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気温急降下の三連休 関東地方は最初と最後は雪の心配

饒村曜気象予報士
前線が南下し晴れ間が広がった日本列島(2月24日12時)

気温急降下の三連休

 令和6年(2024年)2月23日の天皇誕生日を含む三連休の始まる前、日本列島は南から暖気が北上して4月から5月並みの気温という、記録的な暑さとなっています。しかし、その後気温が急降下し、寒い三連休となっています。

 東京都心では、2月20日昼過ぎに最高気温23.7度を観測した後、半日で15度以上気温が下がり、その後も徐々に気温が下がっています(図1)。

図1 東京の気温の推移(点線は平年値)
図1 東京の気温の推移(点線は平年値)

 三連休の始まった2月23日の天皇誕生日は、関東の南岸を低気圧が通過して寒気を南下させたため、東京都心の最高気温は4度しかなく、8時50分から10時50分までの2時間は、みぞれを観測しました(図2)。

図2 推計実況天気分布(2月23日7時)
図2 推計実況天気分布(2月23日7時)

 ただ、低気圧が関東南岸から少し離れて通過したため、降水量は少なく、雪として降った所でも積雪が多くなかったため、交通の大混乱はありませんでした。

 三連休の中日の24日は、前線が南下したため、太平洋側の地方では晴れ間が広がり、最高気温は平年並みまで上昇しました(タイトル画像)。

 前日の天皇誕生日より気温は高くなりましたが、これで、ほぼ平年並みでした。

今冬の冬日、真冬日の推移

 令和5年(2023年)12月22日(冬至)の頃に西日本を中心に南下してきた寒波(冬至寒波)では、福岡で最高気温が12月21日に3.7度、22日に4.3度と、平年の最低気温をも下回る厳しい寒さでした。

 1月中旬や、1月下旬にも寒波が南下してきましたが、冬至寒波に比べると、冬日や真冬日のピークが小さく、冬至寒波が今冬一番の寒波ということができるでしょう。

 2月に入ると、最高気温が0度未満の真冬日を観測地点数が200地点(全国で気温を観測している914地点の約22パーセント)を超える日があり、北日本は厳しい寒さが続いていますが、最低気温が0度未満の冬日を観測する地点は600地点(約66パーセント)を切っており、東日本から西日本の寒さが少し和らいできたことを示しています。

 2月20日は、全国的に気温が上昇し、冬日が341地点(約37パーセント)、真冬日が4地点(約0.4パーセント)と大きく減っています。逆に、最高気温が25度以上の夏日を観測したのが沖縄県を中心に35地点(約3パーセント)もありました(図3)。

図3 真冬日、冬日、夏日の観測地点数の推移(2023年12月1日~2024年2月27日、2月25日以降は予測)
図3 真冬日、冬日、夏日の観測地点数の推移(2023年12月1日~2024年2月27日、2月25日以降は予測)

 三連休中日の24日は、冬日が510地点(約56パーセント)、真冬日が186地点(約20パーセント)と、前日から見ると増えています。

三連休最後の日曜日

 三連休最後の2月25日は、四国沖で発達した低気圧が発達しながら関東の南海上を北東進する見込みです(図4)。

図4 予想天気図(左は2月25日9時、右は26日9時の予想)
図4 予想天気図(左は2月25日9時、右は26日9時の予想)

 この低気圧が寒気を南下させるため、西日本や東日本は朝から平野部では雨、内陸や山沿いでは雪が降る見込みです。

 西~東日本では雨が降り、山沿いを中心に雪の降る所もあるでしょう。北日本は雲が広がりやすく、東北では夕方頃から雪や雨の降り始める所がある見込みです。

 北海道は所によりにわか雪がありそうです(図5)。

図5 各地の天気予報(2月25日)
図5 各地の天気予報(2月25日)

 南西諸島はくもりや雨となるでしょう。

 関東では昼前から内陸や山沿いを中心に雪が降り、夜遅くにかけて雪が積もるおそれがあります(図6)。

図6 雨雪判別の予想(2月25日11時の予想)
図6 雨雪判別の予想(2月25日11時の予想)

 天皇誕生日のときに比べると、降雪量は多くなる可能性があります。

 東京都心では、みぞれか雨で降り始め、雨が主体と思われますが、気温が予想より低くなれば、雪として降ることになります。

 南岸低気圧の降雪の予報は非常に難しく、下層の寒気の動向で予報が大きく変わりますので、最新の気象情報に注意してください。

 雪の量によっては、三連休明けの月曜日、26日朝の通勤・通学に影響が出ます。また、雪が積もらなくても、夜間の冷え込みによって路面凍結がおきる可能性があります。

 最新の気象情報を入手し、警戒してください。

今冬の東京の気温の推移

 今冬の東京は、令和5年(2023年)12月上旬までは極端に気温が高い日もあったのですが、冬至(12月22日)寒波以降は、それまでの極端に気温が高い日はなかったものの、気温は高めに推移していました(図7)。

図7 東京の最高気温と最低気温の推移(2月25日以降は予報)
図7 東京の最高気温と最低気温の推移(2月25日以降は予報)

 しかし、令和6年(2024年)2月中旬になると季節外れの暖かさとなり、2月20日に23.7度と、2月としては記録的な暖かさとなりましたが、その後気温が急降下しました。

 三連休の気温は平年より低くなりましたが、三連休後は、ほぼ平年並みの見込みです。

 この傾向は、西日本~東日本でも同じで、天気は周期的に変わるという春の様相です(図8)。

図8 各地の週間天気予報(数字は最高気温)
図8 各地の週間天気予報(数字は最高気温)

 また、北日本と北陸は晴れ間があり、気温は平年並みといってもまだまだ冬の様相ですし、沖縄は曇りや雨の日が続くという菜種梅雨の様相です。地方ごとに異なった形で、春に向かって季節は進んでいます。

 気温の変化が大きい日々が続きますので、気象情報を利用し、こまめな服装調節などで体調維持に努めてください。

タイトル画像、図2、図5、図6、図8の出典:ウェザーマップ提供。

図1、図3、図7の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。

図4の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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