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今度はヒュー・グラント。ハリウッドセレブは国際結婚がお好き?

猿渡由紀L.A.在住映画ジャーナリスト
婚約したことが判明したヒュー・グラントとアンナ・エバースタイン(写真:Shutterstock/アフロ)

 伝説のプレイボーイが、ついに年貢を納める。あのヒュー・グラントが、57歳にして、人の夫となる決意をしたというのだ。婚約者は、グラントとの間にすでに3人の子供をもつアンナ・エバースタイン。グラントは、別の女性との間にもふたりの子供をもち、過去にはエリザベス・ハーレイと長い交際をしていたことで知られる。

 次々に美しい女性たちを手に入れても結婚はしなかった彼の頑なな心を動かしたその女性は、スウェーデン人。そう言えば、もうひとりの元プレイボーイ、ジョージ・クルーニーが再婚相手に選んだアマルも、レバノン生まれの外国人だった。一方、リチャード・ギアが先月、3度目の結婚をした相手アレハンドラ・シルヴァは、33歳年下のスペイン人女性だ。ギアがシルヴァの父を通じて彼女に初めて会ったのは、彼女がまだ子供だった時。4年前、彼女が経営を任されていたイタリアのホテルで再会し、アメリカとスペインの遠距離恋愛を経て、ニューヨークでゴールインとなった。

 ハリウッドには、ほかにも国際結婚カップルが結構いる。アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダなど英語圏同士を含めればきりがないが、それらを外しても、たとえばこの人たちがそうだ。彼らの出会いと今を振り返ってみる。

クリス・ヘムズワースとエルサ・パタキー(オーストラリア&スペイン)

 ハリウッドでのブレイクを目指し、それぞれに海を渡ってL.A.にやってきたふたりは、同じエージェンシーに所属したことがきっかけで知り合った。結婚は、その数ヶ月後。2010年末のことで、ヘムズワースがまだ「マイティ・ソー」(2011)で大ブレイクを果たす前だ。

 それから7年半経つ今も、ふたりは仲良し。現在日本公開中の「ホース・ソルジャー」では初めての共演も実現させた。役柄は夫婦で、ヘムズワースは、「言ってみれば、僕らはずっと私生活でこのシーンのリハーサルをしてきたようなもの。夫婦らしさが感じられないと観客に思われたら、大変だよ」と笑いながら語っている。家庭内でパタキーは3人の子供たちにスペイン語で話しているそうで、映画の中に出てくる「パパ、まだスペイン語を覚えないの?」という娘のセリフは、私生活から取り入れたものだそうだ。

 夫妻は2015年にL.A.のマリブの家を売却し、現在はヘムズワースの故郷であるオーストラリアの、やはり海に近い家で子供たちを育てている。

ジェシカ・チャステインとジャン・ルカ・パッシ・デ・プレポスロ(アメリカ&イタリア)

 プライベートを語りたがらないことで有名なチャステインが、昨年結婚したお相手と、具体的にどう知り合ったのかはわからない。だが、彼はアルマーニでプレスを担当していたことがあり、ハリウッドセレブに親しい友人が多いそうだ。

 パッシ・デ・プレポスロは元貴族一家の生まれで、一族内ではまだ伯爵、伯爵夫人といった称号を使っているそうである。結婚式も、一族が19世紀から所有してきたというイタリアの豪華なヴィラで行われた。しかし、この新たなアメリカ生まれの伯爵夫人は、ちょっとした摩擦も感じている様子。ビーガン(完全菜食主義者)であるチャステインは、肉、魚、チーズなどを一切拒否するため、家族ディナーの席であまり食べられるものがなく、義理の母が内心良く思っていないのを感じると、今年初め、深夜のトーク番組で明かしている。ハリウッドのヘルスコンシャスとヨーロッパが誇る食文化は、うまい形で折り合いをつけられるだろうか。

ナタリー・ポートマンとベンジャミン・ミルピエ(アメリカ&フランス)

