大雨が続いている九州でもようやく梅雨明け?
梅雨前線の北上
太平洋高気圧が強まり、梅雨前線が東北地方から朝鮮半島南部まで北上しています。
梅雨前線に向かって、南から暖かくて湿った空気が流入し、上空に寒気が入っていることもあって大気が非常に不安定となり、東海や九州地方を中心に大雨となっています(タイトル画像参照)。
気象庁が発表している早期注意情報によると、7月27日(月)夜から28日(火)朝にかけて、大雨警報を発表する可能性が「高」の県は、宮城、山形、富山、岐阜、静岡、広島、福岡、佐賀、長崎の各県に及んでいます(図1)。
また、「中」の県も多数あり、地元の気象台や自治体等の防災情報に注意し、避難行動は明るいうちにお願いします。
その後、梅雨前線は、東北北部から朝鮮半島南部に遅滞する見込みです(図2)。
梅雨前線上を低気圧が次々に通過しますので、早期注意情報によれば、北陸地方や東北地方では、28日(火)、29日(水)も大雨警報を発表する可能性が「高」です(図3)。
北陸地方や東北地方では、少なくとも、週の半ばまでは大雨に対する警戒が必要です。
ただ、西日本から東海地方では、状況が変わりました。
令和2年(2020年)の梅雨明け
令和2年(2020年)の梅雨明けは、沖縄地方では6月12日と、平年より11日も早い梅雨明けでした。
当初は、各地で平年より早い梅雨明けとみられていました。
しかし、梅雨前線の活動が活発で、「令和2年7月豪雨」が発生し、各地の梅雨明けが遅れていました。
それも、記録的に遅れていました(表)。
名瀬など、鹿児島県奄美地方が梅雨明けしたのは、平年より21日も遅い7月20日でした(図4)。
統計データが整備されている昭和26年(1951年)以降で、一番遅い梅雨明けは平成22年(2010年)などの7月15日ですので、これまでの最遅記録を5日も更新しました。
気象庁が発表した各地の週間天気予報をみると、傘マーク(雨)がなく、お日様マーク(晴れ)が続くのは、梅雨明けした奄美・沖縄地方と、梅雨がないとされる北海道だけではありません。
鹿児島など九州南部でも、7月28日以降はお日様マークが続きますので、梅雨明けになる可能性が高いと考えられます(図5)。
鹿児島で28日に梅雨明けとなると、平年の7月14日より遅いだけでなく、昭和32年(1957年)の8月8日、昭和29年(1954年)の8月1日に続く、3番目の遅い梅雨明けとなります(図6)。
ただし、平成5年(1993年)は、梅雨明けを特定していませんので、これを考慮すると、4番目に遅い梅雨明けとなります。
平成5年(1993年)は、夏の現象である梅雨が、秋の気配が出るとされる立秋まで続いたため冷夏となっています。
全国的な稲作の不良からコメの輸入が始まったという記憶があるかたも多い年です。
また、気象庁ではおおむね立秋を過ぎると梅雨明けを発表しておらず、九州南部で一番梅雨明けが遅い昭和32年の8月8日は、この年の立秋の日でした。
なお、立秋の日は、令和2年(2020年)が8月7日というように、年によって多少前後します。
福岡など九州北部地方や、高知など四国地方は29日以降、大阪など近畿地方も30日以降、お日様マークが続きますので、雲マーク(曇り)の程度によりますが、西日本各地では梅雨明けの発表が続きそうです。
【追記(7月28日12時)】
気象庁は、7月28日11時に、九州南部が梅雨明けをしたと発表しました。
【追記(7月30日12時)】
気象庁は、7月30日11時に、九州北部、中国地方、四国地方が梅雨明けをしたと発表しました。
【追記(7月31日12時)】
気象庁は、7月31日11時に、近畿地方が梅雨明けをしたと発表しました。
気温に注意・警戒
西日本は、梅雨明けになったからといっても油断できません。
最高気温が30度以上という真夏日が続きますので、今度は、熱中症に警戒が必要です。
名古屋など東海地方の梅雨明けは、西日本とそれほどの差がない可能性もありますが、東日本と東北地方の梅雨明けは8月にずれこむ見込みです。
ただ、梅雨明けが8月にずれこんだとしても、最高気温が30度近い日が続きますので、熱中症に注意が必要です。
雨に気温にと、最新の各種情報の入手に努め、警戒してください。
タイトル画像、図1、図3、図5の出典:ウェザーマップ提供。
図2、表の出典:気象庁ホームページ。
図4、図6の出典:気象庁資料をもとに著者作成。