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ふたご座流星群極大へ -冬の星空を見上げてみよう-

縣秀彦自然科学研究機構 国立天文台 准教授
12月12-15日に観測の好機を迎える今年のふたご座流星群 提供:国立天文台

今年もあっという間に、残り半月余りとなりました。皆さんにとって今年はどんな年だったでしょうか? 2018年の天文・宇宙界は、はやぶさ2のリュウグウ到着や、火星大接近、2回の皆既月食など、比較的に話題が豊富な年でした。ゆく年を見送る慌ただしいこの時期に、毎年、多くの流れ星が夜空を舞っています。それは「ふたご座流星群(ふたご群)」。多くの人にとっては、暮れのご挨拶周りや忘年会など帰りの遅い日が続く今週後半かもしれませんが、1時間でもよいので、心に余裕を持って、防寒着を身にまとい夜空を見上げてみませんか?

ふたご座流星群 撮影:長山省吾 提供:国立天文台
ふたご座流星群 撮影:長山省吾 提供:国立天文台

最良の条件で迎えるふたご座流星群

今年は12月14日(金)21時頃(日本時間)に極大を迎える予想となっています。夜半前に月が沈み、その後は良い条件で流星を観察することができます。つまり、夜遅い時間帯のほうが、たくさんの流れ星に遭遇するチャンスが増えます。すでにふたご群は活動を始めていますが、特に多くの流星を見ることができるのは、13日(木)の夜、14日(金)の夜の2夜でしょう。晴れていれば15日(土)も夜空を見上げましょう。いずれの夜も、20時頃から流星が出現し始め、夜明け前まで出現が続くでしょう。流星群の極大予想とは別に、一般的には夜明けに向けて散在流星の出現は増えていく傾向があります。今回のふたご群の場合は、空の暗い場所で良い条件下で観察したときには、極大時刻前後に1時間あたり40個程度と予想されています。

リラックスして流星の出現を待とう! -防寒対策、防光対策を忘れずに-

流星を楽しむのに、望遠鏡や双眼鏡は全く必要ありません。少しでも空が暗くかつ安全な場所を見つけて、肉眼で観察しましょう。大切なことは、人間の場合、屋外に出てから周囲の暗さに目が慣れるまで、個人差はありますが最低でも10分以上時間がかかることです。目が慣れるまでじっと我慢しましょう。その間、車のライトや街灯を避けて、それらの地上の光が目に直接入ってこないように何かで光を遮断し続けることが、流星を見るコツです。この時、地上の光が目になるべく入らないように見上げる方向を調整しましょう。群流星が流れる方向は放射点(ふたご座)の方向とは限りません。空のどこを見上げていても、見られる確率は同じです。流星群の特徴としては、放射点に近いほど、ゆっくりと短い経路で流れ、放射点に遠いほど、速く長い経路で観察されます。群流星のみならず散在流星も見られるはずです。この時期、大事なことは風邪をひかないよう防寒対策をしっかり行うことです。リラックスした服装・姿勢で無理をせずに楽しんでください。

流星群とは? ―母天体は彗星-

流星(流れ星)とは、宇宙空間にある直径1mm~数cm程度の塵粒(ダスト)が地球の大気とぶつかり、地球大気や気化した塵の成分が光を放つ現象です。重さも1gよりも軽いものがほとんどで、ちょうどコーヒー豆一粒ぐらいのサイズです。

流れ星には、散在流星と群流星があります。散在流星とは、いつどこを流れるか全く予測が付かない流星で、群流星とは、ある時期に同じ方向から四方八方に飛ぶようにみられる流星のことです。一方、群流星が飛んでくる方向を放射点(または輻射点)と呼びます。放射点がどの星座に含まれているかで、その流星群の名前が決まります。

太陽に近づいた彗星は、彗星本体に含まれていた塵を彗星の通り道(軌道上)に放出していきます。このため、塵の粒の集団と地球の軌道が交差している場合、地球がその位置にさしかかると、たくさんの塵の粒が地球大気に飛び込みます。地球が彗星の軌道を横切る時期は毎年ほぼ決まっていますので、毎年特定の時期(数日間)に特定の群流星が出現することになります。1月の「しぶんぎ座流星群」、8月の「ペルセウス座流星群」と並んで、12月の「ふたご座流星群」は三大流星群とも呼ばれ、毎年、安定してたくさん出現する流星群です。近年では、ふたご群のほうが、ペルセウス座流星群より出現数が多いほどです。ふたご群の母天体は小惑星フェートン(3200 Phaethon ファエトンとも呼ばれる)と考えられています。現在、この天体は彗星のように揮発性物質を多く放出していませんが、以前は彗星のような振る舞いをしていたのではないかと予想されています。

ふたご座流星群を眺めよう2018キャンペーンに参加しよう!

国立天文台では、毎年、都会でも楽しめるような出現数が多いと予想される流星群の場合、流れ星を数えて、報告しようという流星観察キャンペーンを行ってきました。今回も「ふたご座流星群を眺めよう2018」キャンペーンを実施中です。インターネット上で誰でも参加可能な簡単な観察キャンペーンです。国立天文台のウェブページからぜひご参加ください。

「ふたご座流星群を眺めよう2018」キャンペーン  (国立天文台ウェブページより)
「ふたご座流星群を眺めよう2018」キャンペーン  (国立天文台ウェブページより)

流星群については、日本天文学会のインターネット版「天文学辞典」の流星群の項もご参照下さい。

自然科学研究機構 国立天文台 准教授

1961年長野県大町市八坂生まれ(現在、信濃大町観光大使)。NHK高校講座、ラジオ深夜便にレギュラー出演中。国際天文学連合(IAU)国際普及室所属。国立天文台で天文教育と天文学の普及活動を担当。専門は天文教育(教育学博士)。「科学を文化に」、「世界を元気に」を合言葉に世界中を飛び回っている。

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