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台風5号は史上3度目の東北太平洋側上陸へ!記録的雨に厳重警戒…暴風・高波・交通影響も:気象予報士解説

植松愛実気象予報士・防災士・野菜ソムリエ
11日9時の予想天気図(気象庁HPより)。台風が前線を伴って東北へ。

台風5号は明日12日(月・振替休日)、東北の太平洋側に上陸する可能性が高くなってきました。

今回、大雨・暴風・高波はすべて警報レベルですが、特に雨に関しては平年の1か月分を超えるような量が降るおそれがあり、台風の北側に当たる地域を中心に厳重な警戒が必要です。

東北の太平洋側に台風が上陸するのはこれまでの統計上、2回しか例がありません。

昨日の記事の後半でも書いたように、過去の類似台風は甚大な被害を出しています。今日11日のうちに食料の買い出しや事前避難など備えをしてください。

台風5号はじわじわ接近・上陸へ

台風情報(気象庁HPより)
台風情報(気象庁HPより)

台風5号は11日朝の時点で時速15kmという自転車並みの速度で東北の太平洋側に向かっています。

このあとややスピードアップしても時速20km程度にしかならないため、太平洋側に上陸してから日本海側に抜けるまで、丸1日ほどかけてじわじわ進むことになります。

そのため大雨や暴風の影響を受ける期間が長くなりそうです。

台風中心の北側で特に警戒を…日本海側も大雨に

11日(左)朝、(中)昼過ぎ、(右)夜の天気分布予報(気象庁HPを元に作成)。
11日(左)朝、(中)昼過ぎ、(右)夜の天気分布予報(気象庁HPを元に作成)。

11日は東北太平洋側の広い範囲で雨となり、時間とともに風が強く波もさらに高くなりそうです。
予想される雨の量は12日朝にかけての24時間で太平洋側300ミリ、日本海側で100ミリ、さらに13日朝にかけての24時間で太平洋側200ミリ、日本海側で150ミリとなっています。

24時間で300ミリという値は、紀伊半島や九州では珍しくない一方で、東北にとっては記録的な数字になります。
特に東北の地形上、中心の北側で雨が強化されやすいため、上陸地点が離れていても警戒が必要です。

また、台風が日本海側へ抜ける際に海から風が吹き込み日本海側でも大雨になるため、梅雨の大雨ですでに被害を受けている秋田・山形県内でも十分に備えをしてください。

風の強さ11日に最大瞬間風速35m/s、12日に40m/sが予想されていて、新幹線の運行が影響を受けるおそれがあります。

新たな熱帯低気圧情報とは「別の熱帯低気圧」にも注意を

台風になる見込みの熱帯低気圧bの情報(気象庁HPより)。
台風になる見込みの熱帯低気圧bの情報(気象庁HPより)。

気象庁は10日、日本の南東の海上で24時間以内に台風が発生するとして、熱帯低気圧に関する情報を発表しました。
上図で「b」と描かれた地点にある熱帯低気圧が今後台風に発達する見込みなのですが、この熱帯低気圧は、筆者の記事でここ1週間ほど何度も「お盆に注意して」と呼び掛けてきた熱帯低気圧とは別のもの。
この熱帯低気圧bも、今後関東などで影響が出る可能性はあるのですが、それよりも西、本州の南にあたる海上でも別の熱帯低気圧が発生・発達するおそれがあります。

週間予報(気象庁HPを元に作成)。
週間予報(気象庁HPを元に作成)。

上図の週間予報で、名古屋や大阪に曇りや雨のマークが並ぶ15日(木)~17日(土)あたりが今のところ、「別の熱帯低気圧」の影響を受けるおそれがあるタイミングです。

本来、まだ発生もしていない熱帯低気圧の話をすることにあまり意味はないのですが、今回はお盆期間中という、人の移動が多い時期で、かつ、普段テレビで何気なくニュースや気象情報を見ている人が旅行やイベントで見なくなることで情報収集がおろそかになる時期でもあるため、本記事では早めの注意を呼び掛けています。

今回の台風5号で日に日に予報円の情報に変化があったように、気象情報は鮮度が肝なので、できるかぎり毎日最新の情報を手に入れるようにしてください。

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気象予報士・防災士・野菜ソムリエ

気象予報士・防災士として講演・執筆を行う傍ら、野菜ソムリエ・食育インストラクター・薬膳マイスターとして出張料理人(一般家庭での作り置き代行)としても活動。NHK・民放各局で気象キャスターを歴任し、報道の現場や防災、気候変動・地球温暖化に関する最新情報にも詳しい。著書に『天気予報活用ハンドブック~四季から読み解く気象災害』(竹下愛実名義・共著)がある。

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