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「一流選手にも挫折や苦悩が必ずある」YouTube100万人達成で上原浩治が思うこと

上原浩治元メジャーリーガー
YouTube「上原浩治の雑談魂」のサムネイル

 記念すべき節目の登録者が誕生したのは、12月2日の22時ごろだった。

 公式YouTubeチャンネル「上原浩治の雑談魂」の登録者数が100万人に到達した。これまでに、おかげさまでたくさんのゲストが出演し、楽しく番組内で雑談に花を咲かせてもらった。

 以前のコラムでも書いたように、雑談魂の中で心掛けているのは、テレビなどのメディアではオンエアしないような“雑談”である。出演してくれているゲストの大半はすでに引退をしている。現役時代も含めて、プロ入り後などの様子は数多くのメディアが取材をしているが、小中学、高校時代の話はそこまで知られていないことが多い。

 重箱の隅をつつくようなテーマなのだが、これがとても興味深い。どんな一流選手にも苦悩や挫折、今なら打ち明けられる笑い話、苦い経験などがたくさんあることを毎回、思い知らされる。とくに、「昭和」の厳しい体育会でのし上がってきた人たちの経験は壮絶である。令和の時代なら、監督も先輩も完全に“アウト”なしごきも、昔は当たり前のようにまかり通っていた。笑い話にして、理不尽な指導を美化しているわけではなく、同年代の人たちには「俺の学校にもそんな監督がいた」「あの時代だから、できた話だよな」となつかしんでもらえばいいと思っている。そして、現在は指導者になった人たちには、いまの時代に合う指導を見つめ直すきっかけになってもらえたらいいと思っている。もちろん、雑談をしているときに、そこまで小難しいことは考えず、私自身もゲストとのトークを楽しんでいる。

 正直に打ち明ければ、ここまで登録者が増えるとは思っていなかった。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の少し前にスタートし、コロナ禍の「おうち時間」に楽しんでもらえていたので、コロナ禍が落ち着いたら視聴回数も減っていくのではないかと思っていた。それが、ここまで長く続いているのは、自分の力ではなく、ゲストはもちろん、準備や撮影編集などをしてくれるスタッフの協力があってこそだと感謝している。

 私自身が胸を張れることがあるとすれば、引き受けた以上は途中で投げ出さないことである。週2回の配信と最近はリアルなトークショーなども開催されるが、アメリカの自宅へ戻るときも、プロ野球の解説がたてこむ秋のシーズンも、事前に収録を済ませておくなど、一度も「穴」を開けたことはない。これは、週2回の配信は、楽しみにしてくれている視聴者との約束だと思っている。そして、これまでのゲストの人たちもドタキャンをした人は一人もいない。これはとてもありがたいことである。そして、皆さんがテレビなどで話したことがない、とっておきの“雑談”を携えてきてくれる。

 少し前までは上田まりえさん、現在は上重聡さんがMCとして進行役を担ってくれる。台本にも目を通さないこちらの不規則発言にもうまく対処できるのは、アナウンサーとしてのプロのスキルがあるからだろう。

 番組の未来を考えたことはないが、100万人登録者の達成はゴールではなく、通過点になっているのは間違いない。達成日の翌日、さっそく次の収録が行われた。みんなでクラッカーを鳴らしてお祝いして、その後はこれまで通りに楽しく“雑談”をさせてもらった。

 登録者数のことはそこまで気にしたことがないが、毎回の視聴回数が50万回を超えることはいつも願っている。せっかく出演してくれたゲストの方の魅力を伝えるための最低限のハードルと考えているからだ。登録してくれた皆さん、ぜひ定期的な視聴をこれからも宜しくお願いします!

元メジャーリーガー

1975年4月3日生まれ。大阪府出身。98年、ドラフト1位で読売ジャイアンツに入団。1年目に20勝4敗で最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率の投手4冠、新人王と沢村賞も受賞。06年にはWBC日本代表に選ばれ初代王者に貢献。08年にボルチモア・オリオールズでメジャー挑戦。ボストン・レッドソックス時代の13年にはクローザーとしてワールドシリーズ制覇、リーグチャンピオンシップMVP。18年、10年ぶりに日本球界に復帰するも翌19年5月に現役引退。YouTube「上原浩治の雑談魂」https://www.youtube.com/channel/UCGynN2H7DcNjpN7Qng4dZmg

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