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若者のフェイスブック離れを示す新たなデータ、「信頼できない」「楽しくない」との回答多数

小久保重信ニューズフロントLLPパートナー

米国では10歳代の若者を中心にフェイスブック離れが進んでいるとの調査リポートを米国のコンサルタント・市場調査会社、フランク・N・マジッド・アソシエイツが公表した。

ティーンの利用者、昨年から6ポイント低下

それによると、13歳から17歳のソーシャルメディア利用者のうち、フェイスブックを利用していると答えた人の比率は88%だった。

フランク・N・マジッド・アソシエイツが昨年行った同様の調査ではこの比率は94%、2年前の調査では95%だった。

これに対し、ツイッターを利用していると答えた同じ年齢層の比率は48%で、前年から2ポイント増えている。

フェイスブックの今年9月末時点の月間利用者数は13億5000万人で、その数はほかのサービスの利用者数に比べ圧倒的に多い。だがここ数年はティーンエージャーの間でフェイスブックの利用が顕著に減少しているという。

フェイスブックは昨年7〜9月期の決算発表で、若者の利用頻度が低下したと初めて報告した。しかし米ブルームバーグビジネスウィークによると、同社はその後の決算発表で若者の利用に関する報告を行っていない。同時にフェイスブックの広告事業の業績は好調に推移している。こうしたことから、若者離れの問題はいつしか語られなくなったという。

しかし、フランク・N・マジッド・アソシエイツよると、この問題は決して消えたわけではなく、むしろより以前より深刻。

その理由として指摘されているのが満足度の低下だ。

全年齢層を対象に行った同社の調査では、フェイスブックが「安全」「信頼できる」と答えた人はわずか9%。これに対し画像SNSのピンタレスト(Pinterest)には同様の回答が30%近くあった。このほか、フェイスブックが「楽しい」という回答は18%、ピンタレストが「楽しい」という回答は40%に上った。

フランク・N・マジッド・アソシエイツの調査担当者は「フェイスブックは人々の日常生活に深く入り込んでいるため、利用者は急減しない」としながらも、「人は漠然とした不満を抱き始め、その後しばらくして突如利用しなくなる」と、移り気な利用者の行動を説明している。

親や教師がいないメッセージングサービスが人気

そうした中、フェイスブックは様々な施策で若者離れに歯止めをかけようとしている。

ここ最近はメッセージングサービスの人気が高まっている。フランク・N・マジッド・アソシエイツの調査によると、フェイスブックの「メッセンジャー」を使っている人は40%で最も多い。また「スナップチャット」は18%、米アップル「iメッセージ」は17%、「ワッツアップ」と米グーグルの「ハングアウツ」はそれぞれ9%だった。

このうち、「メッセンジャー」はフェイスブックが今年、本体のサービスから分離し、別アプリのサービスとして提供を開始した。

また同社は昨年、写真メッセージアプリ「スナップチャット」の買収を試みた。この買収は失敗に終わったものの、同社は今年「ワッツアップ」の買収に成功した。

傘下の「ワッツアップ」「インスタグラム」は好調

このほか、フェイスブックには2012年に買収した写真共有アプリ「インスタグラム」があり、こちらもワッツアップ同様ティーンに人気という。

10歳代の若者がフェイスブックを敬遠する理由は様々あるが、「若者は親や教師も参加しているフェイスブックに退屈さを感じている」というのが大方の見方だ。

広告事業の重要な顧客であり、事業成長の要となる若年層利用者の減少はフェイスブックにとって死活問題。そうした中、フェイスブックは本体サービスとは異なる別アプリで若者をつなぎ止めようとしている。

ザ・バージによると、今のところその戦略は成功している。親から離れたつもりの若者は結局、今も巨大なフェイスブックファミリーの中にいると、ザ・バージは伝えている。

JBpress:2014年12月24日号に掲載)

ニューズフロントLLPパートナー

同時通訳者・翻訳者を経て1998年に日経BP社のウェブサイトで海外IT記事を執筆。2000年に株式会社ニューズフロント(現ニューズフロントLLP)を共同設立し、海外ニュース速報事業を統括。現在は同LLPパートナーとして活動し、日経クロステックの「US NEWSの裏を読む」やJBpress『IT最前線』で解説記事執筆中。連載にダイヤモンド社DCS『月刊アマゾン』もある。19〜20年には日経ビジネス電子版「シリコンバレー支局ダイジェスト」を担当。22年後半から、日経テックフォーサイトで学術機関の研究成果記事を担当。書籍は『ITビッグ4の描く未来』(日経BP社刊)など。

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