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Nintendo Switch後継機は8インチの大画面、ただしスイッチ用ソフトはボヤけて表示か

多根清史アニメライター/ゲームライター
(写真:ロイター/アフロ)

Nintendo Switchの後継機、通称「スイッチ2」は任天堂が公式に予告したこともあり、そう遠くないうちに発売されることは確実です。もはや噂の域を脱しており、今後は正式に製品名を発表→各種の仕様を公表→新作ゲームソフトをNintendo Directで一挙におひろめという風に事が運ぶことでしょう。

その予想スペックも概ね固まっており、ザックリ言えばNintendo Switchをベースに手堅く強化したものです。現行スイッチの「携帯ゲーム機と据え置きハードのハイブリッド」を受け継ぎつつ、心臓部分のプロセッサーを8年ぶりに刷新。それでいて後方互換性=現行スイッチのソフトはぜんぶ動く

さらにスムーズな動作に必須のRAM容量も増やし、大型化してきたゲームソフトに合わせて内蔵ストレージも初代の8倍。さらにはマイクなど、過去の任天堂ハードにあった要素すべてをまとめ上げるといったところです。

こうした強化のうち「携帯ゲーム機」として特に重要なのが、本体内蔵ディスプレイでしょう。テレビに繋がずどこでも遊べる、自分の部屋でコンセントにつながず寝転がってプレイできるという、他社の据え置きゲーム機にはない長所。現行スイッチが成功した理由の半分ほど占める要素であり、使用体験に大きな影響を与えるはず。

これまでの噂話では、具体的には画面サイズは8インチ、解像度は1080p(1920×1080ピクセル)。現行スイッチが最上位の有機ELモデルでも7インチ/720p(1280×720)であり、大幅な進化です。また1080pといえば、現行機をドックに差し込んでテレビで映せる最大の解像度。

つまり「スイッチ2は本体だけで、テレビと同じぐらいのきめ細かいグラフィックが楽しめる」というわけです。

まるで良いことずくめのようですが、現行スイッチのソフトを遊ぶ場合は「そう上手くは行かないかも」とゲーム映像の専門家が指摘しています。

もしも後継機でスイッチ用ソフトがぼやけても、任天堂は気にしない?

写真:ロイター/アフロ

ゲーム映像の詳細な分析で知られるDigital Foundryのスタッフは、スイッチ2につき「1080p画面がベストの選択ではない可能性がある」があるとコメントしています。

なぜなら、新ハードで元のスイッチ用ゲームが動くとすれば、ソフトがそのままなら720p解像度のまま出力され、単純に拡大表示した場合、1080p画面ではぼやけて見えるため。この問題を避ける1つの方法は、携帯モードで実行しながら、据え置き時の1080pモードで出力することです。

とはいえ、解像度が低ければ処理の負荷も軽く、逆に高くなれば動作も重く、消費電力も大きくなりかねません。携帯モードで、わざわざ荷が重い据え置きモードを使うの?という矛盾に繋がりかねない。

そうしたネックを解消できる可能性があるのが、スイッチ2に採用が噂されるNVIDIAのDLSS技術。これは超解像技術、つまり「内部的に粗い解像度で描いておき、機械学習により高解像度にアップスケール(底上げ)」する手法であり、処理速度の向上や省電力、キレイな画面を一挙三得で狙えるものです。

元々のスイッチには540p(960×540ピクセル)モードもあり。 1080pとは整数倍の関係にあり、アップスケールも容易い。スイッチ2の画面に720pを引き伸ばしてボンヤリ表示するより見栄えも良く、消費電力も節約できてメリットが大きい……Digital Foundryスタッフは、そんな趣旨を述べています。

こうした工夫をスイッチ2がシステムレベルで自動的に行うのか、それとも各ゲーム開発会社ごとに対応アップデートをするのか(任天堂が丸投げするとも言います)、ないし何も考えずにボンヤリした画面のままお出しするのか不明です。

ちょうど任天堂が「新型ハードに、内蔵ディスプレイの解像度が異なる旧型ハード用との後方互換性を持たせた」前例はあります。それはニンテンドーDSのソフトが動いたニンテンドー3DSなんですが、本当にただ拡大表示していただけのため、見事にぼやけていました。その辺り、任天堂はあまり気にしないのかもしれません。

ちなみに、6月末現在でのスイッチ2仕様に関する予想は、中国のゲーム機用アクセサリー企業MobaPadが数ヶ月前にまとめた情報に落ち着いた印象があります。その内容は、ざっと次の通り

  • 現行Joy-ConやProコントローラーを引き続きサポートし、HD振動用にALPS製2軸リニアモーターを搭載
  • カートリッジスロットは、物理的なスイッチ用カートリッジおよびダウンロードソフトの後方互換性をサポート
  • ただしスイッチ2用のカートリッジは、初代スイッチと互換性がない場合がある
  • 新Joy-Conは容積が大きくなり、スライドレール構造がマグネット吸着に変更
  • (Joy-Conの内側にある)SLボタンとSRボタンは金属製。マグネット吸着は、電磁吸引技術によるもの
  • 新Joy-Conの側面には既存のL、ZL、R、ZRボタンに加え、左右ともに3つ目のボタンが追加
  • 右Joy-ConのHOMEボタンの下には、追加のファンクションボタンがある
  • Switch 2の底面にはドッキング用のUSB-Cポートが引き続き搭載
  • 新世代ドックは4K解像度サポートなど性能が向上しつつ、外観はマイナーチェンジする
  • 新しいドックも背面にスタンドを備え、より幅広い角度調整が可能になる
  • 画面サイズは8インチに大型化し、1080Pの解像度をサポートする
アニメライター/ゲームライター

京都大学法学部大学院修士課程卒。著書に『宇宙政治の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。現在はGadget GateやGet Navi Web、TechnoEdgeで記事を執筆中。

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