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世界第2位の日本は遠いが…韓国が“国家ブランド指数”を大幅に上昇させた理由とは?

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
(写真:アフロ)

世界で最も“ブランド力”の高い国はどこか。最近、それを知るための国家ブランド指数が発表された。

国民性が評価された日本

イプソスが提供する「アンホルト国家ブランド指数(NBI)2018」によると、1位は昨年に続いてドイツだったが、2位は日本。日本は昨年4位だったが、今回は堂々のトップ3入りとなった。

その躍進要因としては、「“国民”と“統治”の分野で評価が大きく伸びたこと」と発表されている。韓国でも日本の国民性の評価は高いが、それは世界共通の認識のようだ。

(参考記事:「世界の魅力的な国民2位は日本。1位は…」今、問われる韓国の“市民意識”

イプソスによれば、日本は「国民」の分野で世界5位。昨年から3ランクアップを果たしている。

以下、3位イギリス(前年3位)、4位フランス(前年2位)、5位カナダ(前年4位)までがトップ5。続いて6位にイタリア(前年7位)とアメリカ(前年6位)が並び、8位スイス(前年8位)、9位スウェーデン(前年10位)、10位オーストラリア(前年9位)の順となった。アメリカは2年連続でトップ5圏外となったが、トップ10にランクインした顔ぶれは前年と変わっていない。

調査対象国は50カ国。韓国も調査対象国に入っているが、トップ10圏外だった。現時点ではトップ10のみ公開されており、韓国の順位は明らかではないが、アジアで唯一トップ10入りしている日本と差があることは間違いないだろう。

(参考記事:ドイツや日本と対照的…韓国が「国家ブランド指数」で伸び悩むワケ

それでも今年の国家ブランド指数において、韓国は「NBI総合スコアで堅調に推移し、総合ランキングで3つ順位を上げました」と報じられている。

韓国もランクアップ、理由は?

韓国が今回、ランクアップした理由はどこにあるのか。

それは、2月に行われた平昌五輪にあるようだ。平昌五輪によって「国のイメージがアップ」したとされているのだ。

事実、今年上半期に韓国を訪れた外国人観光客数は722万人と、前年の675万人に比べて増加している。

また、韓国文化観光研究院がクレジットカード業界シェア1位の新韓カード会社から提供された上半期の外国人のクレジットカード(VISAなど5社)の支出データを分析した結果を見ても、観光分野の外国人の支出額は3兆1661億ウォン(約3166億円)となっており、2017年(3兆307億ウォン)よりも増えたという。

平昌五輪から半年以上が過ぎて、すでにオリンピックスタジアムも撤去されているが、オリンピック効果があったことは間違いなさそうだ。

ちなみに、五輪を開催した韓国と同じくサッカーW杯という国際的スポーツ・イベントが行われたロシアも、「観光」分野で大幅な伸びを見せたそうだ。

それにしても気になるのは、今回の発表に対する韓国の反応だ。毎回、この手の国際ランキングに一定の反応を示す韓国だが、今回の国家ブランド指数に関しては今のところ、韓国メディアのほとんどが報じていない。

韓国の順位が定かではないせいかもしれないが、昨年の国家ブランド指数や、今夏の「評判の良い国ランキング」は、さまざまに報じていただけに意外な印象だ。

(参考記事:「評判の良い国ランキング」は上昇も…韓国と評判上位国との“意外な因縁”とは

いずれにしても今回の国家ブランド指数では、日韓ともにランクアップしたことは事実。今後もトップ10は変わらないのか、また韓国がさらに順位を上げていくのか、注目してみたい。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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