京口紘人「パワーがついたのを実感している」世界1位の久田哲也と異例のスパーリング
11月3日大阪でボクシングWBA世界ライトフライ級スーパー王者京口紘人(26=ワタナベ)が、WBA同級10位のタノンサック・シムシー(タイ)を迎え3度目の防衛戦に臨む。
試合に向けて、WBC世界同級1位久田哲也(35=ハラダ)を大阪から呼び、4日間連続でスパーリングを行った。両者は昨年10月に戦い京口が勝利した。
異例のスパーリング
試合したもの同士が試合直後に手合わせするのは非常に珍しい。
お互い手の内も、スタイルも研究しているので、これほど心強いパートナーはいないだろう。
世界王者クラスであれば海外からスパーリングパートナーを呼ぶこともあるが、新型コロナウイルスの影響で難しい。そこで、国内で同級1位の久田に声をかけたそうだ。
取材に行った日も4ラウンド実践さながらのスパーが行われていた。
スパーではディフェンスを強化してきた京口に、久田が攻撃をしかける。
初めはジャブをつきながら様子を見ていた両者だが徐々にヒートアップ。京口がプレッシャーをかければ、久田が前後にステップする。
中でも、京口のボディ打ちが印象的だった。
4ラウンドの短いスパーだったが、質の高い練習ができているようだった。
久田とのスパーリング
スパー後、久田に話を聞くと「お互い手の内もわかっていて得意、不得意もわかっている。京口はプレッシャーのかけ方がうまく、ディフェンスからの攻撃への繋ぎ方がうまい」と絶賛した。
また、昨年に戦った時よりパンチ力が増しているようだ。
京口にも話を聞いたが「この1年でパワーがついたのを実感している」と話していた。
スパーリングでもボディ打ちや右のクロスなど、強いパンチが目立った。
試合まで1ヶ月を切っているが、体重も順調に落ちてきており、減量や調整も順調そうだ。
1年ぶりの試合に向けて「面白い試合をしたいと思います。チャンスがあればKOも狙っていくつもりです」と意気込みを語った。
YouTubeで世界戦
京口はこの1年で最も影響力をつけたボクサーだ。
昨年の11月に始めたYouTubeチャンネルは約13万人の登録者を抱えている。
YouTubeから京口を知ったファンも多いだろう。ここ最近ボクサーが次々とYouTubeチャンネルと立ち上げているが、現役選手で最も成功させている。
「ボクシングをあまり見ない若い人たちから声をかけられたり、街で気づかれることが増えました」
最近では、ファン層の拡大を実感しているようだ。
「ボクシングは素晴らしい競技だと、多くの人に知ってもらいたい」と話していた京口。
今回の世界戦は、業界初となる選手自身のYouTubeチャンネルで放送される。
新しい取り組みにチャレンジし続ける京口紘人から目が離せない。