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米主要紙も疑問を呈した「日本の髪型報道」 眞子様&小室さん結婚問題、アメリカではどう報じられたか

安部かすみニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者
ワシントンポストの電子版。

眞子様&小室さんの結婚騒動に関して、アメリカでは最近まで女性誌などを除き、一般の主要紙においてそこまで大きく報じられることはなかった。

しかし現地時間の27、28日ごろになり動きが出てきた。主要紙では、ワシントンポストがアジアのニュース枠で大々的に報じた。

You’ve heard of Harry and Meghan. Now meet Mako and Kei, who have Japan in a tizzy.」(あなたはヘンリーとメーガンのことを聞いてきました。次は日本で騒動になっている眞子と圭の話題です)

同紙は小室さんの母親の金銭問題など、ここまでの騒動に至った経緯について触れ、この結婚の複雑さは、イギリスのヘンリー王子とメーガン夫人のセンセーショナルな王室退位(メグジット)騒動に匹敵すると紹介した。また「日本の世論の圧力によって、天皇皇后両陛下への結婚の挨拶という伝統的な儀式の取りやめを決定するに及んだ」「世間の関心と批判はサイバーブリング(ネットいじめ)へと高まった」とも論じている。

米主要紙も疑問を呈した「長髪報道」

筆者も気になり先日記事で書いた、一部の日本メディアによる「髪型についての報じ方」について、ワシントンポストの記者も同様に注目したようで、このように論じている。

Komuro has become such a vilified figure that even his new ponytail hairdo has become a symbol of his unfitness to be involved with the royal family.

小室氏の新しいポニーテールの髪型でさえ、皇室には不適格の象徴とされ、けなされている。

It turns out his hair has grown a lot since then. And many in Japan, where uniformity in hairstyles is seen as a sign of respect for social norms, are not happy about it.

小室氏の髪はあれからずいぶんと伸びたことがわかる。そして、ヘアスタイルの画一化が社会的規範の尊重の表れと見なされる日本では、多くの人がその長髪を快く思っていない。

Photos and videos of him went viral. He inspired TikTok impersonators mocking his look. Millions of people viewed clips of him, criticizing the hairstyle. A local sports outlet on Tuesday carried the headline “Ponytail Returns,” with photos of his new hairdo from various angles and even a drawing of his ponytail.

小室氏の写真や動画が瞬く間に拡散され、彼の容姿を嘲笑うTikTokのモノマネ芸人たちを刺激した。何百万人もの人々が彼の映像を観て、ヘアスタイルを批判した。火曜日のスポーツ紙は、「ポニテ帰国」という見出しで、彼の新たな髪型を複数の角度から撮影した写真と共に、彼のポニーテールの図(コラージュ)まで掲載した。

記事では、AFPのスポーツ記者で東京特派員であるアンドリュー・マッカーディ氏(Andrew McKirdy)のツイートを引用している。

「小室圭がポニーテールで帰国」という見出しが付いたすばらしい表紙。さまざまな角度から撮影した証拠と共に(まるで)世紀の殺人犯のように。彼はきっと素足で革靴を履いていたことだろうよ。

「素晴らしい」というのはアイロニック、つまりマッカーディ記者はこれが本当に素晴らしい表紙だと絶賛しているわけではなく、人の見た目を茶化した新聞の表紙をこの記者なりに皮肉っているのだと、筆者は解釈した。

ワシントンポストのこの記事は、翌日の同紙アジア枠ランキングで1位となっており、多くの人に関心が寄せられ読まれたことがわかる。

米ヤフーニュースも上記のツイートを引用しながら、「Japanese Princess Mako's fiancé racks up millions of views on TikTok for all the wrong reasons」(眞子様の婚約者は、すべての間違った理由によりTikTokで数百万回の再生回数を獲得)という見出しで、日本の長髪報道は間違った影響力を及ぼしていると指摘した。

Komuro made headlines once again for sporting a ponytail and no necktie after he landed, which fueled more Japanese news reports bashing him for his appearance and concluding that he is unfit for his engagement. TikToks mocking his ponytail have also gone viral, with one reaching over 4.5 million views.

