メリットはある? マイナカード「スマホ用電子証明書」登録してみた
5月11日から、マイナンバーカードの電子証明書をAndroidスマホに搭載できるサービスが始まりました。
具体的にどういうメリットを得られるのか、対応機種を使って試してみました。
スマホだけでマイナポータルにログイン可能に
マイナンバーカードは顔写真付きの身分証として使うことができますが、デジタルの身分証として使うためのICチップも搭載されています。
このICチップ内には電子証明書が格納されていますが、これをAndroidスマホにも搭載できるようになるというのが今回のサービスです。
証明書をカードからスマホに移動させるのではなく、スマホ用に追加で発行する方式なので、これまでのマイナンバーカードも引き続き使用可能です。
Androidスマホから最新の「マイナポータル」アプリを開いてみると、最下部にスマホ用電子証明書についてのメニューが出てきます。
操作手順は公式のマニュアルで丁寧に説明されているので、この通りに進めていけばよいでしょう。
手順は大きく2つのステップに分かれており、まずはスマホ用証明書の発行を申請し、発行されるのを待ちます。
待ち時間は、8時から19時半まではすぐに発行されますが、それ以外の時間帯は翌朝になるとのこと(土日祝日なども同様)。平日の午前11時台に試したところ、約1分で発行されました。
この証明書が発行された後に、「利用登録」に進みます。
注意点として、スマホ用電子証明書に対応するAndroidスマホは、比較的新しい機種に限られています。
対応機種以外では、画面が表示されないとの説明があります。「Pixel 4」で試してみたところ、途中でエラーになりました。
今後、発売される新機種については随時対応していく方針としています。
スマホ用電子証明書を発行できるスマホは1台のみで、複数のスマホに同じ証明書を発行することはできない仕様です。
新しいスマホに証明書を発行しようとすると、古いスマホの証明書は自動的に失効するとのこと。機種変更の際には、新しいスマホを操作するだけで済みそうです。
マイナンバーカードには「利用者証明用」(4桁の数字)と「署名用」(6〜16桁の英数字)という2つのパスワードがありますが、スマホ用電子証明書にも2つのパスワードを新たに設定する必要があります。
今後、証明書を使うためにパスワード入力を求められる際には、「マイナンバーカード用」なのか「スマホ用」なのか、注意する必要があります。
カードとスマホに同じパスワードを設定することはできますが、デジタル庁に確認したところ、「別のパスワードを設定していただくことをお勧めします」との回答がありました。
サービス開始日の時点で、すぐに便利さを実感できるのはマイナポータルへのログインです。
たとえばe-Taxを利用する人には、税務署からお知らせが届くことがあります。これまではカードを持っていないとアクセスできませんでしたが、これがスマホで完結するようになります。
スマホの機種によっては4桁の利用者証明用パスワードの代わりに生体認証を使えます。これを設定しておくと、マイナポータルに指紋認証などでログインできるようになります。
ログインのたびにカードを読み取ることを煩わしく感じていた人にとっては、劇的な改善といえそうです。
iPhone対応や利用拡大に期待
スマホ用電子証明書が使える場面はまだ限られており、これから徐々に拡大していく見込みです。
コンビニ交付サービスは一部改修が必要な場合があり、2023年内に対応予定。健康保険証として使えるようになるのは2024年4月ごろの予定です。
このように時間がかかる理由としては、オンラインでは他のアプリなどの対応が必要であること、またオフラインではカードとスマホで物理的な大きさが異なることがあるようです。
すでに医療機関にはオンライン資格確認端末の設置が進んでいますが、これはカードの利用が前提とのことから、スマホ対応が必要になります。デジタル庁は、いまある資産を有効活用する形で対応できるよう、検討を進めているとのことです。
また、iPhoneの対応時期は未定ですが、こちらは「働きかけを鋭意実施中」とのこと。カードの読み取りがスマホで完結するのは大きなメリットと感じるので、今後の拡大に期待しています。