新・宇宙最大の恒星「スティーブンソン2-18」がヤバイ
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「新・宇宙最大の恒星スティーブンソン2-18」というテーマで動画をお送りしていきます。
星の大きさの測定は非常に曖昧
宇宙最大の星の候補となるのは大体どの星も末期段階で膨張して表面温度が低温で赤く見える、「赤色超巨星」というタイプの恒星ばかりです。
赤色超巨星は星の中では珍しく、地球から近い位置にはなかなかありません。
そしてそもそも赤色超巨星のような地球から遠くにある星の直径の測定には非常に曖昧な要素が残っています!
では星の直径というのはどのようにして測られているのでしょうか?簡潔に説明します。
直径を測るためには星が放つエネルギーの強さ(光度)を知る必要があります。
同じ直径なら温度が高い方がエネルギーが高く、温度が同じなら大きい方がエネルギーが高いので、光度は星の直径と表面温度によって決まります。
なので逆に星の直径は光度と表面温度によって決まるということになりますが、そのうち表面温度は星の見た目の色によって測定できるので、あとは星の光度さえわかれば星の直径がわかるということになります。
では星の光度はというと、地球が受ける星の光の強さと、その星の地球からの距離で決まります。
地球が受ける星の光の強さは観測で理解できるので、残るは星までの距離さえわかればその星の直径が理解できるという事になります。
ですがこの距離測定というのが厄介で、地球から遠くにある天体ほど距離測定は曖昧なものになってしまいます。
巨大な赤色超巨星は地球からある程度遠くにあるものばかりなので、特に直径を求めるのが難しい星です。
例えばこちらのオリオン座のベテルギウスも、最近になって距離の推定が640光年から530光年に下方修正され、その直径の推定も太陽の約900倍から、約750倍へと下方修正されました。
このように赤色超巨星は距離測定が難しい以上、どの星が一番大きいかを理解するのも同様に難しいんですね!
ちなみに補足ですが、距離を用いずHR図を使って測定する場合もあります。
たて座UY星も距離測定が間違っていた!?
既知の恒星の中で、一番大きいものとしてよく知られていたのが、「たて座UY星」という星です。
太陽の1700倍もの直径を持つ観測史上最大の星ということで、当チャンネルでも何度か紹介したことがあります。
ですがどうやら最近の詳細な観測によって、このたて座UY星は実は最大の星ではなさそうだ、ということが最近明らかになったようです!
これまでたて座UY星までの距離は9500光年程あるという風に考えられてきました。
ですが2018年に行われたガイア探査機による再測定によると、たて座UY星までは従来の約半分の5100光年程しか離れていないことが判明しました!
これほどまで推定の距離が短縮されてしまったために、たて座UY星の直径の見積もりも大幅に下方修正され、現在では太陽の700-1000倍程度しかないと考えられるようになったそうです!
オリオン座α星のベテルギウスも同じ赤色超巨星に分類されますが、こちらの推定直径は下方修正後でも太陽の750倍程度なので、それをも下回ってしまう可能性があるという事に…
他にも太陽の1000倍を超えると推定されている赤色超巨星はたくさんあるので、たて座UY星は首位から一気にランク外という扱いになってしまったようです。
ただし最新の測定の方が間違っており、たて座UY星は非常に巨大であるという可能性も残ってるようです。
やはり赤色超巨星の大きさの計測は難しいんですね。
現状最大の星の候補は?
ではたて座UY星に代わって推定値において首位になった星は一体何なのでしょうか?
赤色超巨星の直径の測定は前述の通り曖昧な要素が大きいため、今後もランキングに変動があると予想できること、そして情報サイトによってランキングの差が激しいために暫定での首位を見つけるのも難しいという前提の上で、英語版のウィキペディアの「既知の恒星の直径ランキング」というページを参考にすると、最も大きいと考えられているのは「スティーブンソン 2-18」という恒星だそうです!
スティーブンソン 2-18はたて座UY星同様たて座の方向に2万光年も離れた位置にあるスティーブンソン2という星団の中にある星です。
この星の直径はかつては太陽の474倍と控えめに見積もられていましたが、現在ではなんと2158倍と、たて座UY星の元の数値よりさらに巨大に推定されています!
あまりに巨大すぎるために、太陽の位置にあった場合木星を超えて土星すらも丸呑みしてしまうほどの巨大さをしています!
この星の表面温度は3000度程度と星としてはかなり控えめな温度となっていますが、直径がここまで大きいのでその光度は太陽の44万倍と推定されているようです!
なので時間を経過させると本来の太陽系では極寒だった惑星なんかも軒並み灼熱地獄と変わってしまいます!
とてつもなくハイスペックな星ですね。
太陽系中心にスティーブンソン2-18を置いたシミュレーションは、動画の6分20秒あたりからです。文字では説明しきれないのでぜひ動画でご覧ください。
繰り返しになりますが、赤色超巨星の直径は曖昧な要素が多いため、このスティーブンソン2-18も最大の星ではない可能性も十分にあります。
今後さらに観測技術が進歩し、本当に一番大きい星が一体どれなのか、明確になることに期待しましょう!
結論:太陽「もしかして俺が最大の可能性も?!」スティーブンソン2-18「それはねえよ」