Yahoo!ニュース

潮目が変わった中古マンション市況。それでも上がり続ける場所、下降に転じた場所が判明

櫻井幸雄住宅評論家
万博を控えた大阪中心部の中古マンション価格は……。梅田エリアで筆者撮影

 現在のマンション市況は、新築と中古で様子が異なる。

 新築マンションを分譲する不動産会社は、2020年以降、予想外に売れ行きがよかったことで十分に利益を確保した。そのため、今は多少売れ行きが落ちても、慌てることがない。多くの物件で高値追求の姿勢を崩していない。

 一方で、悠長なことをいっていられないのが中古マンションの売り手だ。個人の売り手は、それぞれ売らなくてはいけない理由を抱えているため、半年以内では売却したい。そのため、売れなければ、すぐに希望価格を下げる。

 実際、首都圏の中古マンションは1年ほど前から希望価格を下げるケースが増えている。

 しかし、そのような状況下でも、中古価格が下がりにくい場所があるのも、また事実。では、どんな場所で中古マンション価格が下がりにくい(もしくはまだ上がっている)のか。そして、値下がりがはっきりしている場所は?それが分かる興味深いデータが発表された。

 「マンションレビュー」を運営するワンノブアカインド社が8月25日に発表した「2023年7月 全国市区町村中古マンション価格/騰落率ランキング」だ。

 同社は全国の市区町村で中古マンション価格が高い場所100カ所を1ヶ月に1度発表しているのだが、同時に100カ所の騰落率も発表。1年前、3ヶ月前の価格と比較したときの騰落率が分かるため、直近の価格推移が分かるデータにもなっている。

 その最新版が、2023年7月のデータだ。

 この最新調査データに加えて、ワンノブアカインド社が1ヶ月前の7月21日に発表した「2023年6月 全国市区町村中古マンション価格/騰落率ランキング」の調査データも参照。「1年前・3ヶ月前の価格と比べていずれも騰落率がプラス」を2回の調査連続で達成した場所を抽出した。それは、今も中古マンションが値上がりしていると判定できる場所だ。

 逆に、2回の調査連続で「1年前・3ヶ月前の価格と比べていずれも騰落率がマイナス」となった場所はどこかも明らかにした。

 これにより、「中古マンション価格が高い100カ所」でも、今は中古マンションが割安に購入できそうな場所も明らかになるわけだ。

 興味深い結果を明らかにしたい。

郊外のブランド住宅地が、じわり上昇

この記事は有料です。
資産価値はもう古い!不動産のプロが知るべき「真・物件力」のバックナンバーをお申し込みください。

住宅評論家

年間200物件以上の物件取材を行い、全国の住宅事情に精通。正確な市況分析、わかりやすい解説で定評のある、住宅評論の第一人者。毎日新聞に連載コラムを持ち、テレビ出演も多い。著書多数。

櫻井幸雄の最近の記事