「親日」の尹錫悦政権は日本との「領土」「領海」問題では強硬!
日韓の間には金大中(キム・デジュン)政権下の1998年11月に「漁業に関する協定」が締結されたことで漁業分野では境界線が画定されたものの排他的経済水域(EEZ)については領土問題がネックとなり、今なお、合意に至っていない。その結果、両国が主張するEEZが重なる「中間地帯」が存在し、これまでこの「中間海域」を巡っては何度もいざこざが起きている。
確か、今年1月に日本のエネルギー開発大手の国際石油開発帝石会社(INPEX)が30年ぶりに島根県から北西に約130km離れた地点の日本海で石油及び天然ガス探索、開発に乗り出すとの情報が駆け巡り、韓国が問題にしたことがあった。韓国が騒いだのは公開された地図上で慶尚北道の慶州市海岸から東に約150~160km離れた地点と重なっていたためである。
一昨年8月には海上保安庁の測量船が長崎県沖の日本のEEZで調査をしていたところ、韓国公船から調査中止を要求される事件が起きている。また昨年1月にも同じ場所で海上保安庁の測量船が地質調査をしていたところ、韓国海洋警察庁の警備艇が現れ、無線で「ここは韓国の海域だ」として調査中止を要求する事件が発生したばかりだ。
今回は、逆に韓国国立海洋調査院の調査船が竹島(韓国名:独島)周辺の日本のEEZ内で海洋調査を実施したことが問題となっている。それも、日本との関係修復に乗り出している保守の尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権下で行われたことから日本では困惑と怒りの声が上がっている。
日本政府は「事前同意のない海洋調査の実施は受け入れられない」(松野官房長官)として「即時中止すべき」と韓国側に抗議したが、韓国政府は「我々の経済水域における正当な活動への日本側の問題提起は受け入れられない」(韓国外交部)と日本の抗議を突っぱねている。韓国の竹島海域での海洋調査はこれが初めてではない。
韓国国立海洋調査院は2018年にも無人観測機器や調査船を使って再三、海洋調査を実施し、2019年3月にも「海上ドローン」と呼ばれる最新鋭の無人観測装置を使い、海底の地形や潮流、水温に関するデータを集めていた。日本政府はその都度、外交ルートを通じて韓国側に抗議している。
竹島は島根県から214km(隠岐島から157km)、韓国の慶尚北道から217km(鬱陵島から92km)に位置している。東島と西島の2島と37岩礁から成る竹島は総面積約23万平方mで、日比谷公園ほどの広さである。
東島(0.07平方km)は海抜91m、西島(0.11平方km)は海抜168m。周囲は断崖絶壁で、飲料水に乏しいが、西島に唯一岩水がある。
この島を日韓双方とも「歴史的にも、国際法的にも我が国の固有の領土」と主張しているが、元来無人島であった島そのものには何もない。しかし、島周辺の水産資源、特に海底資源が資源のない両国にとっては貴重な「財宝」となっているようだ。
竹島周辺の海域は対馬暖流と北からのリマン海流の接点にあり、水は透明である。イカ、ブリ、メダイ、イワシ、アワビ、なまこなど魚介類の宝庫である。大人サイズぐらいのタコも採れる。
竹島は伊豆諸島と並んでニホンアシカの主要な繁殖地の一つであったが、1975年の目撃を最後に目撃例は報告されておらず、ほぼ絶滅したと考えられていたが、韓国のKBSテレビが1996年2月に放送した「独島365日」というタイトルの映像をみると、アシカ一頭が発見されていた。
海底資源の中で最も期待されているのは「燃える氷」と称されるメタンハイドレート(固体天然ガス)である。
天然ガスのように95%以上のメタンでなっているハイドレートは既存の天然ガスの埋蔵量よりも数十倍も多く、また燃焼時に二酸化炭素の発生による公害のない、環境にやさしい資源、即ち地球温暖化対策としても有効な新エネルギー源でもある。
日本海の中心地域に位置している竹島近海は、韓国側の推定で水深300m以下の地帯にメタンハイドレートが埋蔵されている。2005年にはkaist生命工学科の調査によって、鬱陵島と竹島の海底に最も多い量が埋蔵されていることが確認され、埋蔵量は約6億トンと推定されている。ガスで抜き取れば30年間使用できる量である。
竹島周辺海域にメタンハイドレートが埋蔵されていることは韓国側のデータだけではなく、すでに商業的生産が行われているロシアの資料でも確認されている。
ロシアのノボシビルスク州の「アカデミー・コロドック」(化学団地)内にあるロシア科学院所属の武器化学研究所(Institute of Inorganic Chemistry)が保管している全世界の「ガスハイドレート」(Gas Hydreits)に関する資料によると、竹島周辺にメタンハイドレートが埋蔵されていると記されている。
韓国地質資源研究院や韓国石油公社などで構成する「ガスハイドレート開発事業団」は竹島から90km離れた鬱陵盆地周辺で試験生産に入っている。
日本は韓国よりもはるか以前の1980年代から北海道の西側近郊にハイドレート層があることを確認しており、90年代には四国近海でもハイドレート層を発見し、すでに本州、九州、南西諸島沖でもハイドレート層を探し当てている。日本はすでにメタンハイドレート地層で天然ガスを抽出するのに成功している。天然ガスを抜き取るのに成功したのは日本が世界で初めてである。
日本はこれまで竹島周辺海域で資源調査、海底調査を行ったことはない。
小泉政権下の2006年6月に一度だけ、海上保安庁の測量船による海底地質調査を行うことを計画したことがあった。
当時、韓国政府は警備艇によるだ捕など強硬策をちらつかせ、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領も「日本の探索船が独島に来れば、体当たりして、押し返せ」と強硬な対応を示唆していたが、日本は「EEZの主張が重複している地域では日本は30年間調査をしていないが、韓国は過去4年間毎年、我が国の抗議にもかかわらず調査を行っている」(谷内正太郎外務次官=当時)と反論し、「政府の調査船に対して物理的な行動に出ることは国連海洋法条約で認められていない」と一歩も引かなかった。この時の日本の竹島周辺での海洋調査は6月の海底地形の名称に関する国際会議で韓国が竹島海底地形の名称を韓国名にする動きを牽制するのが主な狙いであったからだ。
結局、この時の対立は外務次官による協議で▲日本政府は海洋調査を中止する▲韓国政府は国際会議で海底地形の韓国名表記を提案しないということで合意文が交わされたことで海上での衝突という最悪の事態が避けられた。当時の官房長官だった安倍晋三元首相は当時の状況について「銃撃戦が起きる寸前だった」と回顧していた。