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完全試合まであと3イニングのところでセーフティ・バントは、暗黙のルールに反している!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
TJ・フリードル(シンシナティ・レッズ)Sep 25, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 9月25日、クリーブランド・ガーディアンズの投手たちは、シンシナティ・レッズを相手に投げ、1回表から6回表までの6イニングを完璧に抑えた。

 先発マウンドに上がったアルドルー・ウォルターズが、最初の5人を討ち取ったのに続き、エリック・サブロウスキーが4人、ケイド・スミスが3人、エリー・モーガンは6人を、いずれもアウトに仕留めた。ここまでは、パーフェクト・ゲーム(完全試合)を継続していた。

 けれども、7回表、モーガンに代わって登板したティム・ヘリンが初球を投げた直後に、完全試合は潰えた。TJ・フリードルが、セーフティ・バントを成功させた。一塁側に小さく上がってから落ちたボールをヘリンが拾い、一塁手のジョシュ・ネイラーに投げたが、間に合わなかった。ビデオ判定を要求するようなタイミングでもなかった。

 この場合、フリードルのセーフティ・バントは、暗黙のルールには抵触しない――それを守るべきかどうかはさておき――のではないだろうか。

 完全試合までの到達地点としては、微妙なところだろう。すでに3分2が過ぎた、まだ3分1が残っている、どちらの見方もできる。

 また、この時点のスコアは、レッズからすると、0対2だった。走者1人がいて、ホームランが出れば、同点となる。フリードルのセーフティ・バントは、勝つために出塁を試み、それに成功した、と見るのが妥当な気がする。

 その後、フリードルは、牽制の悪送球で二塁へ進み、エリー・デラクルーズの内野安打と悪送球でホームインした。レッズは、2対5で敗れたものの、8回表に1点を挙げ、一時は同点に追いついた。

 なお、継投による完全試合は、まだ一度も達成されていない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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