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「有利なのは巨人。ただ…」激戦のセ・リーグ優勝争いを上原浩治が分析

上原浩治元メジャーリーガー
(写真:アフロ)

 プロ野球のセ・リーグはレギュラーシーズン終盤に白熱した展開になってきた。首位巨人は2連勝で70勝に到達して首位をキープ。2位の阪神も4連勝で2差で巨人を追う。3位の広島はここが踏ん張りどころだ。4位のDeNAも広島に1差でプレーオフ進出の可能性まで含めれば充分にある。私の開幕前の順位予想で「1位巨人、2位阪神、3位広島」としているが、残り試合数が3球団とも10試合以上残る現状では、まだまだ順位の変動はありうるとみる。

 試合のない17日を挟み、18日からまた試合が組まれている。3差をひっくり返すには1カ月くらいが必要になるといわれるが、私は1カ月あれば5差でも順位は変わると思っている。巨人と阪神の2差、阪神と広島の3差、広島を1差で追うDeNAの順位はこれからの1週間でも変動するだろう。

 首位のソフトバンクと2位以下が大差のパ・リーグだとレギュラーシーズンの優勝よりも、プレーオフも見据えた戦いも念頭に置くだろうが、セ・リーグでは最後まで優勝争いが続いていく。

 18日から23日までの試合日程をみると、巨人はDeNAと本拠地2連戦を戦った後は遠征で広島、阪神とそれぞれ2連戦を戦う。阪神は18日に中日と敵地で戦った後に移動日を挟んでDeNAと敵地で2連戦し、甲子園に戻って巨人と2試合を戦う。広島は阪神、巨人、中日と6連戦だ。

 優位なのは巨人だ。18日のDeNA戦で引き分け以上で優勝マジックが点灯する。

 「追いかけるほうが精神的に優位」という声を聞くこともあるが、私の経験では数字の上ではもちろん、気持ちの面でも「順位が上にいるほうが有利」だ。上にいるチームは自分たちの勝利だけに集中して、1試合ずつをこなしていけばいいが、追うチームは勝っても、上のチームの結果次第でゲーム差が変わらないこともある。どちらが心的に有利かは、それぞれの考え方にもよるだろうが、ここから先は、目の前の試合を勝っていくことに徹することが何よりも重要になるだろう。

 上位の直接対決の重要性はもちろん、4位のDeNAとの戦いも鍵を握るとみる。

 投手、野手で言えば、毎試合に出場する野手の調子が今後の展開を大きく左右するだろう。ただし、主軸かどうかは関係ない。下位打線でもその日のヒーローになれば勝ちが転がり込んでくる。試合に出る機会の多さがチームの順位に影響するという意味で、野手の働きは大事になる。もちろん、投手がある程度の失点で抑えることも必要で、投手は自分が投げる試合に向けた調整が重要だ。

 シーズン終盤になると、スポーツ紙が勝敗ラインをわかりやすく図表でまとめている。ファンにとっては「あと何勝すれば、2位以下が全勝しても追いつけない」などとペナントレースの行方を予想する楽しみがあるだろうが、試合をしている選手が「あと何勝すれば」という勝敗ラインを意識することはない。少なくとも私はそうだった。プロもこの時期は目の前の試合を「一戦必勝」モードで戦っている。ここからはいよいよ正念場。巨人有利は変わらないが、1週間後の順位は誰にも予想がつかない。それだけ面白いペナントレースになっている。

元メジャーリーガー

1975年4月3日生まれ。大阪府出身。98年、ドラフト1位で読売ジャイアンツに入団。1年目に20勝4敗で最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率の投手4冠、新人王と沢村賞も受賞。06年にはWBC日本代表に選ばれ初代王者に貢献。08年にボルチモア・オリオールズでメジャー挑戦。ボストン・レッドソックス時代の13年にはクローザーとしてワールドシリーズ制覇、リーグチャンピオンシップMVP。18年、10年ぶりに日本球界に復帰するも翌19年5月に現役引退。YouTube「上原浩治の雑談魂」https://www.youtube.com/channel/UCGynN2H7DcNjpN7Qng4dZmg

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