スポーツの世界だけでなく、ビジネスでも超集中状態「ゾーン」を体験する方法
■ 超集中状態「ゾーン」
「まるで、時間が止まったような、そんな、驚くべき感覚を味わいました」
超集中状態「ゾーン」に入ると、誰もがこのような、恍惚感に似た感覚を覚えるものです。
スポーツの世界でよく使われる、この超集中状態「ゾーン」。
極端に追い込まれたり、プレッシャーを感じるとき、人間はフロー状態になります。心理学者のチクセントミハイによって名付けられたこの状態を、俗に「ゾーンに入る」と呼びます。
今回は、このゾーン状態をビジネスでも味わうことができるかを解説します。
■ 時間感覚の「歪み」
「ゾーンに入る」とは、どういう状態のことか。代表的なものを列挙していきましょう。
● きわめて高い集中力を発揮している「研ぎ澄まされている感覚」を味わう
● 時間が止まったかのような「時間感覚」の歪みを覚える
● 陶酔状態に陥り、恍惚感、多幸感を抱く
● 痛みや苦しみ、ストレスから解放され、感情のコントロールができる
● きわめて短い時間の中で適切な判断ができる
特徴は、「研ぎ澄まされている感覚」です。スポーツの試合であれば、対戦相手の「一瞬の動き」をも見逃さないぐらいの超集中状態。
それではなぜ、このような心理的状態に達するのでしょうか? ポイントは2つです。
◆ 神経伝達物質「エンドルフィン」が分泌し、ストレスの鎮痛作用が働く
◆ 脳の「回転数」が極限までアップすることで、「心理的時間」が異常に長くなる
■ 強烈なプレッシャーをかける
超集中状態「ゾーン」に入るには、自分に強烈なプレッシャーをかけることです。そうすることで、脳のブースターが働き、極限まで集中することができます。
「あと1時間で10枚の見積り資料を作成しなければならない」
「あと8分で駅に着かないと、電車に間に合わない」
「午前中に、6社に電話をしなければならない」
「あと2日で24件、新規のお客様をまわらないといけない」
……など等。
スポーツの世界だけでなく、ビジネスの現場においても、追い込まれることで「ゾーンに入る」ことができます。
このときのコツは、
「めちゃくちゃ頑張れば、できないことはない」
と思える目標を設定すること。そして期限を、考えうるかぎり短くすることも重要です。
■「達成感」が最大の報酬
ゾーンに入るには、短い時間の中で脳の基本回転数を極限まで引き上げることです。
思考ノイズ(雑念)が入るようでしたら、まだゾーンに入っていません。脳に雑音が入らず、感覚が研ぎ澄まされてきたら、ゾーンに入っていると捉えてもいいでしょう。そうすることで、軽い恍惚感を覚えます。
まさに「明鏡止水」。邪念がなく、澄み渡って落ち着いた心の状態になります。これは、脳内神経伝達物質「エンドルフィン」が分泌されることによる影響です。恍惚感、多幸感を一時的に味わうのです。
追い込まれる必要がないときでも、やり切ったうえで得られる「達成感」が最大の報酬だ、という気持ちを持って、時おり「ゾーン」に入るのを勧めます。そうすれば、定期的に脳の基礎体力を上げることができます。ストレス耐性がアップし、心の免疫力がついていくのです。