 イスラエル生まれ、ニューヨーク育ちのポートマンと、ボルドー生まれのミルピエの出会いは「ブラック・スワン」。バレエの世界を舞台にしたこのダークなスリラーで、ミルピエはコレオグラファーを務めている。彼はまた映画にダンサーとして出演もしているのだが、第一子を妊娠した状態で次の主演作「抱きたいカンケイ」の記者会見に出席したポートマンは、「あの映画の中で、彼は私となんか寝たくないと言ったけれど、本当は私と寝たかったのよ!」と、嬉しそうにノロけていた。結婚後、ミルピエがパリ・オペラバレエの芸術監督に就任したため、一家でパリに移住。だが、2年前に再びアメリカに戻り、現在はL.A.で子供ふたりを育てている。

アレック&ヒラリア・ボールドウィン(アメリカ&スペイン)

 ヒラリアは、マヨルカ島出身。ニューヨークに自分のスタジオを持っているヨガのインストラクターだが、出会いはレストランだ。友人と食事に来ていた彼女に、アレックが、「僕はあなたのことを知っていますよね?」と声をかけたのだという。彼はちょっとおしゃべりをした後に彼女に名刺を渡して、そこから交際が始まった。結婚は、その約1年後。元妻キム・ベイシンガーと泥沼の離婚、親権争いを経験した彼は、結婚はもういいと考えていたが、「これ以上良い女性には絶対めぐりあわない」と思い、決断したと語っている。

 夫妻の間には3人の子供がおり、まもなく4人目も誕生の予定。ヒスパニックのナニーを雇う人が多いニューヨークで、スペイン語が母国語のヒラリアは、時々、そのひとりに間違えられるそうだ。昨年、彼女は、インスタグラムに、「金髪で青い目の子供ふたりに私がスペイン語で話しているのを見て、ナニーの仕事をオファーしてくる人が時々いる。今、みんな、子供には外国語ができてほしいと思っているからかしらね。そのたびに私は、『自分の子育てで忙しくなければ、やりたいところですけどねえ』と笑って返すの」と投稿している。

ゾーイ・サルダナとマルコ・ぺレゴ(アメリカ&イタリア)

 ペレゴはイタリアのサロ出身。サッカー少年で、17歳の時にはプロに入団するが、21歳でケガのため断念。後にブラジルに移住して再挑戦するも諦めることになり、ニューヨークに移住した。貧乏アーティストだった頃は、ウエイターやサッカーの指導をしながら生計を立てていたそうだが、やがてドルチェ&ガッバーナなどからも愛される画家、彫刻家へと成長する。

 ふたりは関係を見事に隠し続け、メディアは結婚式が終わってしばらくしてから大騒ぎした。プロポーズから結婚までは3週間だったが、サルダナによると、ふたりが会ったのは結婚の5年前で、彼の作品についてはその前から知っていたとのことだ。

 結婚後、サルダナは本名をサルダナ=ペレゴに、ペレゴはペレゴ=サルダナに改姓している。イタリアで夫が妻の名字を名乗ることは珍しいため、サルダナは「あなたのラテン系の仲間からいろいろ言われるでしょう」と反対したが、ペレゴは「僕らは平等なのだから」と突っぱねたそうだ。エキゾチックでクールなカップルは、名前からしてそうなったわけである。

 正式な結婚はしていなかったが、14年も事実婚状態だったジョニー・デップとヴァネッサ・パラディもアメリカ人とフランス人のカップルだったし、昨年離婚に至ったスカーレット・ヨハンソンの2番目の夫もフランス人だった。また、「ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー」の公開で、今また注目されているオリジナルのランドことビリー・ディー・ウィリアムズが「帝国の逆襲」の前から連れ添ってきた妻は、日本人である。

L.A.在住映画ジャーナリスト

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場レポート記事、ハリウッド事情のコラムを、「ハーパース・バザー日本版」「週刊文春」「シュプール」「キネマ旬報」他の雑誌や新聞、Yahoo、東洋経済オンライン、文春オンライン、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米放送映画批評家協会(CCA)、米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。著書に「ウディ・アレン 追放」(文藝春秋社)。

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