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【富田林市】大迫力の火祭りは修験道の神髄が間近に!滝谷不動尊の大祭は今年春から第4日曜日開催

奥河内から情報発信奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

富田林でかねてから気になっている伝統行事がありました。それは滝谷不動明王寺で行われる春と秋の大祭です。これはひとことでいえば火祭り(護摩焚き)ですが、ここには修験道、山伏姿でほら貝を吹く修験者の姿が間近で見られるという大きな特徴があります。

葛城修験第十六経塚・流谷金剛童子
葛城修験第十六経塚・流谷金剛童子

日本遺産に登録されている葛城修験のセミナーに参加した際、修験道は古神道と仏教(密教系)、それに山岳信仰が融合した独自の信仰という話を聞きました。葛城修験には二十八経塚がありますが、山の中にあるのが多く、探すのに一苦労します。

奈良県天川村洞川温泉の真言宗・竜泉寺で行われた火祭りの様子
奈良県天川村洞川温泉の真言宗・竜泉寺で行われた火祭りの様子

以前、葛城修験よりもはるか山奥にある大峰山の修験道の入り口にある奈良県天川村の洞川温泉に宿泊したことがあります。その際に偶然、夜に火祭りが行われました。修験者が集まって火を起こし、真言を唱えて最後は火渡りをするという内容でした。

龍泉寺境内
龍泉寺境内

滝谷不動尊もそうですが、修験道と真言宗とのつながりが深いのは、修験道には真言密教の様相も含まれていることが大きいようです。

龍泉寺境内にある修行のための滝
龍泉寺境内にある修行のための滝

さらに洞川温泉のような山奥で夜の開催ではなく、富田林市では昼間の開催。電車やバスで簡単に行ける場所で行われるのは改めて考えてもすごいことのように感じます。

喜志稲荷祭柴燈大護摩供
喜志稲荷祭柴燈大護摩供

また修験道は仏教の寺院とも神社の両方と接点があるため、今年の3月に同じ富田林市内にある美具久留御魂神社(みぐくるみたまじんじゃ)でも行なわれた火祭り「喜志稲荷祭柴燈大護摩供」が行われていたので、見に行きました。

雨の中、火が燃え広がる様子がすごかったことを覚えています。

とはいえ、富田林の修験者が集まる火祭りで最大なものと言えば滝谷不動尊(明王寺)で春と秋の年2回行われる火祭りです。従来は不動明王の縁日である28日に一連の行事が行われていましたが、今年の春季大祭から第4日曜日に大祭と月例祭、そして境内前の駐車場に露店が出るとのこと。

昨年の秋季大祭に行ってきたので、行ったことのない人のためにどのようなことが行われているのか撮影したものを紹介します。

春季大祭と秋季大祭では少し内容に違いがあるかもしれませんが、火祭りとしての大まかな内容は近いものと考えられます。

滝谷不動明王寺の大祭は昨年まで春季(5月28日)と秋季(9月28日)に行われていました。不動明王の縁日が28日のため、昨年の秋季大祭は平日に行われました。

修験道は、飛鳥時代に役小角(えんのおづぬ)が始めたとされます。修験道については次のような教義があるそうです。

そもそも修験とは、修行して験徳(けんとく:霊験を得ること)を顕わすことを言う。人は本来、仏様と同じ本性(仏性)を持っているが、ところが煩悩(ぼんのう)という迷いの中で悪い事を行ってしまい、本性を曇らせている。修行してこの曇りを磨き、悪から離れて清らかな本心を発揮する。そして法の徳を顕わすことが修験の意味で、これを実践する人を修験者と言う。

ということで滝谷不動明王寺に到着。秋季大祭が始まる前で既に準備が行われていました。

滝谷不動明王寺の本堂です。秋季大祭の当日は火祭りの前、11時30分から「大般若経転読付大護摩供法要」が行われていました。これは河内の寺院から12名の住職が出仕し、大般若経600巻を転読するというもの。

本堂内部の撮影は禁止されているのでそのシーンは撮っていませんが、実際に拝見したところ、複数の僧がいて、大声で「○○番」といって、お経の書物を高く上げて最初から最後までアコーディオンのように開く姿が見られました。なかなか貴重な場面だと思いました。

歩行者天国からひとつにまとめられた露店街です。しかし、以前と比べて少なくなった印象があります。9月下旬の時点では残暑が厳しいのと平日なので出店者が少なくなっているということのようです。年に2回の大祭の日なのに寂しいですね。だから今年5月から第4日曜日にシフトしたのでしょう。

昨年12月に営業が終了した金剛バスが停まっています。毎月28日だけ富田林駅と滝谷不動との間を運行しているルートでしたが、残念ながら無くなってしまいました。現在は滝谷不動駅からと中佐備バス停から歩く方法となります。

