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東京五輪でボクシング競技実施 プロとアマの勝敗を分ける3つの違い

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
(写真:ロイター/アフロ)

IOC(国際オリンピック委員会)は、スイスのローザンヌ理事会で、東京オリンピックでの、ボクシング競技を存続させる方針を決定した。

ボクシング競技は7月25日から8月9日まで、両国国技館で行われる予定だ。男子8階級、女子5階級で計286名の出場枠となる。

東京オリンピックで開催決定

2020年の東京五輪で、ボクシング競技が実施されるか否か、審議されていた。

そもそもの発端は、2016年のリオデジャネイロ五輪のボクシングで、判定を巡って不正疑惑があったことだ。

不可解な判定や、統括団体の国際ボクシング協会(AIBA)の審判の選任方法や、財政面の不透明さが問題視されていた。

また、当時の会長代行だったガフール・ラヒモフ氏(ウズベキスタン)は、「麻薬売買に関わる重要人物」と指摘されていた。

現在は、ラヒモフ会長が退任し、会長代行にムスタサン副会長(モロッコ)が選出されている。

IOCは、組織運営や財政、審判の不正などで問題を抱えているAIBAには、承認団体の資格停止処分を科す見通しだ。

IOCのバッハ会長は「選手の夢を担保したい」と述べ、AIBAではなく、IOCの特別チームが主体となって、東京オリンピックでのボクシング競技実施に臨む。

詳細は、来月のIOC総会で正式に決定する。

プロとアマの勝敗を分ける3つの違い

そもそも、ボクシングはアマチュア競技とプロ競技では、別々の組織体制で運営され、ルールも異なり求められるスキルも違う。

1つ目は「競技時間」だ。3分12ラウンドで行われるプロに対して、アマチュアは3分3ラウンドと短期決戦だ。

そのため攻防の切り替えが非常にスピーディーで、展開が早い。競技としては、長距離走と短距離走ぐらい違う。

また、年に2回から3回のペースで試合をするプロに対して、アマチュアは、トーナメント制となっており、連日試合がある。

2つ目は「計量」だ。プロは前日計量が行われ、その後に体重を戻せるが、アマチュアは連日計量がある。

そのため試合の後に体を動かし、毎試合の体重調整が必要になってくる。

3つ目は、「ポイントのつけ方」だ。プロはダメージを基準にしているのに対し、アマはターゲットエリアでの質の高い打撃の数が基準となっている。

そのため一発のダメージより、的確なパンチの数が重視される。今大会からプロ参加が求められているが、ルールが異なるので、世界チャンピオンクラスでも、国内予選で勝つのは難しい。

井上も井岡も出られなかったオリンピック

今回は自国開催となるため、開催国枠が用意される。しかし、オリンピックに出場するのは非常に難しい。

まず、国内の大会で優勝する必要がある。そこから世界選手権やアジア選手権で出場枠を取らなければならない。世界で勝ち抜かなければ、出場枠は取れない。

プロの世界チャンピオンを数多く輩出する日本でも、オリンピックでメダルを獲るのは、非常に難しい。

これまで日本人で金メダルを獲得したのは、村田諒太を含め2人しかいない。

現在プロで活躍する、3階級王者の井上尚弥や、4階級制覇を目指している井岡一翔も、以前のオリンピック予選で敗退し、出場枠を獲得する事ができなかった。

プロ競技がない、ロシアやキューバの選手などは、非常にレベルが高い。

またアジア予選では、モンゴルや中国に加え、ウズベキスタンやカザフスタンなどの、強豪国に勝たなければならない。

非常に限られた枠での争いとなる。

今回は日本開催となるので、開催国枠が与えられるため、大きなチャンスとなるだろう

日本選手団に期待

現在の日本選手はレベルも高く、複数階級でのメダル獲得も期待される。まだ代表選手は決まっていないが、9月にはロシアで世界選手権が行われる。

東京五輪での階級変更に伴い、4階級が選考会なしで出場する。

フライ級(52キロ級)柏崎刀翔、

ライト級(63キロ級)成松大介、

ウエルター級(69キロ級)岡崎セオン、

ミドル級(75キロ級)森脇唯人

フェザー級(57キロ級)の代表は、バンタム級(56キロ級)とライト級(60キロ級)の上位選手4人で選考会を実施する予定だ。

アマチュア界には、アマのモンスターと呼ばれる、堤 駿斗もおり、この選考会にエントリーするようだ。

東京五輪の代表選考会は来年1~5月に開催される予定で、秋の全日本選手権の結果なども考慮される。

東京五輪ではプロも参加できるので、元世界チャンピオンの高山勝成などが参加表明している。

選手たちも五輪開催が決まり、ホッとしているだろうが、これから熾烈な代表権獲得の争いが始まっていく。

現役当時、私は五輪に出場ができず、夢の舞台だった。日本でオリンピックの舞台が観られるのは、非常に楽しみだ。

自国開催で、オリンピックが行われる機会は、現役選手たちにとっては一生に一度だろう。日本選手達にはぜひ頑張ってもらいたい。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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