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韓国の大統領選挙は「犯罪者同士」の大統領選?  敗れた候補は刑務所行き!

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
最有力候補の李在明京畿道知事(左)と尹錫悦前検察総長(京畿道と検察庁のHPから)

 自民党総裁選は出馬した4人の候補が仲間うちということもあってテレビ討論ではライバルの過去や恥部を暴くことはせず、また人身攻撃も控え、抑制と節度を保ち、平穏裏に終えていたが、現在真っただ中にある韓国与野党の大統領予備選は候補者間で罵倒、罵り合いが演じられ、その加熱ぶりは米大統領選の非ではない。

 来年3月の本選に向けた与野党の予備選は与党「共に民主党」では李在明(イ・ジェミョン)京畿道知事と李洛淵(イ・ナギョン)元総理、野党「国民の力」では尹錫悦(ユン・ソギョル)前検察総長と洪準杓(ホン・ジュンピョ)議員の争いとなっているが、前代未聞のバトルに持ち込んでいる中心人物が若い層から圧倒的支持を得ている洪候補である。

(参考資料:支持率で尹錫悦前検察総長を上回ったもう一人の野党候補も「反日」なのか?)

 朴槿恵前政権下の与党「自由韓国党」の代表だった洪候補の歯に衣着せぬ個人攻撃は凄まじい。政敵の与党候補だけでなく、同じ野党候補に対しても向けられており、世論調査で支持率が上がる度にヒートアップしている。

 洪候補は昨日(9日)もSNSに最有力候補の李候補と尹候補を指して「与党の主要候補は『大庄洞(テジャドン)土地開発疑惑』の主犯としてこれから調査を受けなければならないし、野党の主要候補も義母、妻、そして本人と、調査次第では刑務所に入らなければならない犯罪共同体となっている」と前置きし、「このようなことでは大統領選挙はできない。(二人が指名されれば)犯罪大統領選挙になる。犯罪者同士が戦う大統領選挙が正しい選挙と言えるのか」と批判していた。

 「国民の党」で尹候補と激しく指名争いを演じている洪候補は一説では尹候補を追い抜いたと囁かれるぐらい勢いがあり、そうした自信もあってか、SNSではさらに「26年も政治をやっていて、こんな呆れたことは初めてだ。仮に彼らが大統領となったとしたら、国民は犯罪大統領に従えるのか?捜査を受けている者が大統領選挙に出て主要候補となっていること自体が馬鹿馬鹿しいことだ。『大庄洞土地開発不正』(李候補の側近が逮捕された経済疑獄)の主犯として追われているのに大口を叩き、『告発けしかけ事件』(尹候補が検察総長当時、検察に批判的な人物を告発するよう側近の検事を通じて野党に働きかけた疑惑事件)と妻の株価操作事件があるのに候補になろうと立ち回っているとは、本当に荒唐な選挙をしている」と綴っていた。

 洪候補は最後に二人が与野党の本命候補になっていることについて「犯罪事実が連日報じられても、それを国民が信じないのか、それとも信じたくないのか、全く計り知ることができない」とし、「大韓民国の将来を率いる大統領は道徳的に無傷で、修身斉家(身を修め、家庭をととのえ治めること)であり、国を率いるビジョンと力量がなくてはならない」と、国民に自身への支持を呼び掛けていた。

 与党から政権を奪還するため出馬した尹候補は与党の李候補と一緒くたに「犯罪者」扱いされたことに激怒し、選挙陣営を通じて「また、理性を欠いた妄言を吐いている。一体全体、どこの党の候補なのか?『告発けしかけ事件』は与党が尹候補を落馬させるための稚拙な政治工作である。予備選の世論調査で良い目を見ようと、与党支持者に色目を使い、求愛をしているようだ。(洪候補は)『大韓民国を洗濯機に回す』という発言をよくするが、自分の頭と口から洗濯して欲しい」と応酬していた。

 一大疑獄事件に発展している「大庄洞土地開発疑惑」も「告発けしかけ疑惑」も現在、検察が本格的に捜査に乗り出しているが、李陣営も尹陣営も「関与が明らかになれば、監獄に行かなければならない」と言い合っていることから本選で負けた候補は刑務所行きを覚悟しなければならないようだ。

(参考資料:韓国の次期大統領候補に関する世論調査結果(6日)はどれが正しい?)

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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