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ポーランド戦直前チェック!カギを握る“フレッシュマン”FW武藤嘉紀に期待

矢内由美子サッカーとオリンピックを中心に取材するスポーツライター
日本代表FW武藤嘉紀(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

■6人が入れ替わり、3人が初出場

 ロシアW杯グループリーグ第3戦、日本対ポーランドはまもなくキックオフされる。発表された日本の先発は過去2戦から6人が入れ替わり。槙野智章、酒井高徳、武藤嘉紀と、3人の“W杯デビュー組”が入った。

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 開催地であるボルゴグラードの天候は晴れ。ここ数日の猛暑に少しずつ慣れ始めたこともあり、体感的な厳しさは日本選手なら経験の範囲内のものだろう。それでもピッチ上の温度は40度近くの酷暑になることが予想される。

 日本の生命線はやはり運動量だ。日本としてはコンディションが厳しい試合ほど、チーム全体として相手を上回るための方策を考えることが必要になる。

 2戦を終えた後、主力の何人かは「W杯というプレッシャーや緊張感の中で試合をしていることで、フィジカルとメンタルをいかにリカバーするかが大事」というコメントを発していた。その言葉通り、日本は初戦のコロンビア(2-1)も第2戦のセネガル戦(2-2)もいずれもかなりのパワーをつかいながら勝ち点をもぎ取ってきた。

 しかも、第3戦はポット1からグループHに配されたFIFAランク8位のポーランドである。すでにグループリーグ敗退が決まっているとはいえ、前日に韓国がドイツに勝ったように、「このままでは帰れない」という意地をぶつけてくるのは間違いない。また、誰が出てくるのかスカウティングが機能しにくいという側面もある。

 そんな中、西野朗監督は思い切った策に出た。先発を大幅に入れ替えての第3戦は、この先を見ているのだという強いメッセージにもなる。

カザンでトレーニングをする武藤嘉紀(左)(撮影:矢内由美子)
カザンでトレーニングをする武藤嘉紀(左)(撮影:矢内由美子)

■攻撃陣でただ1人初出場の武藤嘉紀に期待

 日本としては2戦の疲労をチームとしていかに出さないか。そこで重要になるのが、フレッシュな選手たちがどれだけ仕事をできるかである。

 中でもフィジカル面とメンタル面で大いに期待したいのがFW武藤嘉紀だ。

 武藤は6月12日に行ったW杯前の最後の親善試合vsパラグアイ戦で4-2-3-1の右サイドハーフとして先発し、ドイツ仕込みの力強さと躍動感を見せた。

 1-1で迎えた後半18分には右サイドを抜け出してグラウンダーパスを中央へ供給。香川真司がワンタッチでコースを変え、最後は逆サイドから走り込んだ乾貴士が勝ち越しゴールを決めた。

 試合後、武藤は「右サイドはやったことがなかったので難しかったがやりやすかった。やっていて楽しかった」と話していた。日本はこの試合で4-2の逆転勝利。それまでの重苦しい流れを断ち切り、勢いをつけてW杯を迎える陰の功労者が武藤だった。

 しかし、ロシア入りしてからは2試合を通じて出番がなかった。パラグアイ戦後のギラギラした力強い目線を思い出すに、うずうずしているのは間違いないだろう。しかし、彼ならば個人のアピールに偏りすぎることもおそらくない。武藤にはチームの勝利のためにプレーするというマインドが根付いている。それはパラグアイ戦のパフォーマンスが証明している。

■武藤「ゴールやアシストで貢献を」

 ポーランド戦を翌日に控えた公式練習後に取材陣の前に姿を現した武藤は、2試合で出番がないことについて聞かれ、「リーグ戦だったら悔しいと思うけれど、今はそれを表に出してしまうとチームが壊れてしまう。今はチームのために、日本のためにと考えて振る舞っている」ときっちり“本心”を明かしたうえで、「必ずチャンスはあると思うので、そのための準備は怠らないようにしたい」と語っていた。

「出るならば、僕は前の選手なのでゴールやアシストという目に見える結果で勝利に貢献したい」

 昨季のブンデスリーガで大きく成長した武藤。前日の抱負を現実のものとすることを願う。

ロシアワールドカップ日本代表(撮影:矢内由美子)
ロシアワールドカップ日本代表(撮影:矢内由美子)
サッカーとオリンピックを中心に取材するスポーツライター

北海道大学卒業後、スポーツ新聞記者を経て、06年からフリーのスポーツライターとして取材活動を始める。サッカー日本代表、Jリーグのほか、体操、スピードスケートなど五輪種目を取材。AJPS(日本スポーツプレス協会)会員。スポーツグラフィックナンバー「Olympic Road」コラム連載中。

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