メルセデスの小型車、新型スマート・フォー・ツーを試す【動画あり】
10月28日の東京モーターショーで、3代目となる新型を発表したのがスマート。
初代はスウォッチと共同開発されて1998年に日本上陸。その後日本の軽自動車規格に合致したスマートKが登場するなどしたこのメルセデス・ベンツが手がけるシティコミューターを、覚えている方も少なくないだろう。
3代目となる新型でトピックなのは、かつて存在した4ドア4人乗りの「for four」が復活したこと。先代のfor fourは三菱のコルトとの兄弟車として登場したが、販売は芳しくなかった。そして今回のfor fourは、提携先のルノーのコンパクト「トゥインゴ」との兄弟車となる。
スマートが特徴的なのは、エンジンを後輪の後ろに搭載するレイアウト。これは同じドイツのポルシェ911と同じレイアウトとなる。先代for fourでは三菱コルトと兄弟車だったため、前輪駆動レイアウトで登場したが、今回のfor fourはルノー・トウィンゴ含めてリアエンジン・レイアウトとなる。
それだけに走りはライバルと全く異なる。前輪駆動レイアウトのライバルは、いわゆる実用車の感覚が走りにも色濃く出ているが、後輪駆動レイアウトの場合は走りがとにかくスポーティ。シティコミューターながら、走りを語るに相応しいフィーリングに彩られるほか、実際のハンドルから伝わる感触なども上質だ。
もっともそれは細かな話で、大きなトピックはDCTと呼ばれるツインクラッチのトランスミッションを備えたこと。スマートはこれまでシングルクラッチの自動MTを搭載していたがゆえに、加速時にシフトチェンジで息継ぎが出て、前後にカクカクと動く煩わしさがあった。それがDCTとなってシフトチェンジで息継ぎがなくなり、滑らかな加速フィーリングも手にいれた。
また極めてコンパクトなクルマだけに、どうしても騒音や振動等が車内に入ってきた感が否めなかったが、新型はその辺りを完全に払拭して乗用車の感覚を手にいれた。
乗り心地等に関しても、先代を遥かに凌ぐものとなり、1クラスも2クラスも上を思わせる品質感がある。
ボディサイズは全長が先代とほぼ同じで、全幅は先代よりも幅広になった。が、幅広になったことでタイヤが深く切れるようになり、最小回転半径は3.3mと、現在日本で販売される乗用車の中で最も小さい。実際、驚くほど小回りが利くし、その数値自体も初代スマートを凌ぐ小ささだ。
小さなクルマだが、その実力の高さはさすがにメイド・バイ・メルセデスといえるもの。4ドアのfor fourは来年早々に導入されるので、こちらにも期待したい。