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セクシーだけじゃない!上位予選通過で周囲を黙らせたアン・シネのもう一つの魅力とは?

金明昱スポーツライター
アース・モンダミンカップで上位予選通過を果たしたアン・シネ

目標の予選通過を果たし

日本女子ツアーのアース・モンダミンカップに出場している“セクシー・クイーン”アン・シネ。日本ツアーは今季3試合目だが、毎日アップされるネットニュースやスポーツ新聞の扱い方を見るだけでも、がぜんその注目度は高い。

ここまで彼女が出場する試合をすべて現場で見てきたが、今週がもっとも調子が良いようだ。初日は5バーディ、2ボギーの69、2日目は3バーディ、1ボギーの70で回り通算5アンダーをマーク。目標としていた予選通過を果たした。

実はアン・シネが一番気にしていたのが成績だ。この大会前、彼女はこんなことを話していた

「私のウェアや外見に注目してくれるのはすごくうれしいことなのですが、私はプロゴルファーなので、結果を残して認めてもらわないといけませんから」

5月のほけんの窓口レディースから約1カ月ぶりの日本ツアーだけに、不安や緊張もあったというが、見事予選を通過して確かな実力があることも示してみせた。

見た目だけが話題の選手で、ゴルフの実力はたいしたことない――そんな周囲の声をかき消すには十分だった。

ファッションやセクシーなウェア、目の肥えたギャラリーを結果で納得させた彼女だが、メディア対応も実にうまい。

彼女の成績の良し悪しに関係なく、連日、囲み取材をするのだが、そこから出てくる彼女の言葉に引きつけられる。

初日にどんなウェアを着てくるのかについて聞かれると、「久しぶりに日本に来たので『わさびスタイル』で。少しマスタード入りのわさびのようなイメージです」。

ウェアのカラーを日本の食べ物と絡めて表現することに驚いた。

さらに記者から「わさびのような刺激的なプレーを見せてくれますか」と聞かれると、アン・シネは「質問も刺激的でしたね。わさびのような刺激的なプレーをしたいと思います(笑)」と答え、取材陣の笑いを誘った。

常にスポンサーのことを考えて

とどめは大会スポンサーのアース・モンダミンの商品、マウスウォッシュについて聞かれたときの返事だ。

「私は歯磨きが大好きで、人と対話するときはいい香りがしたほうがいい対話ができると思っているので、マウスリンスは大切だと思います。ぜひ試させていただきます」

大会側にとっては百点満点の回答。外から見れば“少し大げさ”と思えるくらいのリップサービスだが、実はアン・シネは常日頃からスポンサーへの配慮を忘れない選手でもある。

アン・シネにプロゴルファーとして大事にしていることについて聞くと、こういう答えが返ってきた。

「私はプロゴルファーなので自分だけを表現することばかり考えるのではなく、私を支えてくれるスポンサーへのマナーを持たないといけないと思っています。例えば私はアディダスのウェアを着る選手なので、そのブランドに見合うアスリートでなければなりません。アディダスが求めるスタイルがあるので、そこから抜け出さないようなイメージでいることが礼儀です。私のメインスポンサーは韓国の建設会社なので、不動産に関心を持つことも大事で、その分野の知識を得るための努力もしています。自分だけを考えるのではなく、スポンサーされている会社を“代表する”という気持ちでプレーすることも大事だと思います」

日本で取材されるときの質問の答えを少しは用意しているのかもしれないが、それは単なる“演出”ではない。プロ意識の高いアスリートであることを彼女の言葉が証明してくれている。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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