小室氏は日本到着後、ポニーテールにノーネクタイというスタイルで再び話題になったことで、さらに彼の外見をバッシングし、婚約者としてふさわしくないと結論づける日本の報道を過熱させた。また、小室氏のポニーテールを揶揄するTikTokも話題になり、450万回以上再生されたものもある。

一方、2人の移住先となるニューヨークのメディアはどうか。

大衆紙のニューヨークポストは27日「Japan’s Princess Mako set to give up $1.35M payment to marry commoner」(眞子様、135万ドルの一時金を放棄し一般人と結婚へ)と報じた。

主要紙のニューヨークタイムズは、最新の動きに関して今のところ静観しているようだ。

ニューヨークタイムズの過去記事

眞子様の結婚報道では、昨年11月の記事が最後だ。「For Japanese Princess, Fairy-Tale Wedding May Be Distant Prospect」(日本のプリンセスにとって、おとぎ話の結婚式は見通しが遠いかもしれない)と、結婚が多難であることを紹介した。

その前は18年7月の「He’s Supposed to Marry a Japanese Princess. Just Don’t Call Him Her Fiancé.」(日本のプリンセスと結婚することになっている小室氏。ただし彼を婚約者とは呼ばないで)という、当時小室さんがニューヨークに留学したタイミングでの宮内庁の発表を論じた。

17年5月には「Japanese Princess’s Engagement Revives Debate on Women in Royal Family」(日本のプリンセスの婚約が女性宮家に関する議論を復活させている)という報道もあった。

人々の反応

ニューヨークに住んでいる実感として、(東京オリンピック・パラリンピック直前も同様に感じたことだが)人々は日本の文化やサブカルに興味があってもニュースや社会情勢などにはあまり関心がない。メディアが中国や北朝鮮の出来事をよく取り上げても、日本のニュースはそれほど多くはない(ちなみに総裁選のニュースは、今朝のニューヨークタイムズでは9面で紹介されていた)。

眞子様と小室さんの認知度もほとんどないし、ましてや人々の会話の中で2人の結婚問題が話題に上ることはない。

筆者は街の人々に聞いてみたが、誰もまったく知らないし関心もない様子だった。ただしこの話を初めて聞く人はどの人も、ヘンリー王子夫妻を連想したようだった。

記事やツイッターの反応を見ると、いくつかコメントも確認できる。

  • おめでとう。そして馬鹿げた時代遅れの伝統ではなく、世間の圧力に屈することなく、自分たちの心の声に従ったことに拍手を送ります。

  • (2人への扱いは)まったくひどいね。残酷だ。彼らの移住後、アメリカのマスコミが騒ぎませんように。彼らの幸せを願っています。私はアメリカでのヘンリーとメーガンの報道にはもう飽き飽きしているので。

  • 私はなぜ人が他人の生き方を気にするのか理解できない。なぜ人々はたとえそれが自分を傷つけるものであっても、厳格な伝統に従うことを強制されるべきだと考えるのか。あなた自身をまず乗り越えてほしい。まず自分の人生を生きましょう。

  • なんてオープンマインドなんだ。なぜ人はいつも他人の髪型やボディランゲージを批判したり、誰が誰と恋に落ちたというのを気にするのだろうか?誰があなたに意見を求めたかな?人をいじめる必要があったと、なぜそういう風に考えるのか?

  • 申し訳ないが、この2人をヨーロッパの王族の例と比較することはできないし、私には理解ができない。

  • プリンセス眞子と圭に幸あれ。ニューヨークでの警備費用を払ってくれるアメリカの納税者に感謝です!

  • バナナ共和国(服飾ブランドのバナナリパブリックのこと)ような、伝統的な価値観のない国に住んでみては?アメリカにはもう十分に自己中心的なアイコノクラズム(伝統的な考えや慣例を破壊しようとする人)がいます。でももし来るなら、亡命ではなく、市民権を申請した方がいいかも。

  • この記事のスレッドには、この男性(小室氏)に攻撃しているものがたくさんあるが、それらすべてに共通するものは、アカウントが今日作成されたということ!ここでは組織化されたトローリング操作が行われているのかも。アメリカでは誰もこの結婚問題についてまったく話題になっていないので、ちょっとおかしい(現象として)。または、この問題に完全に取りつかれたただ1人(司令塔)による仕業なのかもしれない。

などさまざまな意見が寄せられている。

これからニューヨークタイムズやテレビニュースなどの報道が始まると、この話題も当地で本格化し、一般の人々に知れ渡ることになる。そうなると、ニューヨークは日本では考えられないような犯罪も多いため、やはり厳重な警備は当分必要になってくるだろう。

(Text by Kasumi Abe) 無断転載禁止

ニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者

米国務省外国記者組織所属のジャーナリスト。雑誌、ラジオ、テレビ、オンラインメディアを通し、米最新事情やトレンドを「現地発」で届けている。日本の出版社で雑誌編集者、有名アーティストのインタビュアー、ガイドブック編集長を経て、2002年活動拠点をN.Y.に移す。N.Y.の出版社でシニアエディターとして街ネタ、トレンド、環境・社会問題を取材。日米で計13年半の正社員編集者・記者経験を経て、2014年アメリカで独立。著書「NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ」イカロス出版。福岡県生まれ

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