Yahoo!ニュース

使ってない人は損している? インターネットバンキング

坂本綾子ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級FP技能士
(写真:イメージマート)

物価の高騰が止まりません。節約したくても、一体どこを削ればいいの…と悩んでいる方、インターネットバンキングは使っていますか? まだなら、ぜひチャレンジを。いくつかのお得を得られます。

スマホを使ってSNSを利用するのは今や日常のヒトコマになっていますよね。インターネットは日々の暮らしにも仕事にも欠かせないものになりました。

にもかかわらず、実は意外と普及していないのがインターネットを使った金融取引です。

インターネットで金融取引をする人は4人に1人?

個人がインターネットを利用するときの目的・用途として最も多いのはSNSで80%、次いで電子メールの送受信が78.5%、ニュースなどの情報検索が73.7%です。これに対して、金融取引は24.3%とぐっと低くなります(総務省「令和4年通信利用動向調査の結果」より)。

インターネットを使った金融取引には、インターネット上で銀行取引を行うインターネットバンキング、インターネット上で株式などを売買する証券会社のオンライントレードなどがあります。どちらも店舗窓口よりも手数料が安いのが特徴です。

今回はインターネットバンキングのお得を紹介しましょう。

インターネットバンキングでできることは?

窓口やATMでできることはほとんどインターネットバンキングで可能です。具体的には残高照会、入出金明細の照会、振込、振替、定期預金の預け入れと解約、投資信託の購入と解約、住所変更の手続きなど。

インターネットバンキングならお得なことは?

このうち、手数料がかかるものがありますよね。振込です。振込手数用は、振込先が自行か他行か、振込金額はいくらか、そして、振込手続きが、窓口か、ATMか、インターネットバンキングかにより異なります。高い順に窓口、ATM、インターネットバンキングです。

インターネットを使った振込は手数料が安い

例えば、ゆうちょ銀行の窓口で、ゆうちょ銀行の口座から他行に5万円以上を振り込むと手数料は880円、これがATMなら440円、インターネットバンキングなら165円です。みずほ銀行の場合は、窓口で3万円以上を他行に振り込むと880円、同額を現金でATM振込すると550円、キャッシュカードでATM振込すると330円、インターネットバンキングなら320円です。

インターネットの振込手数料が無料の銀行も

さらに銀行によっては、その銀行との取引内容などにより、インターネットバンキングでの他行あての振込手数料を月に何度か無料にしているところがあります。

例えば、みずほ銀行ではマイレージクラブに加入し、インターネットバンキングを申し込んで、資産運用商品の残高が100万円以上なら、月に3回までインターネットによる他行あての振込手数料が無料になります。

口座を持っている銀行のサイトで、振込方法による振込手数料や、無料になる条件をチェックしてみてください。

一回880円もの手数料を払って毎月振込をしていたら、1年では1万円を超えてしまいます。窓口か、インターネットかの差は大きいのです。

インターネットの定期預金は金利が高め

手数料だけではなく、銀行によっては預金の金利もお得です。インターネットで預入れるネット定期の金利を、通常よりも高くしている銀行があります。ネット専業のインターネット銀行や、地方銀行のインターネット支店です。

例えば、ネット専業のソニー銀行は、1年ものの定期預金の金利が0.2%(2023年8月末までのキャンペーン金利)、地方銀行である愛媛銀行のインターネット支店「四国八十八カ所支店」では、1年ものの定期預金は預入れ金額が10万円なら0.2%、同100万円なら0.25%です(2023年12月25日までのキャンペーン金利)。ちなみに、都市銀行や地方銀行の定期預金の金利は多くが0.002%です(2023年6月現在)。

ボーナス時期などにキャンぺーンで金利を高くする銀行もあるのでぜひチェック。

手数料や金利がお得なだけではなく、インターネット上の取引なので、場所や時間を選ばずにスマホやPCでいつでもできるのがメリット。その分、時間や手間も省けます。

インターネットバンキングの始め方

では、どうすればインターネットバンキングを始められるのでしょうか? 

通常、新しく口座を作る際は、インターネットバンキングの申込みも併せて行うことができます。すでに開設している口座の場合は、インターネットバンキングの申込みを、その銀行のサイトや郵送で行います。まずは、給与振り込みや引落としなどで使っている銀行からインターネットバンキングを始めてはどうでしょうか。慣れてきたら、インターネット専業銀行やインターネット支店も活用しましょう。

インターネットバンキングを安全に使う方法

便利でお得なインターネットバンキングですが、セキュリティ面で不安を感じる人もいることでしょう。安全に使うには、次の2点を守ってください。

1,PCやスマホにセキュリティソフトを導入すること。

2,電子メールやSNSなどのメッセージには、パスワードなどを盗み取ろうとする悪質なものが紛れ込んでいることがあります。銀行を名乗るメッセージのリンクをクリックしてはいけません(取引のある銀行からメールが来ることもありますが、メールのリンクからログインを促すことは通常ありません)。

PCでの取引はブックマークした銀行の公式サイトからログインする、スマホならスマホアプリを使うことです。最近、公式アプリを提供する銀行が増えています。スマホに取引銀行の公式アプリを入れて、取引は常にそこから行えば、偽のサイトなどに誘導されることはありません。

定期的な振込がある人は、インターネットバンキングで手数料を節約。インターネットバンキングにより現金を利用する頻度が減れば、その分、現金を引き出すためのATM手数料も減らすことができます。

ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級FP技能士

雑誌記者として22年間、金融機関等を取材して消費者向けの記事を執筆。その経験を活かしてファイナンシャルプランナー資格を取得。2010年より、金融機関に所属しない独立した立場で、執筆に加えて家計相談やセミナー講師も行う。情報の取捨選択が重要な時代に、それぞれの人が納得して適切な判断ができるよう、要点や背景を押さえた実用的な解説とアドバイスを目指している。

坂本綾子の最近の記事