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昨オフにノンテンダーとされ、新天地へ移って本塁打王を獲得したのに、今オフも再びノンテンダーに

宇根夏樹ベースボール・ライター
クリス・カーター Sep 27, 2016(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

今から1年前、クリス・カーターはヒューストン・アストロズからノンテンダーとされた。FAのまま新年を迎えたカーターは、1月6日にミルウォーキー・ブルワーズと1年250万ドルで契約した。前年の417万5000ドルと比べると、パフォーマンス・ボーナス(出来高)の50万ドルを含めても、100万ドル以上のダウンだった。

カーターはブルワーズで、本塁打を前年から17本増やし、41本としてノーラン・アレナード(コロラド・ロッキーズ)とタイトルを分け合った。カーターのいるブルワーズとアレナードのいるロッキーズは、シーズン最後の3試合で対戦した。1試合目はアレナードが41号、カーターが40号を放ち、2試合目にカーターが41号を叩き込んで肩を並べた。

ところが、カーターにとって、ブルワーズは安住の地ではなかった、今オフ、カーターは再びノンテンダーとされた。昨オフもそうだったが、カーターは年俸調停を申請する権利を持っている。実際に調停まで進めば、来シーズンの年俸は800~1000万ドルに跳ね上がるはずで、ブルワーズはそこまで払う価値はないと判断した。

2015年も2016年も、カーターのバッティングは変わっていない。パワーがあって選球眼も優れる一方、三振が多く、打率は低い。ここ2年の四球率はそれぞれ12.4%と11.8%、三振率は32.8%と32.0%、打率は.199と.222だ。2016年は打席の増加に伴って三振も増え、3年ぶり2度目の三振王となった。また、一塁の守備もうまくなく、ここ2年の守備防御点(DRS)は-6と-5、UZR/150は-4.0と-5.7を記録した。

なお、連続ノンテンダーは、カーターが初めてではない。他にもいるかもしれないが、ジャック・カストがそうだった。カストは2009年と2010年のオフにオークランド・アスレティックスからノンテンダーとされ、最初はアスレティックスと再契約し、2度目はシアトル・マリナーズと契約した。

カーターは右打ちの一塁手、カストは左打ちの外野手だ。けれども、打者としての特徴は、長所も短所もよく似ている。また、守備につくよりもDHが適任という点も共通している。2人は2010年にアスレティックスでチームメイトとしてプレーし、10月2日の試合では揃ってホームランを打った。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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