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WBA/WBC/IBF/WBOミドル級タイトルマッチ

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
(写真:ロイター/アフロ)

 ロンドン五輪、リオ五輪と連続で金メダリストとなり、プロ転向後もスーパーミドル、ミドル、ライトミドルの3階級で世界タイトルを獲得したクラッサ・シールド(27)。

 現在、WBA/WBC/IBFミドル級のベルトを保持するシールドは、9月10日にWBO同級王者のサバンナ―・マーシャル(31)との統一戦を迎えることとなった。

 両者はアマチュア時代に対戦し、マーシャルが判定勝ちしている。まだ、シールドが金メダリストとなる前のことだ。シールドのアマ戦績は64勝(5KO)1敗、プロでは12戦全勝(2KO)。唯一黒星を喫した相手に、リベンジしたい思いを前面に出している。

写真:ロイター/アフロ

 とはいえ、マーシャルのプロでの戦績も12戦全勝10KO。しかも、開催地はWBO王者のホームである英国だ。

写真:ロイター/アフロ

 先日行われた記者会見で、シールドはマーシャルを挑発するかのように述べた。

 「この試合には大きな意味がある。まず、私を受け入れてくれたUKのファンにお礼を言うわ。2012年、サバンナ―・マーシャルはラッキーで私に勝利したけれど、2022年の彼女に運は無い。当時、私は17歳だったし、ロンドン五輪を控えて英国に有利なムードがあった。

 納得のいかない結果だった。彼女は私にダメージを与えてはいないし、倒してもいない、8カウントもとっていない。今だって、本当にノックアウトパンチャーなのかしら?

写真:ロイター/アフロ

 私は他者を嫌うようなタイプの人間じゃないの。祖母にそう躾られたから。でも、マーシャルのことは好きじゃない。私のように3階級制覇を成し遂げられるような選手じゃないわよね。彼女の動きは遅い。背は高いけれど、それを生かした戦い方も身に付けていない。私とも接近戦での展開を挑むんじゃないかしら。

 今回の統一戦は、女子ボクシング界で最も大きなファイトになるでしょう。8万人の観客の前で戦えることに、幸せを感じます」

写真:ロイター/アフロ

 一方のマーシャルも語った。

 「この試合の実現までに、長い時間を要しましたね。ついに9月10日、私たちは戦います。そして私が、新しい統一ミドル級チャンピオンとなるのです。

 私は、クラッサ・シールドのファンですよ。女子ボクシング界に素晴らしい功績を残したパイオニアですから。でも、実際のところ、彼女は私に勝てないでしょう。前回の対戦と同じようなパフォーマンスになるのでは。

写真:ロイター/アフロ

 私は何度もノックアウト勝ちを収めてきました。彼女を痛めつけ、アウトボクシングも披露します。シールドよりも優秀な選手であることを証明しますよ。メンタルも、頭脳も使ってシールドを攻略します。私の方がモチベーションも高いでしょうしね」

 主催者の予想通り、アリーナは8万人のファンで埋まるだろうか? 女子ボクシング界にとって新たな扉を開ける統一戦となるであろうか。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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