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溢れるこし餡、秀逸な喉越し!京都の名店「中村軒」さんのコシの強い青海苔入り自家製生麩生地は香り抜群

柳谷ナオ和菓子ソムリエ・ライター

五月晴れという言葉はどこへやら。ここ数日は、傘がひしゃげてしまうほどの風を伴う大雨に見舞われることもあり、どこか鬱々とした気持ちになってしまう日もしばしば。

人間というのは勝手なもので、あれだけ「今日は真夏日に…」という言葉に眉根を寄せても、お天道様の姿が恋しくなってしまいますね。

そんな時には、甘いものに気持ちを傾けてみてはいかがでしょうか。

なんとも清々しい青笹
なんとも清々しい青笹

創業1883年、桂川の豊かな水源の傍らに暖簾をはためかせる「中村軒」さん。創業時より人気を博し名声名高いかつら饅頭をはじめ、半月型のお餅で竈炊きの粒餡を包んだ名物、麦代餅など一年を通して愛される和菓子が勢揃い。その中に、通年販売されておりますが正に今の季節に相応しいあるお餅も…。今回は中村軒さんの「生麩餅」をご紹介。

生麩餅
生麩餅

キュッと結ばれた紐を解いていくのもまた楽しみのひとつ。胸が高まります。そよそよと唇と鼻の間を擽るような青笹の薫香は、真夏だけではなく花が綻ぶ時期と梅雨の間に良く似合います。

結び目を解く作業が好きなんです
結び目を解く作業が好きなんです

青海苔が織り成す色彩美
青海苔が織り成す色彩美

やや黄色味を帯びた緑色の餅肌は、青海苔の色に綺麗にそまっています。肌のきめが整っているだけではなく、着色料など一切使用していないにも関わらずむらなく均一に色づいているのもまた美麗。地下水の中で小麦粉を揉み生麩のグルテンをじっくり取り出すところから生地作りが始まっており、さほど厚ぼったさはなくとも非常にしこしことしたしたたかな歯ごたえが独特。
コシがしっかりとした生麩は、口に入れた瞬間は青笹、そして噛みしめるたびに青海苔特有の磯の潮風を浴びたような香りがじわじわと口の中を満たしていきます。

切ってみるといかにこし餡がたっぷりで生麩の生地がうっすらとしているかがよくわかります
切ってみるといかにこし餡がたっぷりで生麩の生地がうっすらとしているかがよくわかります

同時に、まるで滾々と湧き上がる清水のごとく溢れるこし餡も秀逸。喉を潤してくれるように流れていき、それでいて咀嚼するたびにまろやかな生麩餅と混ざり合い滋味深い味わいを演出。あっさりとしたこし餡だからこそなせる季節の旨味ですね。

撮影している傍からもう溢れてしまいそう…
撮影している傍からもう溢れてしまいそう…

あんこを使用した和菓子は多々あれど、やはりその時の気分によって使い分け(食べ分け)してその時に見合った甘味を堪能したいもの。中村軒さんの生麩餅は地下水を使用しているということもあり、季節によって微妙に生麩の表情も異なるのだとか。

生麩餅が剥がれにくい場合は、笹とお餅の間に数滴お水を垂らしてみてくださいね
生麩餅が剥がれにくい場合は、笹とお餅の間に数滴お水を垂らしてみてくださいね

一年を通してお取り寄せ可能な生麩餅。暖房が効いたお部屋でひんやりとした生麩餅を味わう前に、湿気払いの清涼感を楽しみましょうか。


最後までご覧いただきありがとうございました。
柳谷ナオ

<中村軒>
公式サイト(外部リンク)
京都市西京区桂浅原町61
075-381-2650
8時30分~17時30分
定休日 水曜(祝日は営業)

和菓子ソムリエ・ライター

■年間400種を優に超える和菓子を頂く和菓子ソムリエ&ライター。美味しさだけではなく、職人さんやお店、その土地の魅力をいかに伝えるかに重きを置いて執筆中! ■製菓衛生士免許所持・製造・販売・百貨店勤務経験有 ■和菓子・お取り寄せ・お土産・アンテナショップ・都内物産展&催事・和菓子とお酒&珈琲&ノンアルコールとのペアリングなどの執筆や取材、監修を得意としています。

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