「1分ごとに東京ドーム1個分」の面積が焼失 カリフォルニアワインに山火事の被害
今年カリフォルニア州では8,100件もの山火事が発生、焼失面積は観測が始まって以来史上最大に達しています。
「グラスファイアー」
現在25ほどの大規模な火災が起きていますが、その中で急速に拡大しているのが、州北部で起きている「グラス・ファイアー」です。
恐ろしいことに、その火災の拡大のペースは5秒ごとに1エーカーと言います。
計算してみると、
「1分ごとに東京ドーム約1個分の面積が焼けるペース」
ということになります。
この火災が起きているのが、世界的ワインの産地であるナパバレーやソノマ郡です。27日(日)から発生し、焼失面積は28日(月)夜までに36,000エーカーに上りました。
しかし残念ながら、29日(火)時点の鎮火率は0%です。懸命な消火活動にもかかわらず、現地は強風、記録的高温、乾燥に見舞われ、火は一切消されていない状態なのです。
被害を受けた名ワイナリー
ナパやソノマ郡は「ワインの国(Wine country)」とも呼ばれるほど、世界的に有名なワイン産地として知られています。広大なブドウ畑に650ものワイナリーが立ち並び、カリフォルニアワイン全体の1割以上が作られているといいます。
残念なことに、今回の山火事では、多数のワイナリーが被害を受けています。
たとえば、41年の歴史を持つ名ワイナリー「シャトー・ボズウェル」がその一つ。建物やブドウ畑が炎に包まれたと報じられています。
さらにサンフランシスコ・クロニクルは、下記のワイナリーでも被害が出ていると伝えています。お馴染みのワイナリーがある方もいらっしゃると思うので名前を紹介します。
・カステッロ ディ アモローサ (トスカーナ風のお城をイメージしたワイナリー)
・トファネリ・ファミリー・ヴィンヤード (100年近い歴史を持つ)
・フェアウィンズ・エステート・ワイナリー(大規模なワインのイベント会場としても有名)
・ニュートン・ヴィンヤード(英国軍士官の夫と妻が作ったワイナリー)
・アワーグラス・ワイナリー
・ハニカット・ワインズ
・スターリング・ヴィンヤーズ
火災の直接の影響を受けていない農園でも、山火事の煙でブドウの実に被害が及び、今年はワインの生産ができないと話している農家もあるようです。
(↑シャトー・ボズウェルの被害)
3年前の火災
実は同じような地域で、2017年にも大規模な山火事が発生したことがありました。
「タッブ・ファイアー(Tubb Fire)」と呼ばれ、当時カリフォルニア州史上最大の山火事とされていました。火災の面積は、12時間で東京ドーム1,700個分も広がりました。州知事は非常事態宣言を発令して、20,000人が避難する事態となったのです。
ただこの山火事が起きたのは10月で、その時は9割のブドウがすでに収穫されていたと伝えられています。今年とは事情が少し違うようです。
続く山火事シーズン
山火事はいつまで続くのでしょうか。
カリフォルニア州では1日(木)まで、気温が30℃台後半とこの時期の平均を10℃も上回るような高温と、強風が予想されており、危機的な状態が続きます。
しかしそれが去ったとしても、山火事シーズンは少なくとも秋いっぱい続きます。さらに被害が広がることが懸念されるのです。