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円安に翻弄された「iPhone 13」 ようやく発売当時の価格に

山口健太ITジャーナリスト
iPhone 13(アップルのプレスリリースより)

アップルによる新型iPhoneの発表において、同時に注目を集めるのが旧モデルの値下げです。

その中でも「iPhone 13」は、ようやく発売当時の価格に下がってきました。いったいどういうことなのか解説します。

iPhone 13 発売当時よりも安くなる

アップルによる新型iPhoneの発表イベントでは、販売を継続する旧モデルについても触れることが通例です。

新型の「iPhone 15」の発表後に販売を続けるモデルとしては、「iPhone 14」「iPhone 14 Plus」「iPhone 13」「第3世代iPhone SE」が挙げられています。

iPhone 15の発表後に販売を継続するモデル(アップルの発表イベント動画より)
iPhone 15の発表後に販売を継続するモデル(アップルの発表イベント動画より)

アップルの直販価格も値下げされ、iPhone 14は799ドルから699ドルに、iPhone 13は699ドルから599ドルになり、手が届きやすくなっています。

一方、米国と日本で値下げが釣り合っていないように感じるものもあります。典型的な例が2021年9月に登場したiPhone 13です。

容量128GBのモデルの場合、米国では799ドルで発売後、2022年9月に699ドル、2023年9月に599ドルと、100ドルずつ値下げされてきました。

米国では段階的に値下げされてきた(税抜価格、アップルのWebサイトより筆者作成)
米国では段階的に値下げされてきた(税抜価格、アップルのWebサイトより筆者作成)

ところが日本では、2021年9月に税込9万8800円で発売後、円安が進んだことから2022年7月には11万7800円に値上げされ、大きな話題になりました。

2022年9月には米国での値下げに伴い、日本でも10万7800円に下がったものの、発売当時よりは高い水準を維持していました。

日本では発売当時より高い状態が続いてきた(税込価格、アップルのWebサイトより筆者作成)
日本では発売当時より高い状態が続いてきた(税込価格、アップルのWebサイトより筆者作成)

そして今回、9万5800円に値下げされたことで、ようやく128GB版は発売当時の価格を下回ることになりました。

他の容量では、256GB版は11万800円で発売当時と同価格、512GB版は14万800円で発売当時より6000円高い程度に収まっています。

円安の影響を受けているのはiPhone 14も同様です。米国では100ドル(約1万4700円)値下げされたのに対し、日本では7000円しか下がっていません(iPhone 14 Plusは1万円の値下げ)。

その理由としては、iPhone 14の価格を見直す際に最新の為替レートを反映したことで、値下げの約半分が相殺されてしまったと考えられます。

一方、第3世代iPhone SEの価格は日米ともに据え置きとなりました。為替レートを考慮すると、日本では5000円ほど割安に買えることになります。

日本での価格を据え置いた理由は不明ですが、手頃な価格で人気があるモデルだけに、値上げを戦略的に見送った可能性がありそうです。

在庫処分は始まるか

アップルの直販価格は重要な数字ではあるものの、日本でスマホを買う人に大きな影響を与えるのは、携帯キャリアによる割引施策でしょう。

新型iPhoneの登場にあわせて、携帯キャリアは旧モデルの割引を増やすなど、在庫を捌くことに注力してくると思われます。

最近では「一括1円」のように極端な割引は鳴りを潜めたものの、残価設定型の購入プログラムの利用で実質負担額を「毎月1円」とする売り方はよく見かけます。

必ずしも最新機種にこだわらない人にとって、こうした旧型iPhoneの在庫処分は引き続き狙い目といえそうです。

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

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