つるんともちもちこし餡のお豆腐?京都の吉廼家さんの「和菓子豆腐」はのど越し涼やかなあんこの甘味
透明感とぷるんとした感じが、寒天とも水ようかんとも異なるポイント京都府京都市「北大路」駅に近接した昭和元年創業の和菓子屋「吉廼家」さん。京都といえば寺社仏閣や河川、舞妓さんが袖を揺らす古き良き街並みといったイメージがありますが、近隣には大学のキャンパスやお店の前には小学校が建つなど、ローカルな京都の一面も味わえるようなエリアに立地しているお店です。
大福や桜餅など、朝生菓子や季節の生菓子も店頭に並びますが、まるでおとぎ話の中から飛び出してきたような一口サイズの和菓子が詰められたその名も「おとぎ草子」という和菓子でも全国的に有名なお店。なのですが、私が推したい和菓子があるのです。今回は、つるんとしたのど越しが心地よい「和菓子豆腐」を、お月見仕様でご紹介。
羊羹でも水ようかんでもなく、「豆腐」と表現されているのには訳があります。実はこちら、寒天だけではなく葛粉も使用しているお菓子。寒天と葛?といいますと、どっちつかずといいいますか不思議な組み合わせのように感じる方もいらっしゃいますが、食感と致しましてはプルンとした胡麻豆腐などを思い浮かべていただければと思います。スプーンで掬うと、水ようかんには無い弾力を指先に感じることができ、それがまた残暑の厳しい季節にも食べやすい食感に。
興味深いと思ったポイントは、葛や寒天の旨味のような慎ましやかな味わいの後に、じんわりとこし餡の甘味が広がっていくところ。しかもただ甘いのではなく、ゆっくりゆっくり素材の味わいが広がっていくというのも、可愛らしい見た目ではございますが非常に大人の旨味といいますか奥行を感じられます。
そしてそして!気になっている方もいらっしゃるであろうお月様とうさぎさん。満月を見上げる白い兎は寒天のような軽やかな食感ですが、お月様はなんと金時いもの羊羹!しかも表面だけではなく、意外とたっぷり入っています。やや重厚感のある質感は、小豆のお豆腐との対比も相まって程よいお口直しに。
二人前程の大きさなので、シェアしていただくのが良いかと思いますが思いのほかあっさりと召し上がれるので、休日の朝ごはんとしてたっぷり召し上がるのも…また、お日保ちも製造日より6日程ございますので、お月見シーズンにはお手土産にしても喜ばれそうですね。
暑さが影を潜めた季節にも、ぜひこのもちもちっとした独特の食感を温かいお飲み物と一緒に楽しんでいただけたらと思います。