台風5号は12日〜13日に東北に上陸のおそれ…過去の類似台風は甚大な被害も:気象予報士解説
台風5号は、発達しながら日本の東の海上を北上しています。
今後は進路を西よりに変え、12日(月・祝)午後から13日(火)未明にかけて東北太平洋側に上陸するおそれが高くなってきました。
太平洋側から東北に上陸する台風は例が少ないものの、同様の経路をたどった台風は過去に甚大な被害をもたらしています。
今後、東北や北海道で注意・警戒すべき点や、関東以西の雷雨や暑さの見通しも含め解説します。
東北は風強まる/関東以西は雷雨おさまって猛暑続く
10日は東北の太平洋側では次第に雨が降り出すところがある予想で、北海道も含め早くも風が強まり波も高くなってきそうです。
10日に予想される風の強さは東北・北海道ともに最大瞬間風速で25m/s、波の高さは東北4m、北海道3mとなっています。
一方、関東以西ではここ数日と比べると雷雨の可能性がある範囲は縮小し、山沿いが中心になりそうです。山や川のレジャーは引き続き注意を。
暑さは続いて、9日に40度超を観測した東海を中心に体温を超えるような気温になるでしょう。
11日~東北は雨・風・波すべて警戒!
11日(日)になると東北太平洋側では雨・風・波すべてが警報レベルとなり、予想される最大瞬間風速は35m/s、波の高さはうねりを伴って7mです。東北での大しけは12日(月・祝)も続きます。
さらに12 日(月・祝)は、東北太平洋側で最大瞬間風速が40m/sに達するおそれが。立っているのが難しくなるほどの風で新幹線の運行も影響を受けるレベルです。
また雨は、12日朝までの24時間に多いところで東北太平洋側で200ミリ、13日(火)朝までの24時間では東北太平洋側300ミリ、日本海側150ミリと予想されています。この数字は東北にとって、命にかかわる災害になるおそれがある降水量です。
台風の進路が多少変わっても警報級であることに変わりはないので、特に岩手・宮城・福島の沿岸では10日のうちに備えを済ませておいてください。
北海道でも大雨のおそれ
今回の台風5号に関連して、北海道では2度にわたって大雨になるおそれがあります。
はじめは台風が東北に上陸し横断する過程で、台風の北側に形成される前線が北海道にかかり、雨の量がおおくなるおそれが。
さらに、台風が日本海側に抜けたあとに再び北海道に活発な雨雲がかかるおそれもあります。
台風が日本海に出た時点で東海上の高気圧がどのくらいの勢力を保っているかによっては、台風本体の雨雲が北海道に接近するケースも考えられるため、「台風はもう東北に向かったから大丈夫」と思わずに北海道でも最新の情報は必ず確認してください。
過去の類似台風:2016年10号
気象庁の統計上、太平洋側から東北に上陸した台風は、2016年10号と2021年8号のみです。
このうち2016年の台風10号は、岩手県に上陸し、岩泉町(いわいずみちょう)や久慈市(くじし)を中心とした地域で河川の氾濫や土砂災害が相次ぎ、県内だけでも13名の方が亡くなりました。
筆者は当時、国土交通省の引率のもと発災後まもない岩泉町を取材しましたが、町の中心部から山沿いまで広範囲で被害を受け、川という川があらゆる場所で溢れて家や道を飲み込んでしまった光景を目の当たりにしました。
今回の台風5号は予報円の中心を通れば宮城に上陸する見通しですが、まだ福島・岩手にも接近・上陸するおそれがあります。
そして、そのいずれの場合も、東北太平洋側では海から流れ込む暖湿気が内陸の山脈にぶつかることで積乱雲が持続的に発達しやすく、被害が甚大になるケースが考えられるのです。
来週は新たな熱帯低気圧の情報に注意を
このさき関東~沖縄の広い範囲で35度前後の猛暑が続きますが、特に東海では暑さが厳しく、名古屋は来週前半にかけて37~38度の酷暑が予想されています。
その後、来週後半には天気が下り坂になるとともに暑さもトーンダウンする見込みとなっていますが、このタイミングで新たな熱帯低気圧の影響を受けるおそれが。
まだ発生していない段階で進路も強さもわかりませんが、お盆期間の後半を直撃することも考えられるため、地元の気象情報はもちろん、帰省や旅行の行き先についても常に最新の情報を手に入れるようにしてください。
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