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一昨年秋から4度目の対決! 大阪桐蔭と報徳の因縁対決は、今センバツの優勝争いを大きく左右する

森本栄浩毎日放送アナウンサー
大阪桐蔭と報徳が一昨年秋から4度目の対決へ。昨春は報徳が秋のリベンジ(筆者撮影)

 今大会の近畿2強、大阪桐蔭報徳学園(兵庫)がベスト8進出を決め、準々決勝で当たることになった。両校は一昨年秋から激戦を繰り広げているが、これで4度目の対決となり、過去は大阪桐蔭の2勝1敗。ただし昨春、最高峰の甲子園の舞台では報徳が逆転勝ちし、大阪桐蔭のセンバツ連覇を阻んでいる。

昨春は報徳が前田から逆転勝ち

 ここまでの両校の戦いを簡単に振り返ってみる。一昨年秋は近畿大会決勝で当たり、大阪桐蔭が前田悠伍(ソフトバンク)の力投で1-0と報徳に完封勝ちした。2度目の対決は昨春センバツの準決勝。この試合は大阪桐蔭が序盤に一挙5得点したが、報徳が徐々に盛り返し、救援登板した前田を8回にとらえて7-5で逆転勝ちした。新チームとなった昨秋は近畿大会準々決勝で当たり(タイトル写真)、4-3で大阪桐蔭が勝った。近畿大会では大阪桐蔭が2勝しているが、肝心の甲子園では報徳が勝負強さを発揮している。4度目の対決は、昨春と同じ軌跡を描くか。

投手は報徳、野手は大阪桐蔭に経験者

 高校野球は毎年メンバーが変わる。試合の趨勢を最も左右する投手力で言えば、報徳に分がある。ダブルエースの間木歩(3年=主将)と今朝丸裕喜(3年)は一昨年から主力投手だったのに対し、大阪桐蔭は前田が卒業し、投手陣は一新された。ただ、攻撃陣では大阪桐蔭が徳丸快晴(3年)、ラマル・ギービン・ラタナヤケ(3年)の主軸が健在なのに対し、報徳は主力野手が入れ替わり、打線はかなり小粒になっている。

秋と同じ平嶋と今朝丸の先発か

 昨秋はスコアこそ1点差だったが、内容的には報徳の完敗だった。安打数も大阪桐蔭11に対し、報徳は4で、大阪桐蔭の投手継投のもたつきで1点差まで迫ったが、8回から登板の森陽樹(2年)にはまったく手が出ず、報徳打線は2回で4三振と完全に抑え込まれた。今回は2回戦との連戦になることから、先発は秋と同じで大阪桐蔭がエースの平嶋桂知(3年)、報徳が今朝丸になるだろう。

大阪桐蔭のエースは最速154キロを誇る平嶋。西谷監督も「相手を見ながら投げられる。エースにふさわしい」と好調ぶりを認める。満を持して報徳戦に備えていることだろう(筆者撮影)
大阪桐蔭のエースは最速154キロを誇る平嶋。西谷監督も「相手を見ながら投げられる。エースにふさわしい」と好調ぶりを認める。満を持して報徳戦に備えていることだろう(筆者撮影)

 ちなみに秋は平嶋が6回3安打2失点。今朝丸が6回2/3で10安打4失点だった。両者とも秋より成長し、今大会から導入の低反発バットの影響もあって、打線が苦労するのは目に見えている。

秋に報徳を抑え込んだ森の出来には疑問符

 平嶋は四球から失点する秋の悪癖が影を潜め、持ち前の力強い速球で力勝負を挑んでくる。また2回戦で甲子園初登板となった森は、近畿大会からはほど遠い出来で、西谷浩一監督(54)は4回で交代させた。終盤のリリーフも得意なことから、準々決勝をにらんでの交代にも思えたが、秋のように自信を持ってマウンドへ送り出せるか。

報徳の今朝丸は愛工大名電(愛知)との1回戦で先発し7回1失点と好投した。秋は大阪桐蔭に打たれたが、球威は見違えるほど増している(筆者撮影)
報徳の今朝丸は愛工大名電(愛知)との1回戦で先発し7回1失点と好投した。秋は大阪桐蔭に打たれたが、球威は見違えるほど増している(筆者撮影)

 一方の今朝丸は春になって球速も増し、オープン戦では自己最速の151キロをマークした。2回戦で間木が好投し、今朝丸を温存できたのも報徳にとっては大きい。

ロースコア予想も天気の悪化に懸念

 試合のポイントは両先発の出来で、終盤まで1点を争うロースコアの展開が予想される。また第4試合ということで、天気の悪化が懸念される。主催者サイドから見れば、準決勝前の休養日を確保するためにも、4試合を消化し切る必要に迫られることから、雨中の決戦になる可能性もある。この対決が優勝争いを左右することは間違いなく、両校が悔いのない試合をできるように祈っている。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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