中国で相次ぐ未成年への性的暴行。11歳少女への暴行には地元政府の職員も
12歳の知的障害者が性的暴行を受け、8か月の間に2度妊娠していた事件と前後して、別の未成年への性的暴行事件も明らかになった。湖南省で11歳の中学生の少女が、地元政府の公務員を含む多数の男から暴行を受けていた。
SNSで娘の被害を告発した父親
この事件は、被害者の父親と思われる人物が、中国版SNSでその詳細を明らかにしたために、中国メディアの注目を集め、捜査を進展させた。
「一人の父親の血の涙の告発」と題された文章が出たのは今月16日。それによると、事件が起きたのは湖南省にある人口100万あまりの祁東県。
11歳の娘が、9月28日に、騙されて家から出て行き、カラオケスナックで働かされた。そこで、脅されるなどして客に付き添って酒を飲んだり歌を歌ったりする業務に従事させられた。
さらに、家を出てから(娘が発見される10月6日までの)9日間の内に、祁東県政府の男や、地元の銀行の支店長の男などから、性的暴行を受けたという。
その娘は現在、PTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断され、精神科に入院しているという。また妻は、事件後、何度も自殺を試みようとしている、と訴えている。
その上で、この告発は、祁東県の検察が、金や権力を持つ犯罪者を守って、法の制裁から逃している、と非難していた。
おそらくこの告発の影響を重く見たのだろう、後に地元の警察は、県政府の男や銀行の支店長を含む6人を逮捕したという。
被害少女は留守児童
被害にあった少女は、いわゆる留守児童だった。告発者の父親も含め、両親とも出稼ぎのために家を離れて暮らさざるを得ない。被害があった時も、両親は娘と一緒に暮らしてはいなかった。少女の失踪を警察に通報したのも祖父だった。
留守児童の存在は、中国で未成年に対する性的犯罪の温床になっている。今回の事件に関して、婦人団体などは「道徳を喪失した犯罪行為を強く非難し、徹底した捜査と、法による厳罰を求める」という旨の声を上げている。それはその通りだが、このような犯罪を少しでも減らすためには、中国社会は、金や権力を持つ者ではなく、弱者を守る仕組みを築く重要性に、もっと目を向けるべきである。