ジダンが敷いた「10対10」の戦術。レアル・マドリーが目指すはペップが達成した夢の6冠。
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6冠達成は夢物語ではないかもしれない。ジネディーヌ・ジダン監督率いるレアル・マドリーが、これ以上ない形で2017-18シーズンをスタートさせている。
13日に行われたスペイン・スーパーカップ第1戦。敵地カンプ・ノウでのバルセロナとの一戦では、ジダン監督の戦術家としての鬼才が光った。
■10対10の戦術
ルカ・モドリッチを出場停止で欠いたマドリーだが、ジダン監督は全体的な構成を変えなかった。モドリッチの代わりに起用されたのは、同じくクロアチア代表のマテオ・コバチッチ。今夏プレシーズン合流が遅れたクリスティアーノ・ロナウドはベンチに温存された。
前半こそモドリッチ不在の影響を感じさせたものの、徐々にジダン監督の戦術が効果を表す。フランス人指揮官はコバチッチに、バルセロナの絶対的なエースであるリオネル・メッシのマンマークを命じていた。メッシをピッチ上から消し去り、「10対10」でバルセロナと勝負することを望んだのである。
現役時代に司令塔と活躍したジダン監督の特徴はミドルゾーンに集約する。現在のマドリーにおいて中盤は肝だ。吸い付くようなボールタッチでマーカーを翻弄するイスコ、精密機械のようなキックでボールを両サイドに散らすクロース、技巧に優れた選手たちが不得手とする守備の職務を全うするカセミロ。そして、今回のクラシコではジダン監督直々に「ストップ・ザ・メッシ」を託されたコバチッチが躍動し、4-4-2は完璧に機能していた。
メッシの存在感を消すことに成功したマドリーに、勝利の女神が微笑むのは必然だった。ネイマールが残した穴をバルセロニスタが強く感じるように、途中出場のC・ロナウドとマルコ・アセンシオが決定力を見せ付ける。1-1で迎えた80分にC・ロナウド、さらに89分にアセンシオが電光石火のカウンターから正真正銘のゴラッソを決めて、カンプ・ノウに静寂が訪れた。
C・ロナウドはマドリーのレジェンドである故ディ・ステファノ氏に並ぶ、375試合出場を達成した。82分にシミュレーションで2枚目のイエローカードを受けて退場したが、マドリーでの408得点目を記録し、ディ・ステファノ氏(307得点)を大きく上回っている。
■高まるマドリディスタの期待
9日にUEFAスーパーカップでマンチェスター・ユナイテッドを破り、今季初タイトル獲得しているマドリー。これはジダン監督にとって、就任後6つ目のタイトルとなった。
トップカテゴリーでの指導経験がなかったジダン監督の就任には、当初懐疑的な目を向ける者も少なくなかった。だが指揮官はここまで獲得可能な9タイトルのうち6タイトルを手にしている。マドリディスタが一番求める「結果」を積み上げることで、彼らの信頼を勝ち取った。
マドリディスタはジョゼップ・グアルディオラ監督が2009年にバルセロナで達成した6冠の達成を俄かに期待し始めている。2018年はセクステテ(6冠を意味)の年になる、というのだ。
グアルディオラ監督は指揮した4年間で77%の勝率を誇り、バルセロナに黄金時代をもたらした。ジダン・マドリーが「ペップ・チーム」を超える時。フロレンティーノ・ペレス会長が第二次政権で新銀河系軍団を構築したプロジェクトは、そこで完遂の瞬間を迎える。
スペイン・スーパー杯の第1戦で、アウェーチームが2点以上のアドバンテージを得て、優勝できなかった過去はない。6冠のうちの2冠目が、マドリーの射程圏内に入った。