単身男性高齢世帯では81.1%…エアコン普及率の詳しい現状をさぐる(2023年版)
住宅の密閉性の向上などに伴い、エアコンは人々の生活に欠かせない家電となっている。その普及率の直近年分となる2023年3月末時点の現状を、内閣府の消費動向調査(※)の結果から確認する。
次に示すのは直近年分における、世帯主の男女別・年齢階層別でクロス区分した、単身世帯と二人以上世帯それぞれのエアコンの普及率。
エアコンの普及率は単身世帯で84.4%、二人以上世帯よりも単身世帯の方が普及率が低く、中でも男性高齢層の単身世帯(つまり男性高齢層の一人身世帯)と同じく男性の若年層では、約2割はエアコン無しと回答しているのが気になる。
続いて回答世帯の住宅所有関係別の実情。
住宅所有関係別では公社公団・賃貸住宅や民営賃貸住宅での単身世帯での低さが目立つ。これらにおける普及率の低さは、上にある「世帯年収と普及率の正比例関係」と浅からぬ関係があり、単身世帯という状況と併せて考えると、「公社公団・賃貸住宅や民営賃貸住宅や住まいの一人身の高齢層(特に男性)」といった組み合わせにおける、エアコン無し世帯の比率の高さがイメージされる。
最後は世帯年収別。
一部凸凹があるものの、二人以上世帯・単身世帯ともにおおよそ高世帯年収ほどエアコンの普及率は高い。また二人以上世帯の方が単身世帯よりも高い普及率を示している。
前者はエアコンそのものが設置料も含めるとそれなりの導入コストが必要になるのに加え、ランニングコストも高いハードルとなるため。もっとも初期投資額に関しては、最近の賃貸住宅は初めからエアコンが設置されている物件も多く、あまり考慮は必要ないのかもしれない(それが単身世帯の普及率を押し上げている一因でもある)。
後者は単身世帯の場合、「自分が我慢すればエアコンは無くてもよい(他人への配慮が不要)」「お財布事情」など、一人暮らしにおける普及率を押し下げる事情が想定される。なお、今件の一人暮らしには若年層だけでなく、(特に定年退職後に配偶者と死別・離別した)高齢者も含まれていることに注意しなければならない。
体力の衰えや地域社会との接触の難しさから、特に定年退職後に生活環境が一変する男性高齢者は、室内に閉じこもることが多くなる。そのような環境下でエアコンが無いとなれば、室内での熱中症のリスクが懸念される。さらに万一そのような病症に陥っても、誰にも気が付かれないまま病状が悪化する可能性が高い。まずはエアコンの設置が欠かせない。単身世帯、特に高齢者世帯では、エアコンの普及率向上は健康リスクの観点では急務の課題に違いない。
夏に向けて自分自身はもちろんだが、身の回りで熱中症のリスクが高そうに見える人に対しても、十分な配慮が求められよう。
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※内閣府の消費動向調査
今後の暮らし向きの見通しなどについての消費者の意識や各種サービスなどへの支出予定、主要耐久消費財などの保有状況を把握することで、景気動向判断の基礎資料を得ることを目的としている調査。調査世帯は、二人以上の世帯、単身世帯毎に三段抽出(市町村・調査単位区・世帯)により選ばれた8400世帯。調査時期は毎月1回で、調査時点は毎月15日。毎月10日前後に調査対象世帯に調査票が届くよう郵送し、毎月20日頃までに届いた調査票を集計する。
毎月調査を実施しているが年1回、3月分において、他の月よりは細部にわたる内容を調査している。その中の項目の一つ「主要耐久消費財の普及・保有状況」を今件精査では用いている。これは「回答者の世帯において対象品目を回答時点(直近分の場合は2023年3月末時点)で持っているか否か」「持っている場合は保有数量はどれほどか」を尋ねた結果。具体的な利用状況は尋ねていない。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。
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