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韓国代表はなぜUAEで南米の強豪ブラジル代表と親善試合をすることになったのか?

金明昱スポーツライター
ブラジル代表がもっとも警戒しているソン・フンミン(写真:ロイター/アフロ)

 19日の22時30分(日本時間)からUAEで韓国代表とブラジル代表が親善試合を行う。

 すでに韓国内では、ブラジルとの一戦を待ちわびているファンが多く、連日ニュースでも大きく取り上げられている。

 韓国代表にとっては、経験値を積むうえでも南米の強豪ブラジルとの対戦は願ったり叶ったりだ。

 韓国との試合を前にブラジルは15日、サウジアラビアの首都リヤドでアルゼンチン代表と対戦した。

 ブラジルはネイマールをケガで招集できなかったが、アルゼンチンはリオネル・メッシをスタメンに起用。

 前半12分にメッシがペナルティエリア内で倒されてPKを得ると、メッシのシュートは一度は阻まれたが、こぼれ球を押し込んで先制。この1点を守り切ったアルゼンチンが1-0で勝利している。

 この試合のあとブラジルは、滞在する中東で1週間ほど日程が空いていたという。

 ちょうどその時期にブラジルサッカー協会から、大韓(韓国)サッカー協会に親善試合の打診があったというのだ。

 タイミングがよかったのは韓国代表がカタール・ワールドカップ(W杯)アジア2次予選のために中東にいたこと。

 韓国は14日にレバノンのホームで試合を行い、そのまま帰国せずにブラジルとの親善試合を行うためUAEへ移動することになったわけだ。

 つまり、両国ともに場所と日程的にタイミングが合致したわけだ。

 ただ、ブラジルにとって、中途半端なチームとの試合は避けたいが、18日の会見でブラジル代表のチッチ監督はこう語っている。

「韓国が(2018年ロシアW杯で)ドイツに勝ったことは知っている。韓国の強さも知っている。ソン・フンミンだけでなく、全体的にチームを尊重している」

 相手にとって不足はないということだろうか。油断はしていない。

 また、DFヘナン・ロディ(アトレティコ・マドリー)は「ソン・フンミンがもっとも危険な選手。1対1の状況からのドリブルと突破、さらに決定力も優れている」とトットナムでの活躍ぶりからも警戒すべき選手と話している。

 それでもブラジルは9月以降の5試合で3分2敗と勝利から遠ざかっているだけに、ここは勝利がほしいところ。

 一方の韓国にも勝機はあるかもしれないが、今月のW杯アジア2次予選での2試合(北朝鮮、レバノン)では0-0で引き分けており、決して調子がいいともいえない。

 ソン・フンミンもクラブチームと代表では、求められるものが違うため、代表では本来の力を発揮できない状態が続いている。

 果たして韓国はブラジルを相手にどのような試合を見せるのか。注目したい。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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