇にも前回(2017年5月)に続いて元弁護士対元検事による天下分け目の対決となる。
前回の第19代大統領選挙は弁護士出身の文在寅(ムン・ジェイン)「共に民主党」候補が検事出身の洪準杓(ホン・ジュンピョ)「自由韓国党」(「国民の力」の前身)候補を破って当選したが、この時は今とは立場が逆で、文氏は野党候補で、与党候補は洪氏であった。
今回は野党に転落した「国民の力」が尹氏を候補に担ぎ、政権奪還を目指すが、尹候補が勝てば検察官から初の大統領が誕生する。逆に李候補が勝てば、盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領、文在寅大統領に続き3人目の弁護士出身大統領となる。
国会議員経歴要覧をみると、「共に民主党」には弁護士出身者が多い。国会議員(300人)の中に弁護士出身が約20人いるが、その多くが「共に民主党」に所属している。
逆に「国民の力」は朴槿恵(パク・クネ)前政権の与党代表だった黄教安(ファン・ギョアン)氏を筆頭に検察出身者が多い。昨年4月の総選挙で野党は大敗し、議席数を122人から103人に減らし、黄代表(当時)を含め4〜5人の検察出身者が落選したが、それでも新人を含めると元検事長が約10人ほどいる。
今回の「国民の力」の大統領予備選は最終的に4人に絞られたが、そのうち選出された尹候補を含めると3人までが検察出身者であった。
尹候補の総括選対委員就任が噂されている金鍾仁(キム・ジョンイン)前「国民の力」非常対策委員長は「古今東西、検察官が大統領になったことはない」とコメントしているが、韓国の検察は容疑者を捜査、起訴、そして裁判で有罪に持ち込む「アンタッチャブルな怪物」と称されるほど絶大な権力を持っている。
(「反文在寅」の保守大統領候補は「親日」か「反日」か 「野党の希望の星」尹錫悦前検察総長の対日観)
しかし、過去に朴正煕(パク・チョンヒ)政権から全斗煥(チョン・ドゥファン)・盧泰愚(ノ・テウ)政権にまたがる軍事独裁政権下で独裁者の僕となり、多くの冤罪事件を引き起こしたことへのトラウマから韓流ドラマや映画では検事は善人よりも悪人、敵役に、逆に弁護士は善人に描写されるケースが多いが、尹候補は「検察官は大統領になれない」のジンクスを破れるかどうか大いに注目される。
ちなみに韓国社会世論研究所が実施した最新世論調査(11月5-6日)では尹候補が43.0%、李候補が31.2%と、尹候補が約12ポイントもリードしている。