さて、滝谷不動明王寺を見ると火祭りの儀式が始まろうとしていました。修験者の方々が本殿に参拝しています。

本殿での参拝の後、柴燈大護摩道場(以下、道場)と呼ばれる火祭りの会場に向かいます。

この中でも寺の高僧(住職?)と思われる方だけは傘を持った従者が付いています。修験者よりも地位が高いという意味があるのでしょう。

改めて道場の中から参拝する修験者たち。女性の姿もありますね。

少しだけ動画を撮りました。

ほんとうにたくさんの護摩木が置いてあります。大祭までに多くの方が願目(願い事)と名前を記入したものです。大祭当日も受け付けていました。

こちらの木の桶の中には水が入っています。点火してから火が危険にならないように、修験者が水をかけて火の勢いを調整するために使っていました。

こちらは、先程傘の従者を引き連れた高僧が座る椅子のようです。

遠くにテントがあります。あそこには女性が座るようです。このあと行われる一連の儀式は男性の修験者だけで行われていました。

護摩壇で、これに点火するわけです。

先程の椅子に高僧、その横に従者がいて、さらにその横に修験者がいます。

ここでマイクを持った修験者が現れ、秋の大祭の開始を告げます。この方の説明では護摩壇の点火の前に幾つもの伝統的な儀礼があるとのこと。

するとほら貝と共に、入口のほうから修験者が歩いてきます。

道場の前で止まりました。道場の前には結界があるので勝手に道場には入れません。

「行者問答」という儀式が始まります。道場の中では既に待機している修験者が、ほら貝を拭きます。お互いがほら貝を拭いた後に問答が始まります。

この問答はなかなか見ごたえがありました。偽者の山伏が多いので本物かどうか試したいと言います。主に修験道のこと、修験道の開祖について、修験者(山伏)のいでたちの意味、最後は今日の柴燈大護摩供のことなどを順番に質問します。

質問に対し丁寧に答えていきます。この中で特に山伏が身に着けている物の意味についての説明を聞くことで、周りで見ている一般参拝客にも「何であんな格好をして、ほら貝を吹いているのか」の説明にもなっていました。

いくつかの問答が終わり「真の修験者である」と認められ、ようやく結界が説かれ道場の中に入ることが許されます。

こうして道場の中に新たな修験者も参加します。

次の儀式が始まります。

「法斧の儀」と呼ばれる儀式です。

斧を護摩壇に向けて振りかざすようなしぐさが見られました。

次に矢を持った修験者が現れました。

「法弓の儀」と呼ぶそうです。

矢を射かけていきます。護摩壇に対してのほか、外に向けて矢を射る場合もあります。

その様子は動画で撮りました。

この後は「法剣の儀」が行われます。

剣を護摩壇に振りかざします。先程射かけた矢が護摩壇についたまま。一連の儀式を見ると、あくまで推測ですが、護摩壇の中に悪いものを封じ込めていっしょに焼いてしまおうというようなニュアンスにも感じます。

一連の儀式が終わり、いよいよ点火です。

護摩壇の前に掲げられていた竹でできた松明です。

点火の前に、高僧による願文の読み上げが行われました。

いよいよ点火です。ろうそくの火を新聞紙につけ、それを松明につけていくようです。

松明に火がしっかりつくまで手間がかかっているようです。

松明に火が付きました。

火を護摩壇につける瞬間は動画です。意外と思ったのは護摩壇の表面に火をつけるのではなく、松明を護摩壇の奥で突き刺して奥から燃やすようです。

うっすらと煙が出てきました。

その煙が少しずつ大きくなり、

さらに激しい煙が出てきました。

ついには火山の噴火を思わせるような煙が出てきました。

ここから火が完全に燃え上がるまでの一連の流れを動画にしました。少し長めですがこれはなかなかの迫力です。

完全に炎が上がりました。

ある程度火が強くなると、高僧の隣にいた修験者が護摩木を投げました。

それを合図に護摩木を護摩壇の中に入れていく修験者と、火が暴走しないように水をかけて火の勢いを調整する修験者がそれぞれの作業を行います。

周囲を囲っていた木の葉はほとんど燃えましたが、護摩壇の中に次々と護摩木が入れられていきます。

こうして次々と護摩木が入れられていきます。

日の様子を見ながら時々休憩をしながら護摩木を入れていきます。護摩木は相当な量があり、画像のような状況になるまで30分近くかかっていたように思います。

全部が終わるまでいましばらく時間がかかりそうだったので、ここで滝谷不動明王寺を後にしました。半年に一度行われる大祭は想像以上にすごく、若い人の姿も多かったですが、平日開催のため少し参加者が少なかったようにも感じました。

今年からは日曜日開催になって行きやすくなりますから、もっと多くの参拝者が来そうです。

まもなく春季大祭が5月26日(日曜日)に行なわれ、秋季大祭は9月第4日曜日に行われる予定です。滝谷不動の大祭は間近で修験者や修験道の神髄を目の当たりにできるので、興味があれば足を運んではいかがでしょう。

瀧谷不動明王寺(外部リンク)

住所:大阪府富田林市彼方1762

電話番号:0721-34-0028

開山時間:6:00~16:30

アクセス:近鉄滝谷不動駅から徒歩15分、28日縁日は富田林駅からバスあり

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奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野市の別名「奥河内」は、周囲を山に囲まれ3種類の日本遺産に登録されるほど、歴史文化的スポットがたくさんある地域です。それに加えて、都心である大阪市中心部に乗り換えなしで行ける複数の大手私鉄(南海・近鉄)と直結していることから、新興住宅団地が多数造成されており、地元にはおしゃれな名店や評判の良い店なども数多くあります。そして隣接する富田林市もまた、歴史文化が色濃く残る地域。また南河内地区の中核都市として、行政系施設が集まっています。これを機会に、奥河内(一部南河内含む)地域に住んでいる人たちのお役に立つ情報を提供していければと考えています。どうぞよろしくお願いします。

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